住まいの日当たりのよさは通常メリットと考えられ、リビングや庭を南側にとることも多いと思いますが、強い日差しが照りつける夏は紫外線や熱中症の危険など、庭が過ごしやすい場所とは言えなくなってしまうこともあります。
そんな強い日差しの中でも、気持ちのよい風が通る日陰があれば、庭で過ごす時間も快適なものになるのではないでしょうか。
バーベキューやプール遊びなど、夏の庭も存分に楽しめるように、庭に日陰をつくる方法についてご紹介します。
1.庭に日陰をつくる方法
庭に日陰をつくるには様々な方法が考えられます。それぞれの特徴やどんな場面に適しているか、また、取り入れる際にどんな点に注意する必要があるのかみていきましょう。
① オーニングで日陰をつくる

YKK AP オーニング「パラソリア」
屋外の日除けの中でも人気の高いオーニングは、窓まわりをカバーすることによって庭だけでなく室内への日差しも遮って、室温の上昇を抑えてくれます。外壁に取付けるのでテラス屋根やパーゴラのような柱がなく、不要な時にはたたんでおくことができてすっきりとおさまります。
手動、電動の他、日差しや風の状況を感知するセンサー制御が付加されたものなど、設置したい場所の環境に合った操作タイプを選びましょう。
生地の色を住まいの外観になじませたり、差し色としてあえて目立つ色や柄物を選んだりと住まいや庭を素敵に見せてくれるデザイン的なアクセントとしての楽しみもあります。
- YKK AP オーニング「パラソリア」
- おすすめのシーン
- リビング前など大きな窓のある場所
- ベランダガーデンカフェのようなおしゃれな雰囲気づくりに
- 注意点
- 建物の構造上設置ができない場合がある
- 専門施工店による工事が必要なのでややコストが高くなる
② テラス屋根で日陰をつくる

YKK AP テラス屋根「サザンテラス」
ウッドデッキやタイルテラスなど、広いスペースに日陰を作るならテラス屋根がおすすめです。熱線遮断のポリカーボネート屋根なら暗くなりすぎずに遮光できて、さらに天井カーテンを備えれば、天候や季節により開閉して日差しをコントロールできます。遮熱性が高いアルミ屋根材のタイプは近年人気が高まっています。木目調のカラーならより柔らかな印象となり、軒の延長のようなデザインが可能になります。

YKK AP テラス屋根「プレーンルーフテラス」
上の画像のように建物の外壁に固定せずに設置できる独立タイプもある他、サイズ展開や屋根材、デザインなどバリエーションが豊富なところもうれしいポイント。理想とする庭のスタイルに合わせて選んでみてください。雨を避け、日差しをカットしつつも開放感のある室内の延長のような半屋外空間ができることによって、家族や来客が集う場、物干しや雨の日の遊び場など、暮らしの幅がぐっと広がります。
- おすすめのシーン
- リビング前など大きな窓のある場所。
- ウッドデッキやタイルテラスなど人が集まる場所
- 広いスペースをカバーしたいとき
- 家事や趣味のスペース
- 注意点
- 設置に申請が必要になる場合がある。
- 植栽スペースに屋根がかからないようにレイアウトする必要がある
- 専門施工店による工事が必要なので、ややコストが高くなる。
③ シェードで日陰をつくる

YKK AP 洋風すだれ「アウターシェード」
窓まわりに取付ける日除けといえば、日本の夏らしい“よしず”や“すだれ”も挙げられると思いますが、これらは経年劣化が気になるところ。
その点、洋風すだれともいえるロールスクリーンタイプのシェードなら扱いやすく、対候性の面でも優れています。下までおろしてフックで床に固定すれば窓全体をカバーして、西日など低い日差しにも対応可能。使用しないときはロールアップしてオーニングよりさらにすっきり収納できます。
日差しや紫外線を遮断するとともに、外部からの視線を柔らかく遮ってプライバシー確保にも役立ち、窓まわりだけでなく、テラス屋根に設置すれば、屋根下のスペースを一層涼しく、リラックスして過ごせる場所にしてくれます。

