エクステリアに限らず、工事を依頼するまでには、さまざまな手続きがあります。発注者である施主として、現地調査の立ち合いからプランや工事の相談、見積りなどいくつかの提案書や書類のチェックや面談を重ねることになります。
中には「感じのよい施工店だから、きっとしっかり工事をしてくれるだろう」と安心して、契約書をきちんと見ずに契約してしまう方もいるかもしれません。
しかし、契約書をチェックせずに発注すると、のちのちトラブルになってしまうこともあります。そのため面倒でも細部まで確認し、思い違いや行き違いをなくすことが求められます。
ここでは、エクステリア工事を発注する際にチェックしておくべき重要なポイントを5つ取り上げます。それぞれ何をするべきか、確認していきましょう。
目次
ポイント1:相見積もりも検討してみる
エクステリア工事を依頼する際には、適正な費用できちんとした工事をしてもらうことを契約することが大前提です。
多くの方にとって、エクステリア工事は頻繁に行うものではありません。そのため何が良質な工事で、適正な費用はいくらかということは、なかなかわかりにくいと思います。
施工店が親切に対応してくれても、質の高い工事を行い、良心的な価格で提供してくれるとは限らないかもしれません。
エクステリア工事を依頼する際は、事前に会社のホームページで施工実績や提案・サービス、お客さまの声などを調べたうえで、信頼できそうな施工店を2~3社を選び、見積書の内容を比較することがおすすめです。
エクステリア工事は、施工店の体制や設計施工などに対する考え方やレベルなどの違いによって、現場調査や提案の内容、そして見積もりもそれぞれ異なります。
必ずしも見積もりが一番安いから、予算的に無理がないか、ということだけではなく、希望のエクステリア空間になる提案プランはどれか、安心してこれからも相談できそうなお店はどこか、なども併せて検討することも大事になります。
また、相見積もりをするとき、提示された図面を使って別の工務店に相見積もりを取ることはマナー違反になります。
面倒でも、それぞれの工務店に現地調査を依頼し、提案と見積書を発行してもらいましょう。
ポイント2:必ず契約書を取り交わすこと
工務店によっては、契約書を取り交わす前に工事を始めようとする会社もあるかもしれません。
工事を依頼する手前、「きちんと工事しますから大丈夫です」と言われると、なかなか強く要求しにくいということもあるでしょう。
しかし、エクステリア工事もひとつの契約であることは変わりありません。
施主にとっては、高額の買い物です。
もし契約を結ばないまま工事を進めてしまうと、万が一の際に、次のような権利を主張できなくなってしまいます。
- 依頼したとおりに、また期日通りにエクステリア工事を完成してもらう権利
- 不備があった場合に無償で補修してもらう権利
また、契約書を取り交わしておかないと、工事費を支払うべき時期が書面で記録に残りません。工務店に言われるがままに、着工前に全額の支払いを求められる可能性もあります。
「お金を払ったけれど、ちっとも希望通りのエクステリアができない」というような事態はぜひとも避けたいものです。
たとえ小規模な工事であっても、工事を発注し費用を支払う前に契約書を取り交わすことは必須です。
ポイント3:工事の内容を具体的に確認すること
エクステリア工事において、実際に行われる工事の内容を確認することはきわめて重要です。
設計図の内容をしっかり確認しよう
エクステリア工事は、設計図に沿って行われます。
もし図面と現地の状況が異なる場合、次のようなトラブルが起こるかもしれません。
- 追加費用が必要となる
- 誤って隣のお宅や施設の敷地に入り込むことによる苦情
また、打ち合わせの内容が図面に反映されていなければ、期待するエクステリアに仕上がらないおそれも十分考えられます。
トラブルを未然に防ぐためにも、発注前に設計図の内容をしっかり確認することが重要です。
イメージどおりの仕上がりになるか、境界線は現地とあっているか、といったこと特に重点的にチェックしましょう。
既製品を使う場合は、製品の形状や色なども必ず確認
エクステリア工事では、既製品を使うケースも多くありますので、製品の形状や色、型番は必ず確認しておきましょう。
見積書に書かれているものと契約書に書かれているものが合っているかを確認するだけでなく、カタログなどで型番もチェックしておけば安心できます。
工事は契約書の内容通りに行われますが、契約書の記載内容が打ち合わせで決めたことと違っている場合は、イメージと異なるエクステリアができあがってしまうことになります。契約を結ぶ前に、細心の注意を払って内容をチェックしましょう。
施工方法により、仕上がりや安全性が変わる
エクステリア工事では、施工方法が複数あることは珍しくありません。
そうした場合、施工店がどういった施工方法を採用するかによって、イメージはもちろん、耐久性や安全性も変わってしまう可能性があります。
発注する際には製品の形状だけでなく、施工方法についてもチェックしましょう。不明な点は、できるだけ、施工店へ確認してください。
