狭い庭、3つのデザインで、目隠しと楽しみを生む

小さな動く庭

毎日の生活が便利な都会の住まい。仕事やショッピング・エンタメ・・・メリットがいっぱいです。病院も多いので、高齢者や子育て世代にも安心して生活できる環境ですね。しかし、その便利さと人気の高さから土地価格は高額で戸建住宅の敷地は決して余裕のあるものではありません。それでも敷地境界線ギリギリに家の壁が立つことはなく、そこには必ず外の空間が存在します。建物外壁と隣地境界線の間の空間。意識しなければ時々通る単なる通路です。そんな庭とは捉えていなかったスペースでもデザイン次第で貴重な庭になります。限られた小さな空間を活用し、毎日の生活を楽しくする庭デザイン。今回は3つのデザインタイプをご紹介します。あなたの住まいにも取り入れられるデザインが必ずあると思います。

1.小さな過ごす庭

ひとつめは、小さな過ごす庭。家族で集うには狭いですが、1人で本を読んだりくつろいだりパソコンを広げて仕事をしたり・・・そんな過ごし方なら十分可能です。建物と隣地境界の間の通路に向けて掃き出し窓が設けられている。こんなよくある条件の場所が小さな過ごす庭として活用できる場所です。

狭い庭、3つのデザインで、目隠しと楽しみを生む

家の中から見るとフェンス越しにお隣の庭が見えて、ちょっと落ち着きません。この状態では家の中でリラックスできないので、常にカーテンを閉めていたり外側を葦簀やシェードで目隠ししたりすることになります。庭は部屋での生活の問題解決をする役割もあるので、過ごす庭を作ると同時にこの問題も解決しましょう。

狭い庭、3つのデザインで、目隠しと楽しみを生む

窓と敷地境界の間を全てウッドデッキにします。隣地側は目隠しのフェンスを設けます。部屋の中からの視線を確認しながら、フェンスの高さや目隠し範囲を決めていきます。

狭い庭、3つのデザインで、目隠しと楽しみを生む

部屋からスリッパのままスルッと出られて部屋が広がったかのような感覚に。お隣も気にならなくなりました。これで部屋でも、いつだってカーテンを開け放して広々と気持ち良く過ごせます。小さなガーデンテーブルとチェアを常設しても良いし、折りたたみ式のものにして使うときだけ広げることにするのも良いですね。

狭い庭、3つのデザインで、目隠しと楽しみを生む

お気に入りの植物や鉢植えを並べて緑を楽しむのも素敵です。ここでハーブを育てて、料理の途中でサッと収穫して調味料として活用する。そんな魅力的な暮らしが生まれてきます。視界も断然、豊かになりましたね。夏には小さなお子様用のプールを出して遊べたよーという声をいただいたこともあります。デザイナーが考えているよりも、実際に住まう人たちのアイディアで使い方は多様に広がっていくようです。

2.小さな眺める庭

過ごす庭に面する窓は大きな窓。人が出入りできる窓が必要です。一方、眺める庭に面する窓は小さくても大きくても大丈夫。出入りができないFIX窓でも問題ありません。その窓から見える範囲を庭として整えていきます。ここでは、和室に設けられた横長の地窓を通して見える小さな眺める庭をみていきましょう。

狭い庭、3つのデザインで、目隠しと楽しみを生む

過ごす庭よりもさらに狭い隙間ですが眺める庭なら大丈夫。ポイントは部屋の中から見えるように庭の地面高さを上げること。建物の立っている地盤の高さで何かを作っても部屋からは見ることができません。地盤に土を盛って地面の高さを建物の水切りの下まで上げて、その上に庭を作っていきます。

狭い庭、3つのデザインで、目隠しと楽しみを生む

狭い場所は人が立ち入りにくく、頻繁にメンテナンスをすることは難しい。そこで植物を植えるのは控えて、メンテナンスの必要のない石や砂利、タイルやレンガなどを使ってデザインしていきます。

狭い庭、3つのデザインで、目隠しと楽しみを生む

部屋の中からもしっかり庭の様子がわかります。照明を取り入れて、夜の景色も楽しめるようにすると秋の夜長を楽しむ時間が生まれます。大人が楽しめる庭ですね。事例は和室に面した庭なので和庭デザインです。自然石と玉石・砂利を使っています。洋室や廊下に面した場所ならタイルやレンガを使ってカッコよくも可愛くもデザインできます。部屋のイメージとつながるデザインを心がけると部屋と外とのつながりを感じさせる庭になります。

3.小さな動く庭

動く庭とは時間の経過とともに変化する庭であり、お手入れ作業を楽しめる庭のこと。と、ここで名付けました。細長く続く空間を路地に見立てて、歩くための敷石とそこを彩る植物をレイアウトしていきます。

狭い庭、3つのデザインで、目隠しと楽しみを生む

部屋から見えない場所でも、アプローチから見えたり玄関ポーチから見えたりするだけで、日々の発見ができる場所に変わります。植物と触れ合える、そんな場所があるとお手入れの楽しみが増えます。小さなスペースなので大きく成長する植物を植えないように気をつけてください。その場所の日照条件を観察して、日当たりが良いなら日当たりが好きな植物を。日陰なら日陰が好きな植物の中からセレクトします。それぞれの植物がどんな風に成長していくのか、どれくらい大きくなるのか、そんなことを想像しながら選び育てていく。その過程の全てが楽しい時間ですね。

狭い庭、3つのデザインで、目隠しと楽しみを生む 狭い庭、3つのデザインで、目隠しと楽しみを生む 狭い庭、3つのデザインで、目隠しと楽しみを生む

園路の床部分に植物がはみ出していく。花壇と床の境目が曖昧な様子がナチュラルな雰囲気を感じさせます。床作りから植物のセレクトや植え込み作業まで、DIYで出来ることばかりなので、ご自身のアイディアやイメージを形にしていく庭づくりにチャレンジしてください。

メンテナンスやお手入れは面倒で無い方が良いと考える時代から、手をかける事が出来る豊かさを感じられる時代へと変わってきています。都会の住まいでも小さな庭を作ることで、手をかける暮らしを楽しむことができる。たくさんの人が気づいて、そんな暮らしを送る人が増えることを願っています。

狭い庭、3つのデザインで、目隠しと楽しみを生む

狭い庭のガーデニング、デザイン次第で楽しめる

2020.10.09

 

著者プロフィール

狭い庭、3つのデザインで、目隠しと楽しみを生む

冨田ちなみ Gokansha(ゴカンシャ)

個人住宅の庭・外構や店舗のエントランスガーデンなど、あなたのライフスタイルに調和する外空間のデザインするGokansha(ゴカンシャ)代表。二級建築士、インテリアコーディネーター、二級造園施工管理技士、福祉住環境コーディネーター、園芸療法リーダー二級、ハーブコーディネーターなど様々な資格を持ち、建築士でもあるため住宅目線・エクステリア目線・ガーデン目線、それぞれの記事を発信いたします。E&Gアカデミー講師。