YKK AP 洋風すだれ「アウターシェード」
- おすすめのシーン
- 道路や隣家からの視線が気になる場所
- 低い位置の日差しを遮りたいとき
- すっきり見せたい場合
- 注意点
- 希望する場所が取付け可能な構造か確認が必要
- 専門施工店による工事が必要なので、ややコストが高くなる
- 通気性のよい生地は目隠しとしては完全ではない
④ パラソルで日陰をつくる

必要なところにピンポイントで日陰をつくることができるパラソルは、設置が簡単で手軽に取り入れることができ、日差しの向きに合わせて移動することも可能です。
暑い季節が過ぎればコンパクトにたたんで収納できるのも利点。
庭のワンポイントとしても効果的で、お気に入りのファニチャーと組み合わせれば暑い夏も庭で過ごすのが楽しみになりそうです。
- おすすめのシーン
- 手軽に始めたいとき
- 来客の際など必要な時だけ出して使う場合
- シチュエーションによって位置を変えたいとき
- 庭の雰囲気づくりに
- 注意点
- 広範囲をカバーするには不向き
- 支柱を支えるために専用のテーブルやおもりが必要になる
⑤ 植物で日陰をつくる

中高木は庭に心地よい木陰を落としてくれます。
樹木で日陰を作るなら密度の濃い緑を保つ常緑樹をイメージするかもしれませんが、おすすめは落葉樹。
日差しを遮りたい夏には葉を茂らせ、冬季は葉を落として木漏れ日をもたらしてくれます。
冬に葉がなくてさみしく感じられるなら、常緑種の中低木や下草、冬~早春にかけて花が咲くような植物を組み合わせると一年を通して楽しめる庭になります。
窓に近い場所に日陰をつくるにはあまり大きくなるような木は使いづらいかもしれません。
そのような場合は、つる性植物を利用したグリーンカーテンで窓まわりをカバーするのはいかがでしょうか。
アサガオやゴーヤなどワンシーズンで終わるようなものにしておくと、夏の終わりに撤去して冬には日差しを取り入れることができます。

YKK AP 「グリーンバー」 園芸ネットを取付けてグリーンカーテンに
植物が作る日陰は実際に温度上昇を抑えるだけでなく、木の葉が風にさらさらと揺れる様は視覚的な涼しさも伴います。花や紅葉、収穫など季節の移ろいを感じる楽しみがあり、他の日除けと併せてぜひ効果的に取り入れたい方法です。
- おすすめのシーン
- ナチュラル志向の方に
- ガーデニングを楽しむ庭にしたい場合
- 注意点
- 日陰をつくるようになるには時間を要する
- 思い通りに生育しない可能性がある
- 水やりなど日々のメンテナンスが欠かせない
2.暑い夏も快適に過ごすために
庭に日陰を作ることは、単に日差しを遮るというだけでなく、居心地のよい場所をつくり、庭での時間、日々の暮らしをより豊かなものにすることではないでしょうか。
本格的な屋根やオーニングは庭の可能性を大きく広げてくれるものですし、木陰に置いたベンチ、パラソルのあるテーブルセットなど、少しのプラスで作るスペースもまた、豊かな時間をもたらしてくれるのではないかと思います。
使い勝手、外観、耐久性、設置方法など様々な観点から検討し、我が家の庭の環境や過ごし方に合った日差し対策を選んで暑い夏を快適に乗り切りましょう。

YKK AP 洋風すだれ「アウターシェード」
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著者プロフィール

野中めぐみ 株式会社グリーンテリア
1級造園施工管理技士 福祉住環境コーディネーター2級
1級造園施工管理技士 福祉住環境コーディネーター2級 ハーブ園でガーデナーとして勤務したのち、E&Gアカデミーにて学びエクステリア業界へ。 エクステリア、ガーデンの専門店グリーンテリアに所属し主に設計を担当する他、植物に関するワークショップの開催など庭のある暮らしの楽しさを伝える活動も行う。 エクステリアプランナーとして様々な角度からみなさまの快適で豊かな暮らしにつながる情報をお届けいたします。