フェンスは建物と敷地を囲むものですから、防犯対策にもなる代表的な外構(エクステリア)の一つと言えます。防犯性に適するフェンスという面では、外からの視界をさえぎるフェンスが安心できるように思われがちですが、そうとは限りません。地域や近隣の環境によっては、外からよく見えるフェンスのほうが防犯に役立つケースもあります。
この記事では防犯に役立つフェンスを紹介し、それからご自宅に合ったフェンスを選ぶポイントを紹介していきます。安全な環境で安らげる住まいづくりにお役立てください。
目次
フェンスが防犯に役立つ3つの理由
まず、フェンスがなぜ防犯に役立つのかということから確認していきましょう。
不審者が敷地内へ侵入することを防ぐ
フェンスがあれば、敷地内に侵入しにくくなります。高いフェンスなら乗り越えることも難しいでしょう。そのため不審者の侵入を防止することができます。
敷地内の生活を見られずに済み、プライバシーが守られる
敷地内での生活を外から見られずに済むことは、防犯に役立つ大きなメリットです。たいていの犯罪者は事前に下見をしますので、その時、外から生活の様子が見えてしまうと、家族構成を知られたり、家に誰もいない曜日や時間帯がわかってしまいます。敷地内がフェンスで遮られて見えなければそうしたことを知られずに済みます。また、空き巣や強盗、痴漢などの被害を防ぐのに役立つのです。近年では車の外からセキュリティやロックを解除する機器「CANインベーダー」を悪用して、ゲートを閉めて防犯カメラを設置していても車が盗まれてしまう事案も多発していますが、もし、外から敷地内がまったく見えなければ、何を盗めるかすらわからないはずですので、盗難のリスクを下げることができます。さらにフェンスはプライバシーを守るという観点でも有効です。敷地内の様子が見えなければ、例えば、外部者があなたの秘密を勝手に暴露し被害をもたらす可能性も下げることができるでしょう。
ごみの投げ込みなど、敷地外からいたずらをされにくい
ごみを自宅の敷地内に投げ込む迷惑行為をされ、多くの地域で悩みやトラブルの種になっています。悪質な場合は火のついたたばこを投げ込むこともあり、火災につながるおそれがあります。すき間の狭い格子フェンスを選べば、ごみの投げ込みなどのいたずらをされにくくなります。
防犯に役立つ5種類のフェンスを紹介
それでは防犯に役立つフェンスを5つ紹介し、それぞれのメリットとデメリットを確認していきましょう。
目隠しフェンス
隙間のない目隠しフェンスは、代表的な防犯向けのフェンスです。敷地外から室内や庭の様子が見えることがないので、安心して生活できるでしょう。風通しの悪さが気になる場合はルーバーフェンスを選ぶことで、外からの視界を遮りながら自然な風を楽しめます。
隙間が狭い防犯フェンス
横板や縦板の幅があるフェンスの中には、板と板の間の隙間が狭いものがあります。こうしたフェンスは、外からの視線を完全にカットしてしまうわけではありませんが、「何か動いているものはあるが、それが何かはわからない」という程度まで見えにくくするため、敷地内に何があるかはっきりわからなく、防犯に役立ちます。逆に庭などからは、フェンスに近づけば外の様子を見ることもできます。フェンスの隙間越しに敷地の中から自分が見られえているかもしれないという不安を侵入者に与えることになるので、犯罪の抑止力となるでしょう。
隙間が広く、見通しの良いフェンス
横板や縦板の隙間幅が広いフェンス、メッシュフェンスは隙間が目立ち、見通しが良いため、防犯には不向きと思われがちです。しかし、近所付き合いが活発だったり、地域ぐるみで防犯に取り組んでいるような場合には、むしろ見通しの良さが防犯につながることもあります。見通しが良いということは、不審者が敷地内に入り込んでいる様子も外から丸見えになることです。誰かが見ているかもしれない状態では侵入などの犯罪は実行しにくくなるはずです。敷地内に足を踏み入れただけで近隣の人が怪しみ、声をかけたりすれば、犯罪をあきらめさせることもできるでしょう。
