立地や建物の向きの関係でリビングが隣家や道路から見えてしまうという悩みは少なくないもの。家族がゆっくりくつろげるリビングにするために、外付けブラインドやシェード、フェンス、布などを活用して、道路や近隣の家、上からの視線を上手に遮る目隠しのアイデアをご紹介します。
目次
大きな窓が付いているリビングでは外からの視線が気になることも
日本の家づくりではリビングに大きな窓を取り付けることが多いものです。しかし同時に、外から家の中が見えてしまい、落ち着いてくつろぐことができないという声もあります。
このような悩みが生まれるのは、開放的なオープン外構の家だけではありません。
クローズドスタイルの外構でも、フェンスが低いために通行人から家の中が見えてしまう、リビングがカーポートに面しているので目隠しの取り付けがしにくい、マンションの上層階や近隣の家の2階からなど上からの視線が気になるといったケースがあります。
結局いつもカーテンを閉めたままになり、部屋の中が薄暗くなってしまっているケースも。せっかく大きな窓がついているリビングですから、上手に目隠しをして明るくのびのびと暮らしましょう。
上手に目隠しをするコツは、どこからの視線を遮りたいのかをしっかりと検討し、メリハリのある計画を立てることです。
その際には、暗くなったり風通しが悪くなったりしないよう、通風と採光にも忘れずに配慮が必要です。最近では視線だけを上手にカットする目隠し製品もありますので、効果的に取り入れるのもいいでしょう。
それでは、まずは室内側からの目隠し方法からご紹介しましょう。
【室内側から目隠し】をするならミラーレースカーテンやガラスフィルム
室内側から目隠しをする場合、手軽なのはブラインドやミラーレースカーテンの取り付けです。ブラインドはスラット(羽)の向きを変えることで、外からの視線をコントロールできます。
ミラーレースカーテンとは、太陽光を反射する繊維を使用したレースのカーテンのことで、昼間の視線を遮る効果があります。最近では、夜でも透けにくい効果を持つ遮像カーテンもあります。
ただしこれらは一般的なレースのカーテンに比べて厚手なため圧迫感があることも。また閉めている間は外の景色も見えなくなります。
注意したいのが、ブラインドやカーテンは窓を開けて風通しをすると揺れるため、風の強い日は邪魔に感じることです。
ガラス用の目隠しフィルムは、窓ガラスに半透明のシートを直接貼って視線を遮ります。メリットは、窓周りがすっきりすること、また視線が気になる窓だけに貼るといったこともできる点です。しかし窓を開けている時は目隠しにならず、また、カーテンと同じく、閉めている時は外の景色が見えなくなります。
【窓の外側で目隠し】をするなら視線・光・風をコントロールする外付けブラインド
光や風を取り込みながら視線だけをカットしたい、外の景色もほどよく楽しみたい場合は、窓の外側に設置する目隠しブラインドを取り付けるアイデアがあります。
こちらは窓の外側に取り付けをするリモコン外付けブラインド「X-BLIND」です。電動シャッターのようにリモコンを使って上下に開閉を行い、閉めた状態でルーバーの角度調整ができます。
これなら自然の風や光を室内に取り込みながら、視線だけをほどよくカットすることが可能。リフォームで後付けができる製品もあり、またコンパクでシンプルなデザインなので、住まいの外観をスッキリとおしゃれに見せてくれます。
このような窓の外側に設置するブラインドは、目隠し効果だけでなく、夏の強い日射熱を遮って暑さを防ぐ効果も高いため、室内を快適に保ちながら光熱費の削減もできます。
庭ごと自分空間に。フェンスと庭木の組み合わせでメリハリをつけて
フェンスが低いために道路からリビングが見えやすい場合は、高さのあるフェンスを取り付けたり、庭木と組み合わせたりすることで、目隠し効果を高めることができます。
庭をフェンスで囲って庭ごと目隠しをすれば、リビングの窓を開け放ってのびのびと暮らすことができるようになり、また庭をアウトドアリビングとして活用しやすくなります。
こちらは風を通しながら程よく視線をカットすることができる高尺目隠しフェンスです。高さのラインナップは1.4m~2.3mまであり、デッキや室内に人が立った状態でも道路側からの視線を遮断することができます。
フェンスを取り付ける際に注意したいのが、風通しです。リビングは南面させて計画することが多いため、スキマのない壁やフェンスで囲ってしまうと、気持ちのいい南風を室内へ取り込みにくくなります。目隠しフェンスを選ぶ際には風が通りやすいデザインを選びましょう。
フェンスのスキマからの視線が気になる時には、植木と組み合わせるといいでしょう。スキマを植木で埋めるようにレイアウトすれば、木々を通して気持ちのいい風が入ってくるようになります。
その際は、特に視線を遮りたい部分には葉が茂る植木を密に植えるなど、メリハリをつけて計画を立てましょう。重ね合わせて植えていくことで奥行きが感じられ、立体感のある庭づくりができます。
【上からの視線が気になる】時はテラス屋根やベランダ+シェードの組み合わせ
近くにマンションがある、近隣の2階からの視線が気になるといったような場合は、テラス屋根やベランダ+シェードを組み合わせると、効率よく目隠しができます。
アウターシェードは日よけの効果が高い洋風すだれで、テラス屋根やベランダの下に取り付けることができ、上からの視線はもちろん強い太陽光も遮り、リビングを快適にしてくれます。
洗濯物も隠せるテラス屋根やカーポート+オプションの目隠しの取り付け
リビングの前にテラス屋根を設置して、そこに目隠しを付けるアイデアもあります。
こちらの写真は、リビングの前に取り付けるテラス屋根です。庭に屋根があると下の空間を活用しやすくなり、オプションの目隠しを取り付ければ視線を気にすることなく、また洗濯物を干す時にも外から見られないで済みます。
カーポートにもオプションで目隠しの取り付けができる製品があります。また道路に面してリビング前にカーポートがある場合は、防犯と目隠しを兼ねてシャッターゲートを取り付けるのもいいでしょう。
フェンスやシェード、庭、植木、カーポートやテラス屋根のオプション品などを使って上手に目隠しをして、心からくつろげるリビングを目指しましょう。
下記に道路とカーポートに面して落ち着かなかったリビングの前に、小さなウッドデッキとフェンスを設置。くつろぎのリビングにしたリフォーム事例をご紹介していますので、参考にしてみてくださいね。
リビングを目隠しできる商品を詳しく知りたい
著者プロフィール
Yuu(尾間紫)
一級建築士/インテリアプランナー/インテリアコーディネーター/マンションリフォームマネジャー
長年リフォーム業界の第一線で、数多くの住宅リフォームの相談、プラン設計、工事に携わってきた経験から、本当に価値あるリフォームについて皆さまにお話します。過去を繕うものではなく、未来の暮らしを創る「リライフのリフォーム」を提唱。実践的なリフォームのノウハウを、テレビや雑誌、新聞連載、講演などを通して発信中です。著書に『リフォームはこうしてやりなさい(ダイヤモンド社)』など。Webサイト「リフォームのホント・裏話」(http://www.ne.jp/asahi/net/rehome/)でリフォームの実践的なノウハウを公開中