冬の庭は木々が落葉し寂しい雰囲気になります。植物の成長が止まるので草刈りや剪定、花柄摘みなどのお手入れも、ほぼ必要ありません。庭に出て過ごす時間もグッと少なくなる季節ですが、そんな季節だからこそ出来ることがあります。植物以外のメンテナンスは冬が最適。室内に閉じこもりがちな季節だからこそ、庭作業で体を動かす時間を楽しめるメンテナンスをご紹介します。
1.樹木の足元や花壇の土のメンテナンス
春から秋は様々な草花が元気で、地面には何かしらの植物が顔を出していますが冬になると、すっかり土が露出した状態になります。地面は一年を通して土が隠れている状態が理想です。露出していると乾燥が早く硬い土になってしまい植物にとって良い状態ではありません。また冬は寒さで土が冷やされて植物の根を傷めてしまうことも考えられます。土や植物を守るために、そして気持ちの良い景色を作るためのメンテナンスとして土の上にマルチングを施します。寒い冬を乗り越えるために土にお布団をかけてあげるイメージ。それが時間をかけて土に還っていき栄養分となっていきます。マルチングに利用できるものはいろいろあります。
落葉マルチング
落葉樹から落ちた葉を樹木の足元に集めて土を覆います。庭の樹木が小さくて庭の落ち葉だけでは足りないようなら、近くの公園に落ち葉を集めに行くのも良いのではないでしょうか。私もゴミ袋を持って集めに行ったことがあります。風で集まっているので簡単に落ち葉を収穫できますよ。
腐葉土(腐植土)マルチング
枝葉を発酵させて作られたもので、落ち葉より土に還る時間が短くなります。土壌の改良剤として土に混ぜ込むこともありますが、マルチングとして土に被せるだけで土の栄養分になります。
バークマルチング
広葉樹・針葉樹の樹皮を細かくしたもの。植栽施工の最後の仕上げマルチングにも使用します。腐葉土より時間をかけて土に還ります。
2.ウッドデッキのメンテナンス
天然木で作られたデッキにはメンテナンスが必要なものがあります。アイアンウッドとも呼ばれる硬いイペ材やセランガンバツ材などは大きなメンテナンスは不要で使い続けることができますが、レッドシダーやオーストラリアサイプレスなど柔らかく素足で歩くのが気持ち良い木材は、できるだけ長く使用するためにメンテナンスは欠かせません。雨降りの後、デッキ上がいつまでも乾かないと感じるようになったらメンテナンスのタイミングが近づいています。
落葉がデッキに貼り付くと乾燥が進まず、腐りやすくなっていきます。塗装が剥がれるようになってきたらタイムリミット。
古い塗装をサンドペーパーで落として、新たに塗装すると水弾きが新品の時と同様に戻り、また3年程は気持ちよく過ごせます。塗料は木に浸透するタイプがおすすめ。ホームセンターで入手できます。色は室内床の色と合わせると室内と庭の一体感が増します。
3.木フェンスのメンテナンス
デッキと同様に天然木のフェンスも経年変化で次第に塗装が剥がれてきます。日当たりの悪い部分は、苔が乗って緑色に変色してくることも。それでも大丈夫、古い塗装を剥がせば苔も一緒に取り除くことができます。サンドペーパーで表面の汚れや塗装を剥がして、新たに塗装します。
春から秋にかけては、樹木が繁っていてメンテナンスが出来ない状況の庭も多いと思います。落葉して見通しが良くなり作業もしやすい冬なら、フェンスのメンテナンスもやりやすくなります。
塗料はデッキと同じく浸透するタイプがおすすめ。今までとは違う色を選んで、模様替えのように庭のイメージチェンジを楽しむのも良いかもしれませんね。
4.タイルテラス、レンガテラスのメンテナンス
タイルやレンガを敷き詰めた庭はメンテナンス不要と思われるかもしれません。確かに何もしなくても大きな問題は起こりません。でも年月が経つと、やはり汚れは溜まってきます。特に都会は多くのチリやホコリが空気中に漂っているので、雨と共に床に落ち溜まってしまうのです。黒ずんでいるコンクリートの床を見かけることも少なくありません。
他の部分も全体的に汚れてくるし、少しずつ変化しているので毎日見ていると気付きにくいのですが、改めて見ると意外と汚れていると感じるのではないでしょうか。この汚れを取り除くには高圧洗浄機が便利です。ブラシで力と時間をかけて作業するよりキレイに取り除くことができます。
デッキもフェンスも床も新品当時のピカピカが一番良いというわけではありません。素敵な雰囲気に経年変化していけば一番良いですね。植物たちは年々成長し魅力的な風景を育ててくれます。その空間で気持ちよく年を重ねていけるように、冬には庭のどこかをお手入れするようにしてみてはどうでしょう?
一度に全部は大変なので、今年はデッキを来年はフェンスを・・・と予定を立てると良いと思います。自分たちで頑張ってメンテナンスしていく庭は、きっと、ますます愛着が湧いて大好きな場所になっていくはずです。
著者プロフィール
冨田ちなみ Gokansha(ゴカンシャ)
個人住宅の庭・外構や店舗のエントランスガーデンなど、あなたのライフスタイルに調和する外空間のデザインするGokansha(ゴカンシャ)代表。二級建築士、インテリアコーディネーター、二級造園施工管理技士、福祉住環境コーディネーター、園芸療法リーダー二級、ハーブコーディネーターなど様々な資格を持ち、建築士でもあるため住宅目線・エクステリア目線・ガーデン目線、それぞれの記事を発信いたします。E&Gアカデミー講師。