庭を有効活用する目隠しやレイアウトのアイデアと施工事例【YKK AP 2022年度コンテスト入賞作品より】

庭を快適なアウトドアリビングとして活用するには、効果的な目隠しや快適性を高めるためのレイアウトの工夫が必要です(YKK AP エクステリア スタイル大賞2022年ガーデン部門ベストスタイル賞 採用商品:パルトナーUDフェンス・リウッドデッキ200・ルシアスハイパーティション・ソラリアテラス囲い/設計施工:株式会社 サンワ興建) 

庭は大切な生活空間。プラン次第でもっと豊かで楽しい毎日を過ごせるようになります。今回はYKK AP エクステリア スタイル大賞2022を受賞した施工事例を参考に、庭を有効活用するための目隠しやレイアウトのアイデアをご紹介しましょう。

オープンスタイルの庭は、目隠しを適切にレイアウトしてデメリットを解消

庭を有効活用する目隠しやレイアウトのアイデアと施工事例【YKK AP 2022年度コンテスト入賞作品より】

連棟スタイルのオープンスタイルの庭も、フェンスや植栽で目隠しをすれば落ち着いた空間になります(YKK AP エクステリア スタイル大賞2022年分譲街並み・公共施設部門シルバースタイル賞/採用商品:リウッドデッキ200/設計施工:株式会社 ウィル

ひとつめはオープンスタイルの庭を視線が気になる部分にポイントを絞って目隠し、オープンならではの悩みを解決しながら庭の有効活用ができるようにしたアイデアです。

オープンなスタイルの庭とは、クローズドスタイルのように敷地をフェンスや塀で囲うのではなく、道路に向かって開放的な作りにすること。庭全体が明るく、風通しよくなり、また敷地を広く見せる効果もあることから人気のプランになっています。

でも実際に暮らし始めてみると、意外な問題点も。中でも多い悩みが、開放的過ぎて通行人やご近所の視線が気になる、知らない人が敷地内に入ってきてしまうという悩みです。

オープンスタイルの庭はプライバシーの確保と防犯がデメリットになりやすいので、目隠しと境界をはっきりさせるための対策をしておく必要があります。

上の写真は、連棟スタイルの住宅地で開放的な庭づくりをしながら、これらの悩みを解決した施工事例。YKK AP エクステリア スタイル大賞2022年の受賞作品です。

外部からの視線が気になりそうなポイントごとにフェンスや植栽をレイアウト。オープン外構ならではの明るさや解放感を損ねることなく、さりげなく目隠しをしています。そしてその奥にはリウッドデッキを設置。これなら視線を気にしないで済むので、落ち着いてコーヒータイムを楽しめそうです。

玄関アプローチは柔らかなカーブを描くレンガ仕上げで、人が動く道筋を明確化。また地面の素材や色など仕上げの変化で敷地境界を意識させ、敷地内への踏み込みを自然に防いでいます。

彩り豊かな植栽、視線をコントロールするフェンス、ナチュラルな足元のレンガやグランドカバー植栽、そしてくつろぎの場となるリウッドデッキが作り出す風景はまるで森の中にある住まいのよう。実際に住んでいる方の評価もとても高いとのこと。

ポイントを絞った目隠しや境界を意識させるレイアウトの工夫でオープンスタイルの庭のデメリットを解消しながら、くつろぎのアウトドアリビング空間を生み出した施工事例です。

目隠しは圧迫感がないよう、フェンス選びや植栽の工夫をする

庭を有効活用する目隠しやレイアウトのアイデアと施工事例【YKK AP 2022年度コンテスト入賞作品より】
庭を有効活用する目隠しやレイアウトのアイデアと施工事例【YKK AP 2022年度コンテスト入賞作品より】

目隠しフェンスを上手に選べば、外からの視線を遮りながら、快適な空間づくりができます。アルミ製なら高尺のフェンスでも風通しよく軽やかな印象です(YKK AP エクステリア スタイル大賞2022年ガーデン部門シルバースタイル賞/採用商品:ルシアススクリーンフェンス/設計施工:積水ハウス 株式会社 大阪北支店)

次は、外からの視線が気になる庭に、解放感を損ねることなく目隠しを設置。さらに豊かな風景を生み出したアイデアです。

落ち着いた毎日を過ごすためには、外からの視線対策が欠かせません。でも目隠しをすると圧迫感や風通し、日当たりが気になることも。高い塀で囲んでしまえば、閉鎖的な雰囲気になり、風通しや日当たりが悪くなれば湿気やカビも心配です。

上の写真は、丸見えになりがちな庭とリビングをしっかりと目隠しをしながらも、フェンス選びや植栽の工夫で開放的に暮らせるよう工夫をした施工事例です。

こちらは北面が高台になる閑静な住宅地。大きな窓がある開放的なリビングダイニングですが、どうしても北側からの視線が気になります。そこで、その1面全体に通風に優れたルシアス スクリーンS1型を設置しました。

ルシアス スクリーンS1型は無駄な装飾を省いたモダンなデザイン。アルミだからこそ、高さがあってもとても軽やかです。水平の格子が光や風を通しつつ、外からの視線をさりげなく遮ってくれます。