ポイント4:支払方法や工期を確認すること
エクステリア工事の契約を結んだ後は、施工店、施主とも、その内容に拘束されます。
施工店は期日までに工事を完了させる義務を負い、施主は期日までに決められた金額を入金する義務を負うわけです。
このため、以下の手続きについてはよく確認しましょう。
着工日や完成予定日
契約時には、「いつから工事をはじめ、いつまでに終わらせるか」という点を取り決めます。契約時に、着工日や完成予定日を取り決めておくことが大切です。
ただし、工事は天候に左右されますので、あまり過密スケジュールだと「すみません、予定通りでは進められないので遅れます」ということになってしまうこともあるかもしれません。その場合、きちんとした対応をしてくれるか、ある程度余裕のある工期かどうかなど施工店によって異なりますので、あらかじめチェックしておいたほうがいいでしょう。
工事費の支払回数と支払日
エクステリアの工事費は、数百万円におよぶことも珍しくありません。
支払日にあわせて資金を調達しなければなりませんので、工事費をいつ、何回に分けて支払うかということは大変重要です。
支払いのタイミングや方法は、施工店によっても異なりますし、工事費の総額によっても異なりますが、代表的なケースには以下の方法があげられます。
ある程度の金額を前払いするケースも多いので、いつどのような方法で支払うべきかということは、契約を結ぶ前に必ず確認しましょう。
ただし工事費を全額前払いするよう要求する工務店は、できるだけ避けることが賢明です。
資金繰りが厳しく、前払いで受けないと会社が存続できないような工務店だと、万一、工事をきちんと行ってもらえなかった場合、あらためて別の工務店に費用を支払い、工事をしてもらわなければなる可能性があります。
そのようなことが起こらないように、工務店の経営状態にも気を配ったほうがいいでしょう。
ポイント5:保証内容を確認すること
工事後にエクステリアを使い始めてから不具合が発覚する場合もあります。
たとえば、次のケースがよくあります。
- 門扉の開閉がうまくいかない
- カーポートが傾いてくる
安心してエクステリアを使うためには、工事後の保証がきちんとしていることを確認することが欠かせません。
「10年保証」などのような保証期間も大事ですが、期間を確認するだけでは不十分です。
たとえば保証期間内であっても、誤操作など施主の使い方に問題がある場合は保証されません。しかし施主が問題ないと考えても、施工店が問題ありと判断するケースの場合は、後々トラブルとなるおそれがあります。このようなトラブルを防ぐためには、事前に保証対象外となるボーダーラインがどのあたりか、しっかり確認することをおすすめします。
満足できるエクステリアには、何より、発注する際のチェックが不可欠
本記事にあげた5つのポイントは、いずれも、安心して工事を依頼するために発注前にチェックしておきたいことです。
文中にも書きましたが、エクステリア工事は、ひとつの立派な契約です。
事前にひとつひとつチェックすることは面倒かもしれません。しかし口頭だけでなく書面でしっかり確認し、双方の認識違いをなくすことが重要です。思い違いや行き違いをなくしておくことが後々のトラブルを防ぎ、満足できるエクステリアを手に入れることにつながります。
参考
- 佐川旭, 林直樹: 最高の住まいをつくる「リフォーム」の教科書. PHP研究所, 京都, 2016, pp.138-139, 146-147, 154-157
- 成美堂出版編集部: 快適に暮らせるリフォームの基本. 成美堂出版, 東京, 2009, pp.130-133
- クラッソーネ「くらそうねエクステリア 外構工事を依頼する工事会社と工事前に確認すべき5つのポイント」:https://www.gaikoumitsumori.biz/qa/work/%E5%B7%A5%E4%BA%8B%E5%89%8D%E3%81%AB%E7%A2%BA%E8%AA%8D%E3%81%99%E3%81%B9%E3%81%8D5%E3%81%A4%E3%81%AE%E3%83%9D%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%88/
- 不動産の読み物「外構工事の請負契約書でチェックすべき5つのポイントと契約書の重要性」:https://fudousan-katuyo.com/exterior-construction-contract
- Ageless「エクステリアコネクト 【初心者必見!】外構工事でよくあるトラブルを防ぐための3つのポイント」:https://exterior-connect.com/content/trouble/
- 一般社団法人 あんしん解体業者認定協会「新築の外構工事は建てる前が重要?「後回し」でリスクは一気に増加!」:https://blog.kaitai-guide.net/gaikou-kouji-6711/#i-5