夏の暑さを防ぐには「日よけ」をすることが効果的なのは、既にご存知の方も多いことでしょう。今回は、より効率的に暑さを防ぐ、上手な日よけの取り入れ方と、便利でおしゃれな日よけをご紹介します。
目次
効率よく暑さを防ぐには、日よけは窓の外側に取り付ける
夏の暑さの原因は、主に日射熱によるものです。日射熱とは太陽の光が運んでくる熱のことで、床や窓、壁、家具に直射日光が当たると、日射熱によって蓄熱され、表面温度が60度を超えることもあります。
これらはいったん熱をもってしまうと冷めるまでに時間が掛かります。またその熱は周囲に放射熱として発散され続けるため、いくらエアコンで空気を冷やしても、熱さを感じてしまいます。
夏の炎天下に置いてあった車が、ボディはもちろんガラスやハンドル、シートまで熱くなり、それが冷めるまではエアコンをつけてもなかなか涼しくならないのと同じ原理です。
この暑さの原因となる日射熱を防ぐには、直射日光をさえぎるのが効果的です。こちらの写真は、真夏の直射日光が当たったウッドデッキの表面温度です。日射熱によって60度以上になっていますが、日かげになっている場所は気温とほぼ同じ約30度でした。
日よけは直射日光を遮り、日かげを作り、日射熱を防いでくれます。そしてその際は、窓の内側ではなく外側に取り付けることで、より効率よく暑さを防ぐことができるようになります。
窓の内側に取り付けると、窓そのものは直射日光にさらされるので、蓄熱して室内に熱気を発散します。暑さを防ぐためには、窓に直射日光を当てないようにすること、窓の外側を覆うように日よけを取り付けることが重要になるのです。
それでは窓の外側に取り付ける、おすすめの日よけを3つご紹介しましょう。
植物の日よけ「緑のカーテン」は実を楽しむことも、ただし片付けが必要
1つめは植物を育てて日よけをつくる「緑のカーテン」です。プランターなどに、つる性の植物を植え、窓の外側を覆って日よけにします。
緑のカーテンは、直射日光を遮りながら、植物の保水効果による気化熱で涼しい環境をつくってくれます。
緑のカーテンに向いている植物はツルで伸びるタイプです。ゴーヤ、へちま、ひょうたん、キュウリなどならプランターで栽培がしやすく、実がなる楽しみもあります。緑のカーテン事業として、さまざまな自治体でゴーヤなどの種や苗の配布を行っているので、確認してみましょう。
こちらは窓の上に取り付けるグリーンバーです。緑のカーテン用のネットを吊るすことができるほか、よしずを設置したり、目隠しを取り付けたり、タープを結ぶなど、さまざまな使い方ができます。
ただし緑のカーテンは、台風の時期の前には片付けておく必要があります。放置したままでいると強風で飛ばされて危険なこともあるからです。家の外観デザインを損ねないためにも、シーズンが終わったら片付けをしましょう。
ロールスクリーンタイプ「洋風すだれ」は、窓やウッドデッキの日よけに
窓の外側に取り付けるおすすめの日よけ2つめは、ロールスクリーンタイプです。すっと引き下ろすだけで手軽に日よけができ、使わない時はすっきり収納できるので、後片付けの手間も不要です。
こちらの日よけ「アウターシェード」は、日差しを窓の外で6~8割以上カットする効果があり、家の中を涼しく保ってくれます。
引き下ろす時はすっと軽やかに、固定する際はフックに引っ掛けます。収納時はソフトクローズ機能がついているのでブレーキがかかって静かに上がっていきます。
このようなロールスクリーンタイプは取り付けが手軽にでき、また取り付け方法によって、窓を覆う、ウッドデッキやベランダ部分まで大きく覆うなど、日よけ範囲をコントロールしやすいのがメリットです。
ロールスクリーンタイプの日よけは、取り付け位置によって直射日光を遮ることができる範囲が変わります。ウッドデッキがある場合は、できるだけ広範囲を日陰にできるようにしておくと、夏の暑い日でもウッドデッキを活用しやすくなります。
さらにこのようなシェード類は、選ぶ生地によって、内側からの見え方や、日射熱を遮る性能、そして外観イメージが変わります。
わが家の状況に合わせて、取り付け位置の検討と、生地選びをしっかり行いましょう。
窓辺にパラソル「オーニング」はおしゃれ度抜群、豊かなアウトドア空間に
窓の外側に取り付けるおすすめの日よけ3つめは、オーニングです。 オーニングとはパラソルのようなテントの屋根のこと。カフェや花屋の軒先などに設置されているのを見たことがある人も多いことでしょう。
オーニングは日よけ効果が高く、デザイン性に優れているため、最近は住宅でもよく使われるようになっています。こんなおしゃれな日よけなら、暑さを防ぐだけでなく、その下で過ごす時間を更に豊かにしてくれること間違いありません。
オーニングは大きなサイズに対応しているので、広い範囲で日よけができ、より快適なテラス空間が作れるのも魅力です。
駆動方式は、手動、電動、電動・手動併用、リモコン式などがありますが、やはり便利なのは電動です。急な雨でもスイッチひとつでオーニングを出すことができ、また風が強くなったらすぐに格納できるのでとてもラク。リモコン式なら、離れた場所からでも開閉が可能です。
また風力・陽光センサーが付いているタイプなら、強風を感知して自動的にテントを巻き取ったり、日差しを感知して自動的に張り出しや巻き取りを行なったりもしてくれます。
便利でおしゃれな日よけ商品が次々と登場しています。暑さ対策をしながら、更に心地よいアウトドアリビング空間にしたり、外観デザインのアクセントにしたり。日よけを使いこなして毎日を快適にお過ごしくださいね。
効率よく暑さを防ぐ、日よけ商品を詳しく知りたい
著者プロフィール
Yuu(尾間紫)
一級建築士/インテリアプランナー/インテリアコーディネーター/マンションリフォームマネジャー
長年リフォーム業界の第一線で、数多くの住宅リフォームの相談、プラン設計、工事に携わってきた経験から、本当に価値あるリフォームについて皆さまにお話します。過去を繕うものではなく、未来の暮らしを創る「リライフのリフォーム」を提唱。実践的なリフォームのノウハウを、テレビや雑誌、新聞連載、講演などを通して発信中です。著書に『リフォームはこうしてやりなさい(ダイヤモンド社)』など。Webサイト「リフォームのホント・裏話」(http://www.ne.jp/asahi/net/rehome/)でリフォームの実践的なノウハウを公開中