また1面全体を覆うことで外観デザインの美しいアクセントにも。フェンス選びの際には機能+家を引き立てるデザインであることが重要です。

フェンスと家の間の細長い庭には、リビングから美しく見えるよう植栽をレイアウト。手前の植物とフェンス越しの景色が相まって、窓から見える風景がより豊かに感じられるようになります。

このような目隠しフェンスは、単体ではなく植物と組み合わせるのがポイント。ルシアス スクリーンS1型は風通しのいいフェンスです。木々の間を抜けて入ってくる自然の風はとても気持ちがいいことでしょう。

メリハリがない庭は、パーツでダイナミックにゾーニングして有効活用

庭を有効活用する目隠しやレイアウトのアイデアと施工事例【YKK AP 2022年度コンテスト入賞作品より】

最後の事例は、エクステリアパーツを活用、庭にメリハリを生み出して、もっと楽しいスペースとして活用できるようにしたアイデアです。

庭はあるけれど上手く活用できていない、殺風景でなんとなくメリハリがない、こんな悩みを抱えている人は少なくありません。その原因のひとつに、「ゾーニング」ができていないことがあります。

ゾーニングとは目的に応じて空間をブロック分けすること。ただ広いだけではどこで何をしていいか分からなくなってしまいます。

まずは庭のどの辺りでどんなことをしたいのかを考えてみましょう。その際には視界に入る景色や、人が歩く経路などもあわせて計画をすることが大切です。

例えば、庭でバーベキューをしたいなら、コンロを置く場所が必要です。そこからきれいな景色が見えれば楽しい時間になることでしょう。同時に外部からの視線対策もしておきたいものです。

バーベキュースペースの床はタイルやレンガ敷きにすれば独立感が生まれ、掃除もしやすくなります。日よけがあれば更に快適です。

加えて、水場やキッチンから移動がしやすければ準備や後片付けがラクにできるようになります。その際は移動経路をレンガ敷きなどにして領域をはっきりさせるとゾーニング効果が高まり、見た目にもメリハリが生まれます。

庭を有効活用する目隠しやレイアウトのアイデアと施工事例【YKK AP 2022年度コンテスト入賞作品より】
庭を有効活用する目隠しやレイアウトのアイデアと施工事例【YKK AP 2022年度コンテスト入賞作品より】

広い庭はゾーニングをすればメリハリが生まれ、活用度も大幅アップ。フレームにタープを取り付ければ庭でグランピングも楽しめます(YKK AP エクステリア スタイル大賞2022年ガーデン部門ブロンズスタイル賞/採用商品:リレーリア フロントフレーム/ポラスガーデンヒルズ 株式会社 街並デザイン室)

上の写真は庭の要所にリレーリアフロントフレームを使ってアーチを設置。庭空間をボーダレスにゾーニングした施工事例です。リレーリアフロントフレームは、パーツを組合せて敷地全体を彩る外構システムで、塀を作ることなく、視覚的な境界や仕切りを作ることができます。

こちらの事例では、隣地やアプローチ、カースペースとの境界にアーチを設置。すべてがひろびろとした一体的な空間でありながら、それぞれの空間の用途を明確化しています。

庭のゾーニングをする際には、床面だけでなく、このようにフレームを使って空を切り取るように計画をすると、ダイナミックでメリハリのある庭づくりができます。

アーチはタープを取り付けるフレームとしても大活躍。タープの下はまるでひとつの部屋のような雰囲気になり、わが家で手軽にグランピングを楽しめるようになります。

リレーリアフロントフレームは、フレーム、スクリーン、ウォールの3つのアイテムを組合せることで、さまざまな空間づくりができるシステム化された外構パーツです。上手にレイアウトすれば、さらに庭の有効活用ができるようになることでしょう。

今回はYKK AP エクステリア スタイル大賞2022の受賞作品を参考に、庭を有効活用するための目隠しやレイアウトのアイデアをご紹介しました。庭は大切な生活空間です。ただ眺めるだけではもったいない!わが家ならではの楽しいレイアウトを考えて、さらに庭の活用度をアップさせる工夫をしてみてくださいね。

こちらは個性的で上質な雰囲気が漂うカーポートの施工事例のセレクト集です。あわせてご覧になってみてください。

庭を有効活用する目隠しやレイアウトのアイデアと施工事例【YKK AP 2022年度コンテスト入賞作品より】

高級感を演出する!カーポートの施工事例【YKK AP 2022年度コンテスト入賞作品より】

2023.02.10

 

 

著者プロフィール

庭を有効活用する目隠しやレイアウトのアイデアと施工事例【YKK AP 2022年度コンテスト入賞作品より】

Yuu(尾間紫)
一級建築士/インテリアプランナー/インテリアコーディネーター/マンションリフォームマネジャー

長年リフォーム業界の第一線で、数多くの住宅リフォームの相談、プラン設計、工事に携わってきた経験から、本当に価値あるリフォームについて皆さまにお話します。過去を繕うものではなく、未来の暮らしを創る「リライフのリフォーム」を提唱。実践的なリフォームのノウハウを、テレビや雑誌、新聞連載、講演などを通して発信中です。著書に『リフォームはこうしてやりなさい(ダイヤモンド社)』など。Webサイト「リフォームのホント・裏話」(http://www.ne.jp/asahi/net/rehome/)でリフォームの実践的なノウハウを公開中

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