プライバシーと癒しを両立!デザイナーおすすめの樹木でつくるお庭の目隠し

プライバシーと癒しを両立!デザイナーおすすめの樹木でつくるお庭の目隠し

せっかく手に入れた新しい住まいとお庭。なのに、隣家や通行人の視線が気になって落ち着かない…。そんなお悩みをお持ちの方は意外と多いものです。「目隠しをしたいけれど、市販のフェンスだけでは味気ないし、ちょっと無機質な印象になってしまいそう…」と感じている方もいるのではないでしょうか。

そこでおすすめしたいのが、樹木を使ったナチュラルな目隠し。緑に包まれる癒しの効果と、美しい景観の両方を叶えながら、視線をやさしく遮ることができます。

このブログでは、エクステリア&ガーデンデザイナーの視点から、樹木を使った目隠しのメリットや、シーン別のおすすめ樹種をご紹介していきます。

1. 樹木を使った目隠しのメリットとデメリット

プライバシーと癒しを両立!デザイナーおすすめの樹木でつくるお庭の目隠し

樹木による目隠しの一番の魅力は、フェンスや塀には出せない“自然のやわらかさ”です。空間に奥行きや動きを生み、四季の変化まで楽しめるのが大きな魅力。常緑樹を使えば、一年を通して視線を遮ってくれますし、落葉樹なら夏は葉が茂ってしっかり目隠しになり、冬は葉が落ちて太陽の光を室内に取り込むことができます。

また、植栽は風や光を適度に通すため、閉塞感が出にくいのもポイント。隣地との境界でも自然な区切りを演出できます。さらに、防音性や防塵効果、小鳥や昆虫の生息地づくりといったエコロジカルな側面も見逃せないメリットと言えます。

一方で、樹木を目隠しに活用する際は、いくつかのデメリットにも注意が必要です。まず、成長には時間がかかるため、植栽後すぐに完全な目隠し効果を求めるのは難しい場合があります。また、樹種によっては定期的な剪定や病害虫対策が不可欠で、管理の手間を避けることはできません。さらに、落葉樹は冬場に目隠し効果が薄れるため、常緑樹との併用や、季節ごとの視線の入り方を考慮した樹木配置計画が必要です。

こうしたメリット・デメリットを理解した上で、庭の条件や用途に合った樹木を選べば、見た目も機能も両立した快適な空間が生まれますよ。

2.  長い距離は生垣でカバー -おすすめの樹種-

プライバシーと癒しを両立!デザイナーおすすめの樹木でつくるお庭の目隠し

敷地の外周や道路沿いなど、長い距離を目隠ししたい場合は、生垣が効果的です。連続性のある植栽は、フェンスに比べてやわらかな印象を与え、街並みにも自然に馴染みます。風や光を通しながら視線を遮ってくれるので、圧迫感を抑えながらプライバシーを確保できます。

生垣に向いている植物を選ぶ際は、常緑性・葉の密度・剪定耐性の3点が大切なポイントです。(剪定耐性とは、枝や葉を切り戻しても枯れにくく、形を整えやすい性質のこと。剪定に強い樹木なら、定期的な手入れで好みの高さや形を保ちやすく、生垣として使いやすいのが特長です。)

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レッドロビンの生垣(新芽の赤が美しい)

おすすめの樹種

おすすめの樹種は、「レッドロビン(ベニカナメモチ)」。生長が早く、刈り込みによく耐えるため、きれいなラインを保ちやすい樹種です。春に芽吹く赤い新芽は、目隠し効果と同時にわが家に彩りも添えてくれます。

表情を楽しむ『混ぜ垣』もおすすめ

単一樹種の生垣も整った印象で美しいのですが、数種類の植物を組み合わせる『混ぜ垣』もおすすめです。

たとえば、「オリーブ+フェイジョア」や「従来の常緑樹+レンギョウ」など、数種類の植物を組み合わせれば、季節ごとの変化や色のコントラストを楽しめる、より表情豊かな目隠しに。常緑樹で通年の目隠し効果を保ちつつ、部分的に花や紅葉を楽しめる落葉樹を組み合わせるだけで、機能性に個性をプラスできますよ。

3.  部分的な目隠しに樹木を使う -おすすめの樹種-

リビング前や玄関まわりなど、ピンポイントで視線を遮りたい場所には、部分的な植栽を活用した目隠しがおすすめです。空間をすべて囲わず、必要なところだけを自然にカバーすることで、開放感を残しながらプライバシーを守ることができます。

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庭と家の間に植えられた株立ち樹木

上の写真では、枝が細くて繊細な印象の株立ち樹木を、複数本組み合わせて配置しています。こうすることで、外からの視線をやわらかく遮りながら、庭の景観にもリズムが生まれます。また、樹木の位置を工夫することで、日陰を作ったり室内に自然な影を落としたりと、暮らしへの良い影響もさりげなくプラスされています。

