樹木を植える場所がなくても、立派な花壇がなくても、狭い庭でもガーデニングを楽しんで素敵な空間や時間を楽しむことができる。緑のある暮らしを実現するための方法をご紹介します。
1.ちょっとした隙間で緑を楽しむ
庭なんて、ほとんど無い!そんな家でも道路から玄関に向かうアプローチや駐車スペースは存在しているはずです。そのスペースの必要機能はそのままに緑を取り入れる方法。コンクリートで敷き詰めてしまいがちな床に10センチ程度の隙間を設けて土を入れると、植物を植えるスペースにすることができます。
例えば塀と駐車スペースの床の間に10センチの隙間を作っても、車を停めるにも乗り降りするにも邪魔にはなりません。ここに色んな種類の植物を植えるとこんなに素敵に。
小さなポットサイズの植物しか植えられませんが、気になる植物やお気に入りの植物を色々選んで植えることができます。季節ごとに植え替えるのも楽しそうです。華やかさの演出も十分可能なので、目につきやすいアプローチ沿いにもオススメです。
2.壁をグリーンウォールに育てる
こちらもちょっとした隙間があれば実現できる方法です。グリーンウォールに育てるために、壁に小さな根を貼り付けて広がっていく蔓性の植物を選びます。我が家では、10センチの隙間に「フィカス・プミラ」の9センチポット苗を植えてみました。
苗が根付くまでは、なかなか広がりませんでしたが2年経ったころ、ようやく広がり始めました。そして次第に広がりすぎてしまうので、増えすぎた部分を剪定して範囲をコントロールするほどに。
壁面が全て覆われるほど育てても良いし、白系の壁面を活かしながら適度に緑をあしらうのも素敵です。頻繁にお手入れができないけれどガーデニングを楽しみたい人、緑を増やしたい人にも始めやすいのではないでしょうか。
3.空へと誘引して緑と花のゲートを作る
樹木を植えた時のように、視線よりも背丈よりも高いところに緑が欲しい。家の外観を彩るように緑をあしらうことができたら、家の印象が一層素敵になるに違いない。でも狭い庭で大きな樹木を育てるのは難しい。狭い庭で高木の代わりになるような緑を取り入れるなら、ゲートへの誘引がオススメです。地面の土の面積も樹木ほど広く必要ありません。
ここは、30センチも無いくらいの隙間に「モッコウバラ」を植えています。「モッコウバラ」は蔓性植物ですが蔓から根を出して壁に吸着したり、蔓を巻いて掴まったりしないので、伸びた蔓を誘引する必要があります。伸びて広がって欲しい方向に誘引していきます。毎年少しずつ成長して、4年ほどで3メートルのゲートの端まで広がりボリュームもモリモリになりました。
一度植えると、そのまま育て続けるので最初に植物を選ぶときに花色や花の大きさなど好きなイメージのものに決めましょう。季節の変化を楽しむなら、毎年花咲く植物がオススメです。
4.道路と家の隙間で壁面緑化
道路に面して家が建っている場合、ほとんどの家は道路から50センチほど下がったところに建っています。高木を植えるには狭い、そのスペースを活用して立体的に緑を確保するなら、建物外壁に取り付け可能な「エスパリア ウォール」を活用します。
壁から30センチほど離れたところに凹凸のあるメッシュパネルが立つので、蔓性植物が絡みやすく成長しやすく、緑の密度もしっかり確保されます。緑を楽しむだけでなく、夏には日差しを防いで外壁の高温化を抑え室内温度の上昇を和らげるという効果も期待できます。
エスパリア ウォールと組み合わせる蔓性植物は、誘引する植物や蔓が巻き付く植物を選びます。数種類の蔓性植物を選び、開花時期をずらすことで、季節ごとに花の咲く景色を作ることも出来ます。実のなる蔓性植物「ブラックベリー」や「ピラカンサ」などを育てるのも楽しいガーデニングになりそうです。
5.庭全体がデッキやテラスの空間で楽しむガーデニング
狭い庭空間を有効活用する方法のひとつに、庭を部屋の延長と考えて庭全体にウッドデッキやタイルテラスを設ける方法があります。敷地いっぱいまで部屋の延長として使うと、利用価値は高まりますが樹木を植えるスペースが無くなってしまうのがデメリット。そこに緑を取り込みガーデニングを楽しむには、植物を立体的に誘引する方法が有効です。
デッキやテラスを覆うようにエスパリアの屋根を設けます。壁面緑化とパーゴラを組み合わせたデザインと同じ状態になります。地面に植物を植えて屋根の上まで誘引します。植物が全体に広がるには数年かかりますが、その時間を楽しむことこそガーデニングです。花が咲いたり実がなったり、数種類の植物を育てると楽しいです。「キウイ」や「ブドウ」などの果樹を育てて収穫することも可能です。
木陰を作ったり、風を弱めたり、心地よく庭で過ごすための環境も整えてくれる効果も期待できます。
狭い庭でガーデニングを楽しむ方法を5種類ご紹介しました。取り入れられる方法が、ひとつは見つかるのではないでしょうか。植物に触れる癒しの時間をぜひ、手に入れてください。
蔓性植物についてはこちらの記事を参考にしてみてください。
著者プロフィール
冨田ちなみ Gokansha(ゴカンシャ)
個人住宅の庭・外構や店舗のエントランスガーデンなど、あなたのライフスタイルに調和する外空間のデザインするGokansha(ゴカンシャ)代表。二級建築士、インテリアコーディネーター、二級造園施工管理技士、福祉住環境コーディネーター、園芸療法リーダー二級、ハーブコーディネーターなど様々な資格を持ち、建築士でもあるため住宅目線・エクステリア目線・ガーデン目線、それぞれの記事を発信いたします。E&Gアカデミー講師。