【建築設計士が考える】狭小地でも緑を取り入れて個性的なエントランスを演出する方法

狭小地でも緑を取り入れて個性的なエントランスを演出する方法

向こうの筋のあのお宅、他とは雰囲気が違って素敵よね。そんな風にちょっと気にして見ている家はありませんか? あそこにモッコウバラがある家があったよな、そろそろ開花しているかもしれないから前を通ってみよう。そう思って少し遠回りして歩くなんてこと、意外とたくさんの人がしていると思うのです。

個性的なエントランスは、広い敷地があって豪華に仕上げないと実現できないのかといえば、そんなことは全くありません。狭小地の玄関先でも可能だし、コストを抑えて素敵に彩ることもできます。強い味方になってくれるのは、やはり「植物」です。緑の力を効果的に使って個性的なエントランスを実現する方法をご紹介していきましょう。

1.ゲート編

立体的なエントランスといえば「ゲート」ですね。道路から玄関までの距離が短い条件下でも、立体的なデザインを用いることでエントランスを素敵に彩る手法です。例えば道路から敷地に入る部分でゲートを設けたアプローチ。

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これだけでも素敵なのですが、ここに植物を加えることで印象が大きく変わります。同じようなホワイトカラーのエントランスを見てみましょう。

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藤の花の淡いパープルが優しい印象。足元の小さなスペースから蔓を伸ばしています。緑が加わるとグッと優雅で豊かなエントランスになります。

同じゲートでも、駐車スペースの入り口に大きく設ける場合もあります。

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幅3mほどのゲートでも、片側の柱の足元に1株植えたモッコウバラを誘引すると数年で見事なバラゲートに成長します。

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植物によってゲートの左右がアンバランスに。その自然な不均一さが構築物だけでは生まれないナチュラルな雰囲気で良い感じです。

2.手すり編

ゲートほど大掛かりな構築物への誘引でなく、少し高低差のある道路沿いの階段に設ける手すりに植物を誘引した、意外と気軽に試すことが出来る例を見てみましょう。

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アイアン製の手摺と真っ赤なバラが似合いすぎています。赤いバラの持つ力、エレガントで素敵です。このバラも小さなスペースから誘引されています。

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階段脇の地面から伸びた蔓。こんな風に赤いつるバラを誘引しようと考えたセンスが素晴らしいと思いませんか?費用は大きくかけてはいませんが、試行錯誤の時間はかかっているはず。

3.壁面編

最後にご紹介するのは壁面を利用して素敵に彩ることに成功している例です。まずは、道路に面した玄関をさりげなく整えた家。つい立ち止まりたくなるエントランスです。

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住まう人が試行錯誤しながら愛情たっぷりに手入れしているのがうかがえます。ガーデニングだけで、こんなにも素敵なエントランスになるのです。色とりどりの季節の花ではなく緑中心でまとめているのも、手間とコストを考えると正解です。

こちらも、少しずつ手を入れて何年もかけてここまで作ってきたのだろうなというのが分かる例。

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こんな風に壁面に緑で絵を描くなんてことも時間と手間をかければ可能なのですね。プロに任せてドンッ!と仕上げてしまうのも一つの手段ですが、暮らしの中で少しずつ手を入れて育てていくエントランスもとても素敵で豊かなことだと思います。

次は小さな花壇に樹木を育てている例です。

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幹を中心に枝が広がる樹形なら道路や隣地に枝がはみ出ていくことが気になります。ハミ出た部分の剪定を繰り返し樹形が崩れていくことも多いです。ここでは枝が広がる樹木ではなくコニファータイプの樹木を植えています。建物の左右に同じものを植えシンメトリーに。樹木自らがバルコニーを避けながら上へ上へと成長しています。これも相当の年月が経っていることでしょう。都会のスタイリッシュな雰囲気にも、とても似合っています。樹木はどんな種類を植えるのか、その選択が大事ですね。

最後はもう一度、藤の花を素敵に誘引した例を。

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ヨーロッパを訪問すると、壁面に植物を誘引した家にたくさん出会います。もちろん何年もかけて育てているはず。毎日の生活の中に、住む人のクリエイティブな思考が溢れているなと感じさせられます。

自分で手をかけなくても、それらしいものはなんでも手に入ります。でも、そんな手に入れたい欲望は、手に入ると満足して長く大切にされないという一面もあるように思います。イメージし考えて、方法を探り自分で試してみる。少しずつ上手くいくこともあって気がつくと、なかなか良い感じに育ってきている。些細な生活の積み重ねの中で、手をかけられて育っていく植物が生み出す素晴らしい景色。日本では、あまり出会えないような気がします。だからこそ、そうやって育てられている数少ないエントランスは、人を遠回りさせるほど魅力的に感じるのかも知れません。

今回は限られたスペースで緑を効果的に素敵に演出している例をご紹介しました。あなたの家のエントランスでも取り入れられる手法はありましたか?我が家らしい個性的なエントランスを、ぜひ育ててくださいね。

個性的なエントランスづくりにいかがでしょうか?

 

 

著者プロフィール

【建築設計士が考える】狭小地でも緑を取り入れて個性的なエントランスを演出する方法

冨田ちなみ Gokansha(ゴカンシャ)

個人住宅の庭・外構や店舗のエントランスガーデンなど、あなたのライフスタイルに調和する外空間のデザインするGokansha(ゴカンシャ)代表。二級建築士、インテリアコーディネーター、二級造園施工管理技士、福祉住環境コーディネーター、園芸療法リーダー二級、ハーブコーディネーターなど様々な資格を持ち、建築士でもあるため住宅目線・エクステリア目線・ガーデン目線、それぞれの記事を発信いたします。E&Gアカデミー講師。