「目隠しのための樹木」だけれども、「いかにも目隠し」とは見えない…このさりげなさが、部分的な植栽目隠しの最大の魅力です。

おすすめの樹種

常緑樹なら、「ソヨゴ」「オガタマ」「オリーブ」などが、樹形に変化がありつつ高い目隠し効果を求める方にぴったりです。「ソヨゴ」は風通しの良い樹形が特徴で、圧迫感が少ないまま自然に視線を分散できます。「オガタマ」の花は春に甘く良い香りを放ち、「オリーブ」は実の収穫を楽しむ事ができます。目隠し効果以外にもプラスの喜びがあるのは、植物ならではですよね。

落葉樹を加えて季節感を

常緑樹に加えて、「ヤマボウシ」や「アオダモ」などの落葉樹を組み合わせることで、景観に四季折々の変化が生まれます。新緑の芽吹き、夏の深い緑、秋の紅葉、そして冬の枝ぶりまで、季節ごとの表情を楽しめるのが落葉樹の魅力。植物に“動き”を加えたい時や、シンプルな植栽にもう一味アクセントを加えたい場合にも、落葉樹はとても効果的です。

4. つる性植物+フェンスで目隠し -おすすめのつる性植物-

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YKK AP「ガーデン倶楽部」エスパリア トレリス

フェンスとつる性植物を組み合わせた目隠しなら、限られたスペースでも効果的に視線を遮ることが可能です。特にYKK APのガーデン俱楽部「エスパリア」シリーズはつる性植物と相性が良く、トラス構造の格子を活かした美しい緑の壁を作り出すことができます。フェンス自体のシンプルさと植物の柔らかさが調和し、視線を遮りながらも、圧迫感のない開放的な空間を演出してくれます。

おすすめのつる性植物

花を楽しむなら、「トケイソウ」「クレマチス」「モッコウバラ」がおすすめです。トケイソウはユニークな花姿が魅力で、日当たりの良い場所に向いています。クレマチスは種類が豊富で、好みに合わせた花色を選ぶ楽しさがあります。モッコウバラはトゲがほとんど無く、初心者の方にも扱いやすいバラの一種です。春に満開の花を咲かせる姿は、目隠し以上の価値を生み出してくれますよ。

香りを楽しむなら、「ハゴロモジャスミン」がおすすめ。目隠ししながら良い香りで癒し効果も加わるなんて最高ですよね

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ハゴロモジャスミン(ジャスミンティーに使われる花とは異なる)

常緑タイプの「テイカカズラ」や「ツルハナナスなら、冬場も緑を保てるため、通年での視線カバーに適しています。テイカカズラは厚みのある葉と甘い香りの花が特徴で、ツルハナナスは白から薄紫に変化する花色が庭に明るさをもたらしてくれます

つる性植物を美しく育てるために

どの植物を選ぶ場合でも、植え付けの際は根元のスペースにゆとりを持ち、土壌改良や水はけ対策をきちんと行うことが大切です。また、つるが絡みやすいように剪定や誘引のタイミングを見極めて管理すると、より美しく成長してくれますよ。

5. 市販のフェンスだけに頼らないナチュラルな目隠しを検討しましょう

プライバシーや防犯対策として、完全に視線を遮るフェンスやブロック塀を選ぶ方が多いと思いますが、今回のブログでは、エクステリア&ガーデンデザイナーの視点から、ナチュラルな目隠しの手法のひとつとして、樹木を使った目隠しのメリットやシーン別のおすすめ樹種を使って「やわらかく視線をコントロールする」方法をご紹介させていただきました。

樹木による目隠しは、空間に柔らかさと奥行きを与え、お庭全体の印象をぐっと引き立ててくれます。自然とのつながりを感じながら、プライバシーも確保できる心地よい庭づくり…そんなバランスの取れた暮らしを目指す方に、ぜひ取り入れていただきたいアイデアです。

長く愛せるわが家らしいお庭づくりのためにも、エクステリア専門の施工店や造園設計に詳しい専門家などに相談するなども検討して、ナチュラルな目隠しもぜひ選択肢に加えてみてくださいね。

 

著者プロフィール

プライバシーと癒しを両立!デザイナーおすすめの樹木でつくるお庭の目隠し

山岡由佳 クラスデザイン代表
二級造園施工管理技士、一級エクステリアプランナー

京都府立大学 人間環境学部 環境デザイン学科を卒業後、E&Gアカデミーにてエクステリアとガーデンを専門的に学ぶ。 エクステリアとお庭の専門店にて15年、ランドスケープデザイン設計事務所にて2年の実績と経験を積み、 2020年に独立し「cras design(クラスデザイン)」を設立。 個人宅向けの外構造園設計や施工店への作図サービスを中心にSNS運用サポートやブログ執筆サービスも行っており、 様々な視点から役立つ情報をお届けしています。

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