ポリカーボネート製のフェンス
「しっかりと防犯を対策したいが、日当たりが悪くなるのも困る」とお考えの方には、ポリカーボネート製のパネルを使ったフェンスがおすすめです。YKK APはすりガラス調の製品を提供しており、これなら敷地外からは庭や室内の様子がはっきりと見えません。にもかかわらず、ある程度の日光を通すため、日当たりは一定に確保できます。防犯と日当たりの確保を両立できるフェンスと言えます。
先端が尖った鋳物風フェンス
鋳物風フェンスの中には、剣先などを模して先端が尖ったデザインの製品もあります。侵入しようとしても、身体に刺さりそうと思わせることができ、柵を越えて侵入することを思いとどまらせる効果があります。
フェンスが犯罪を助長する場合もある
外からの視線をシャットアウトするほど、防犯性が高いと思われがちですが、見通しが悪いフェンスが犯罪を助長する場合もあります。もし、不審者の侵入を許してしまった場合、中でどんな悪事を働いているかが外からは見えなくなるためです。侵入者にとっては、「誰かにみられているかもしれない」と不安を感じず、窃盗などの犯罪行為を許してしまう危険があります。このようなフェンスの場合は、フェンスだけでなく、防犯カメラやホームセキュリティなどの防犯対策も組み合わせるとよいでしょう。
防犯に役立つフェンスを選ぶ3つのポイント
最後に、防犯に役立つフェンスを選ぶポイントを3つ紹介します。以下の内容を参考にして、ご自宅に合ったフェンスを選んでください。
目隠しフェンスと見通しの良いフェンス、どちらを選ぶ?
どんなフェンスが防犯に役立つかということは周囲の環境によっても変わります。以下のような場合は周囲の目による防犯を期待できにくいと思われます。目隠しフェンスやすき間の狭いフェンスを選び、外から中を見えにくくし、防犯に役立てることが期待されます。
- 近所づきあいがあまりない
- 家の前の人通りが少ない
- 見知らぬ人が通ることが多い
逆に、近所づきあいが活発な場合は、周囲の目による防犯を期待できます。この場合は、見通しの良いフェンスを選ぶのがいいでしょう。
目隠しをするなら、道路面から1.8メートル以上の高さとなるフェンスをおすすめ
目隠しフェンスを設ける場合は、道路面から1.8メートル以上の高さとなる製品を選びましょう。それよりも低い、例えば、1.6メートル程度の高さだと、背伸びすると中が見えてしまうことがあります。フェンスの高さについては「我が家の目隠しフェンスに必要な高さや種類・特長、価格などを解説」記事で解説していますので、あわせて参考にしてください。
先端が尖ったフェンスを用意する方法もある
先端が尖ったフェンスは、侵入されにくいメリットがあります。デザインが剣先の鋳物風フェンスを用意する代わりに、普通のフェンスに「忍び返し」を後付けする方法も選べます。ただし、設置やメンテナンスの際にけがをしないよう注意しましょう。
防犯についての不安や疑問、フェンス選びなどは、エクステリア専門の施工店に相談するのがおすすめです
より防犯性能を高めるために、地域の防犯程度や立地条件、ご近所同士のお付き合い度などといった、お住まいの環境に合った種類のフェンスを選びましょう。例えば、建物や玄関、庭との位置の確認、敷地全体のデザイン・色の組み合わせ、そして、防犯についての考え方や近隣とのお付き合いのしかたなど、どのような希望をもっているかによって選ぶべきフェンスは異なります。防犯は極めて重要な安全と安心の基礎ですし、フェンスの設置には、設計や施工するための条件や規定、フェンスの素材や施工方法などを検討することが必要です。このため防犯にも詳しい専門家に依頼するのがおすすめです。防犯について、気になっていることや不安なことなどをエクステリア専門施工店に相談して、我が家に相応しい、防犯を含めた外構、フェンスのプランを提案してもらいましょう。