春の気配を感じたら、やっぱり庭の様子が気になり始めます。そろそろクリスマスローズが開花するかな?と。まだ寒さを感じる春先一番に咲き始めるクリスマスローズ。開花が始まると春も始まりです。今年こそ、庭のある暮らしを楽しむために、毎日の生活で役立つハーブを育てる準備を始めましょう。今回は、今年こそと思っているガーデニング初心者さんにお勧めのハーブをご紹介します。
珍しいハーブではなく、ガーデンショップやホームセンターでも小さな苗が売られていて、手に入りやすいポピュラーなハーブの中から5種類選んでみました。
ローズマリー
まず、何かひとつトライしてみたい。そんなご要望にオススメするのは「ローズマリー」です。苗は柔らかくて草のようですが、成長すると茎が固く木質化する背の低い樹木です。根付いてしまえば強靭。ヨーロッパの乾燥した地域出身の植物なので乾燥に強いです。逆に毎日、水やりすると根腐れすることも。上に伸びる「立性」と下に垂れ下がる「ほふく性」があるので、植える場所や周りの植物とのバランスを考えて選んでください。太陽の陽射しが大好きなので、日当たりの良い場所で育ててあげて。
ローズマリーの利用法
ローズマリーは抗酸化成分を持ち血液循環を促すといわれています。
- 熱湯で3~5分。ハーブティーとして。
- 鶏肉に塩とローズマリーをすり込んで、しばらくなじませてから焼くと香ばしいローストチキンに。
- 鍋でグツグツ煮出してお風呂に入れれば、爽やかなハーバルバス。
他にワインに漬け込んでハーブワインに、化粧水の元にも。
タイム
タイムはたくさんの種類がありますが、料理で使われることが多いのは「コンタイム」です。小さな苗から成長すると、タイムも茎が固くなる背の低い樹木です。草よりも樹の方が管理もラクで育てやすいので、初心者さんは草よりも木になるものを選んだ方が失敗しないと思います。庭やエントランスでは「クリーピングタイム」という背の高くならない種類をグランドカバーとして利用することが多い。春先には一面にピンクの花を咲かせます。地面に近いところにある葉でも、踏まない場所から収穫すれば料理にも利用できますよね。
タイムの利用法
タイムは強い抗菌力を持っているといわれています。
- 熱湯で3~5分。ハーブティーとして。
- 肉や魚の臭みを取り除いてくれるので、お料理にも幅広く使えます。
- 鍋でグツグツ煮出してお風呂に入れれば、爽やかなハーバルバス。
他に衣類の虫除けや愛犬のノミ除けにも。
ラベンダー
観賞用としても人気のある「ラベンダー」それだけで十分に育てる価値はあります。ラベンダーも種類が多いので、好きな花の色や形で選ぶのも良いでしょう。加えて、いろんな利用方法を知っているとちょっと得した気分になります。育て甲斐も上がり愛着も増したりして。ラベンダーも上記2種と同じく背の低い樹木です。
ラベンダーの利用法
ラベンダーは鎮静作用を持っています。眠れない夜でもラベンダーの精油があれば、スッと眠りにつくことができます。
- 熱湯で3~5分。ハーブティーとして。
- 鍋でグツグツ煮出してお風呂に入れれば、自律神経調整作用でリラックス。
- スワッグにして部屋に吊るせば香りも良くておしゃれ。
レモングラス
スッと伸びる細長い葉と全体の姿が印象的な「レモングラス」。冬になると葉が枯れる落葉性の多年草で夏の終わりから秋には全部刈り取ってしまいます。春から夏はフレッシュな葉をそのまま利用して、秋から冬は乾燥させた葉を使います。レモングラスは蚊が嫌いな成分を持っているので庭に植えると蚊が来ないのでは?と聞かれることがありますが、残念ながらそこまでの効果はありません。
レモングラスの利用法
レモングラスは消化器系の働きを調整する作用があるといわれています。タイ料理によく使われています。爽やかな香りはリフレッシュ効果も。
- 熱湯で3~5分。ハーブティーとして。フレッシュのハーブティーがおすすめ。
- 乾燥させたものをクローゼットに吊るして防虫に。
- 束ねてお正月のしめ縄を作っても素敵。
ミント
とてもポピュラーなハーブですね。おしゃれなドリンクや美味しそうなスイーツに添えられていることも多い。今までご紹介したハーブは基本的に乾燥した環境が大好きな植物たちなのですが「ミント」はちょっと違います。水切れに弱いハーブです。柔らかく繊細な葉は土が乾燥した日が続くとパリパリに乾燥して枯れてきてしまいます。直射日光がガンガン当たる場所ではなく、少し日陰の方が土の乾燥が緩やかで育てやすいと思います。
ミントの利用法
ミントの爽やかな香りは脳の働きを活性化し、消化器の働きを高めるといわれています。
- 熱湯で3~5分。ハーブティーとして。
- たくさん贅沢に使って自家製モヒート。
- 鍋でグツグツ煮出してお風呂に入れれば、お風呂上がりの肌が涼やか。夏に試してくださいね。
育ててみたいハーブはありましたか?
ハーブを乾燥させて細かく砕いて数種類混ぜた香辛料はヨーロッパ地域でいろいろなブレンドがあるようです。自分好みにブレンドして作っても楽しいし常備しておくと、とっても便利です。コショウの代わりに使うといつもの料理も一味違ったものに。南フランスの伝統的なプロバンスハーブにはラベンダーも入っています。食用に使うイメージの少ないラベンダーですが、ぜひ試してみてください。ハーブブレンドはトマト系の煮込み料理に入れると、すっかりお店の味に。フレッシュサラダのドレッシングは、ハーブブレンドと塩とオリーブオイルで十分。育てて毎日の暮らしで活用する。その楽しさを体験して欲しい。春先に苗から育て始めてみてください。成長の早いハーブたちです、夏には色々楽しめますよ。
著者プロフィール
冨田ちなみ Gokansha(ゴカンシャ)
個人住宅の庭・外構や店舗のエントランスガーデンなど、あなたのライフスタイルに調和する外空間のデザインするGokansha(ゴカンシャ)代表。二級建築士、インテリアコーディネーター、二級造園施工管理技士、福祉住環境コーディネーター、園芸療法リーダー二級、ハーブコーディネーターなど様々な資格を持ち、建築士でもあるため住宅目線・エクステリア目線・ガーデン目線、それぞれの記事を発信いたします。E&Gアカデミー講師。