庭的・駐車場のススメ

「庭」は広い敷地が持てる人のもの。狭小地の我が家では関係ないって思っていませんか?

「どこでも庭になる」それが私の持論です。アプローチでも駐車場でも敷地境界線と建物間の通路でも。狭くても関係ない、どこでも庭にすることができるのです。

庭という単語を辞書で引くと「屋敷の中の空き地や、草木を植えてあるところ」(角川実用国語辞典)とあります。そう「草木を植えてあるところ」は、それだけで「庭」と呼べるのです。そう考えると「どこでも庭になる」が可能だと思えてきませんか?

忙しい毎日を過ごしている人にこそ、庭を持って欲しい。少しの時間でも植物に触れて欲しい。それは気分転換になり忙しい毎日の癒しとなりホッとする時間になるはずです。

今回は、敷地の中で広い範囲を占有する駐車スペースを庭にする方法を探していきたいと思います。

植物の生息できる場所を見つける

車のタイヤが通るところは植物が生息することが難しい場所ですが、駐車スペースの中でもタイヤの通らないところや車体が通らないところは意外とたくさんあるものです。まずは、そんな場所を探してみましょう。植物は、ほんの10センチ程度の隙間でも生息することができます。

例えば隣地境界の塀沿いに土間を10センチだけ土で残したら、9センチ以下の小さなポット苗を植えることができます。年月が経って植物が成長して車の出し入れの邪魔になってきた時には剪定して成長を抑えてください。狭いなりのサイズで生息してくれます。写真の隙間にはアジュガやガウラ・アサギリソウ・フウチソウ・・・季節感も感じつつ冬にも緑が残るように常緑と落葉を混ぜて植えています。これだけで、もう魅力的な庭になっています。

 

例えば車止めの後ろ側。ここはタイヤが乗ることのない場所。上部に車体が覆い被さるので背の高くなる植物は厳しいですが、グランドカバーなら問題ありません。グリーピングタイムやフイリヤブラン・コクリュウ・ヒューケラなどが植えられています。写真の大きな植物たちは庭に植えられたものが駐車スペース側からも見えている状態。部分的に庭の中が見えて、そこから植物が顔を出すというデザインも植栽スペースを大きく確保できない時には効果的です。

 

足元だけでなく空間を立体的にみれば車の上部にも植物の居場所があることがわかります。ゲートを設けて、そこに蔓性植物を誘引します。モッコウバラは一年に数日間、素晴らしい景色を作ってくれます。常緑なので冬でも緑のゲートのままです。足元の小さな土スペースに植えたものが数年で見事に成長しています。蔓性植物なら何でも大丈夫。好きな花を探してみてください。

 

植物の生息できるところを探して緑を育てると、小さな隙間に植えたものが次第に成長して全体に緑のボリュームが出てきます。「車を停められる庭」のような雰囲気に成長してくれるのです。

 

ゲートは視覚的に空間を区切り、ゲートがあると囲い込む雰囲気になります。プライベートな空間という印象を与え、植物が絡まなくても庭的に感じさせる効果もあります。

YKK APリレーリア

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過ごせる場所をつくる

どんな場所でも「人が過ごす」というイメージが感じられると、庭という雰囲気が生まれます。駐車スペースにも、過ごせる場所を作れないでしょうか。

例えば隣地境界の塀沿いにベンチをひとつ置いて、周りに植物を植える。先ほどのように10センチの隙間に植えた植物でも十分です。塀を背景に絵になる場所が作れたら、すっかり庭のようです。塀がなければ、フェンスに蔓性植物を絡ませて緑の壁を作り、お隣との境目をわかりやすくして囲われ感を作ります。プライベートな雰囲気を感じられたら庭的空間に近づきます。駐車スペースに隣接するアプローチの中にあっても良いですね。休日にテーブルや椅子を持ち出して車のメンテナンスをするお父さんと一緒に家族で過ごす、なんて時間も持てそうです。

 

アプローチと駐車スペースはひとつの空間として考えたいです。そうすると工夫の余地も増えて、より魅力的な庭的な空間を生み出すことができるはずです。

YKK APリレーリア

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現在の住宅では車2台分の駐車スペースを確保することが多く、その面積は30 m2近くにもなります。その全体にコンクリートを敷き詰めるだけだと、どうみても殺風景です。住宅地の道路沿いに、そんな殺風景な空間が連なると心地よさとは無縁の景色になってしまいます。ひとつひとつの家が作り出す庭的空間が町の中に増え、繋がっていくことで町全体が庭のように豊かになっていく。当たり前の日常を過ごす場所が豊かに育ち、季節を感じ小鳥や蝶や虫も一緒に生きている。その中を通勤したり通学したり毎日が続いていく。そんな緑があるからこそ生まれる風景に心地よさを感じるのではないかと思うのです。庭のような駐車場、美しいだけではない効果をきっと感じてもらえるはずです。

 

著者プロフィール

冨田ちなみ Gokansha(ゴカンシャ)

個人住宅の庭・外構や店舗のエントランスガーデンなど、あなたのライフスタイルに調和する外空間のデザインするGokansha(ゴカンシャ)代表。二級建築士、インテリアコーディネーター、二級造園施工管理技士、福祉住環境コーディネーター、園芸療法リーダー二級、ハーブコーディネーターなど様々な資格を持ち、建築士でもあるため住宅目線・エクステリア目線・ガーデン目線、それぞれの記事を発信いたします。