暑い夏、掃除機を掛けているとエアコンをつけているのに汗がびっしょり!なんてことありますよね。実はその暑さの原因は窓から入ってくる日射熱にあり、涼しくするためには窓の外側で対策することが肝心です。今回は、家の中の暑さの原因と、効果的な対策方法についてご紹介します。
家の中の暑さの原因は?日射熱で床の表面温度は50度にも達する
エアコンをつけているのに家の中が暑い!そんな時は、エアコンの温度を下げるのではなく、日射熱の対策をしてみてください。日射熱とは太陽が放出している熱エネルギーのことです。
日射熱は地球上のあらゆるものを熱し、蓄熱させます。例えば、真夏に直射日光が当たったアスファルトは、日射熱によって表面温度が60度にも達することがあります。またビルの壁やガラス、ガードレールなども日射熱によって熱せられ、周囲に熱気を発散します。これを「輻射熱」と言い、床暖房やパネル式ヒーターなどでその原理が使われています。だから夏に街を歩いていると、日陰に入っても、もわっとした暑さを感じるんですね。
実はこれと同じ現象が家の中でも起こっています。家の中に直射日光が当たると、床や壁、家具が熱を持ち、周囲に熱気を発散します。
以前、真夏の直射日光が当たっている室内のフローリングや壁の表面温度を測ったところ、なんと50度にもなっていました。床暖房の表面温度は30度程度ですから、真夏に超高温の床暖房や大型のパネルヒーターを常時付けているようなものです。これではいくらエアコンで空気だけ冷やしても、家の中は暑いまま、掃除機を掛けるだけで汗びっしょりになってしまいます。
手軽な日射熱対策に、家の中に太陽の光が入らないよう遮光カーテンを閉めて日射熱を遮る方法がありますが、それでは家の中が暗くなってしまいます。日射熱によって窓枠や窓ガラスも蓄熱するため、そこからの熱気は防ぐことはできません。
熱がいったん家の中に入ってしまうと、温度を下げるためには大きなエネルギーが必要になります。暑さ対策では、家の中に熱を入れないようにすることが、とても重要になるのです。
暑さ対策は窓の外側から優先的に、庭の日よけや窓の性能向上も
家の中を効率よく涼しくするためには、家の中に直射日光を入れないこと、そして窓そのものが熱せられないようにすることが大切ですから、窓の外側に日よけを付けておくといいでしょう。
例えば、ゴーヤやヘチマを育てて窓を覆う緑のカーテンは、日よけ効果に加えて、葉から水分が蒸発することによって周囲の温度を下げる効果が期待できます。ただし台風シーズンの前には、突風で飛ばされないよう、プランターやネット、添え木などは片付けておきましょう。
リフォームで後付けできる庇やオーニングもあります。またほかに、窓の外に取り付けるロールスクリーン型の日よけもあり、日差しの強い時だけサッと閉めて日射熱を遮り、夕方になったら開けて風通しよくすることができます。
窓そのものの性能を向上させる対策方法もあります。その際に注意しておきたいのは、断熱性能だけを向上させても日射熱は防げないことです。日射熱を防ぐためには、遮熱性能を持ったガラス(Low-Eガラス)が必要ですので、Low-E複層ガラスにすることで、遮熱も断熱性能も向上し、夏に涼しく、冬に暖かい快適な住まいになります。
家の中が涼しくなる、後付け可能なおススメの日よけ
それでは暑さ対策に効果が高い、おススメの日よけをご紹介しましょう。人気のロールスクリーンタイプは、サッと引き下ろすだけで手軽に日差しを遮ってくれます。使わない時はすっきり収納できるのが嬉しいところです。これなら台風の季節も安心ですね。
このようなロールスクリーンタイプは、選ぶ生地によって遮熱性能が異なります。事前にしっかりチェックして選びましょう。
オーニングを取り付ければ、庭の広い範囲で暑さ対策ができます。オーニングとはカフェの店先に取り付けてあるようなテントの屋根のこと。最近では、庭の暑さ対策に便利なアイテムとして、一般の住宅でもよく使われています。
オーニングは必要な時だけ出して使うのが基本です。こちらの製品は、電動・手動の併用式ですから、普段はスイッチひとつで簡単に開閉ができ、停電時は手動でも動かせるので便利です。
最後は、見た目がおしゃれで、性能も抜群な雨戸のように取り付けるルーバー引き戸です。雨戸のように左右に開閉することができるので、夏は閉じて室内への日差しを遮り、冬は明けて日差しをたっぷり取り込めます。
家の中の暑さの原因は窓の外で行うのが効率的です。しっかり暑さ対策すれば、快適なのはもちろん、夏の電気代の削減にもつながります。日よけを上手に使って、暑い夏を涼しく、エコにお過ごしくださいね。
著者プロフィール
Yuu(尾間紫)
一級建築士/インテリアプランナー/インテリアコーディネーター/マンションリフォームマネジャー
長年リフォーム業界の第一線で、数多くの住宅リフォームの相談、プラン設計、工事に携わってきた経験から、本当に価値あるリフォームについて皆さまにお話します。過去を繕うものではなく、未来の暮らしを創る「リライフのリフォーム」を提唱。実践的なリフォームのノウハウを、テレビや雑誌、新聞連載、講演などを通して発信中です。著書に『リフォームはこうしてやりなさい(ダイヤモンド社)』など。Webサイト「リフォームのホント・裏話」(http://www.ne.jp/asahi/net/rehome/)でリフォームの実践的なノウハウを公開中