庭でリラックスして過ごすために、家の中でカーテンを開放して、庭を感じて心地よく過ごすために、外からの視線を防ぐ目隠しは欠かせません。目隠しは背の高い壁になるので、ブロック塀だと構造に配慮して大きな基礎が必要になります。地面を広く深く掘り返す工事が必要でコストが上がり、工期も長くなります。そんな理由もあり、近年ではフェンスが用いられることが増えています。フェンスはバリエーションが、とても増えていて家の雰囲気にピッタリ似合うものを選ぶことも可能です。今回は目隠しフェンスを設けることが多い場所「隣地境界沿い」と「道路境界沿い」について。そして、さらに快適さを追求する目隠しの工夫をお伝えしていきます。
1.「隣地境界沿い」の目隠し
隣地境界沿いの目隠しは、主に自分の敷地側、我が家の室内から見る側が表側になります。フェンスは柱で支えられていて、柱の手前にフェンス本体パネルが取り付けられるので、裏側には柱が並ぶことになり、表側はフェンス本体パネルがキレイに並ぶという見え方になります。どちらを表にするのかを意識することが大切です。
隣地境界沿いは隣地境界線を分かりやすくしておくことが必要で多くの場合、境界線沿いにコンクリートブロックが積まれます。目隠しの一番ベーシックな納め方は、ブロック積みの上に目隠しフェンスを設ける形です。
ブロック積みは、高さ1,200mmまでなら控え壁を必要としません。多くの場合、控え壁で生じるスペース的なデメリットと見た目の美しさを損なわない高さとして1,200mmまでで抑えることが多いです。
ブロックの上にフェンスを取り付ける場合、フェンス高さは1,200mmまでです。それ以上の高さのフェンスは、構造的に設置できません。これらの理由で、ブロック+フェンスの目隠し壁の高さは、2,400mmまでとなります。
ブロック+フェンスの目隠し壁とする場合、ブロック部分とフェンス部分が出来るだけ一体に見えるようコーディネートすることをお勧めします。隣地境界沿いの壁は室内側から見えるので、部屋のイメージに合わせてデザインや色を整えると室内空間との繋がりが出て内側と外側を合わせて一つの広い空間として感じることができます。
2.「道路沿い」の目隠し
道路沿いの境界は、道路側の側溝や縁石で明確になっています。敷地境界のように、必ずコンクリートブロック積みが必要なわけではありません。ここではブロックを施工せずフェンスのみで目隠しを設けるタイプをご紹介しましょう。
ブロック+フェンスのタイプより、フェンスだけで納める方がスッキリと軽やかな印象になります。写真のように足元に植物を植えれば、より素敵になりますね。道路沿い目隠しは、道路側を表側と考えます。境界沿いとの大きな違いは、常に建物と一緒に視界に入ることです。建物外観デザインとのコーディネートが、とても重要になります。
建物に使われている格子デザインやカラーに合わせると失敗がなくなります。隣地境界沿いでは、ひとつの壁と見立てることをお勧めしたブロック+フェンスも、道路沿いでは建物外観デザインとのバランスが大切になってきます。
3.必要な部分だけ目隠し
窓の前だけ目隠しになっていれば充分。他の部分は緑を取り入れて爽やかに視線のコントロールをしたい。そんな時は、同じ色のフェンスで目隠しレベルの違うものを組み合わせます。同じフェンスシリーズで、板貼りのピッチが合っていると、写真のように気持ちよくラインが揃い美しくおさまります。
4.軽やかに、目隠しプラス緑
緑をたくさん取り入れて緑豊かな景色を作りたいのだけど、目隠しがなければ不安。リラックスできる空間にするには、やっぱり目隠しが必要。そんな悩ましい状態の時もあります。その時は、植物を植えるスペースを確保して、合わせて植栽スペースの上部を目隠しします。
この緑は道路側から見てボリュームたっぷりですが、庭側から見てもボリュームたっぷり。両側から緑の景色を楽しめる欲張りなプランです。冬場は落葉する植物もあり、目隠し密度は下がりますが、部屋の中への視線はフェンスによって遮られているし、庭に人がいることは分かっても視線が合うことはないので、目隠しとしては充分、機能しています。
目隠しといっても、設ける場所によって検討要素は変わります。我が家には何が必要なのかを見つけた上で、参考にしてください。
著者プロフィール
冨田ちなみ Gokansha(ゴカンシャ)
個人住宅の庭・外構や店舗のエントランスガーデンなど、あなたのライフスタイルに調和する外空間のデザインするGokansha(ゴカンシャ)代表。二級建築士、インテリアコーディネーター、二級造園施工管理技士、福祉住環境コーディネーター、園芸療法リーダー二級、ハーブコーディネーターなど様々な資格を持ち、建築士でもあるため住宅目線・エクステリア目線・ガーデン目線、それぞれの記事を発信いたします。E&Gアカデミー講師。