庭のデザインは日々進化しています。今回ご紹介するのは、先日発表されたYKK AP エクステリア スタイル大賞2024のガーデン部門の受賞作品の中から、庭づくりに役立つ最新の施工事例を一級建築士がピックアップ。写真と共に解説します。すぐに取り入れたくなるおしゃれで実用的なアイデアが満載です。
目次
卓越したエクステリアデザイン。
庭は、ここまでおしゃれに素敵にできる
庭のデザイン次第で、暮らしの質は大きく変わります。どこから見ても美しく、そこにいるだけで幸せを感じられるような庭なら、毎日がもっと豊かで楽しくなることでしょう。
でも、インテリアと違って、エクステリアのデザインは難しいと感じる人が多いのではないでしょうか。特に庭は、スケールが大きく、天井や壁も無いため、空間にメリハリをつけるのが難しいもの。また、屋外ならではの「外部からの視線」の悩みもつきものです。
そんな時に頼りになるのが、フェンスやフレーム、屋根テラス、ウッドデッキといったエクステリア製品です。シリーズを揃えて選べば、トータルでもコーディネートがしやすく、植栽や照明と組み合わせることで、庭の使い勝手や美しさを格段にアップさせることができます。
今回ご紹介するのは、毎年開催されているYKK AP エクステリア スタイル大賞2024の「ガーデン部門」受賞作品から、庭づくりに参考になる施工事例です。
エクステリア製品と植栽の絶妙な組み合わせや、狭い庭でもおしゃれで素敵な空間にするアイデアなど、見どころ満載!最新の施工事例を参考に、理想の庭づくりを始めましょう。
フェンスを背景に風景を作り出す。
狭小地でも人気の庭デザイン
上記の写真は、YKK AP エクステリア スタイル大賞2024年ガーデン部門シルバースタイル賞受賞作品です。
リビングから見えるフェンスのデザインを、インテリアとトーンを合わせることで、内と外に一体感を生み出し、ひとつの大きな空間を構成しています。
そして、大きなポイントとなっているのが、このフェンスが庭デザインの「背景」として機能している点です。使用されているのは、高さのある「ルシアス スクリーンフェンス」で、目隠し効果だけでなく、庭の木々をより美しく引き立てる効果があります。
このような、高さのある目隠しフェンスを背景にした庭づくりは、まるで絵画のような美しい風景を作り出します。またプライベート性の高い庭空間になるため、外部からの視線が気になる庭や狭小地、細長い形状の庭などでも取り入れやすいデザインです。
ポイントは、木々の緑が映えるデザインのフェンスを選ぶこと、立体感を演出するためにさまざまな高さや葉の色を持つ木々を組み合わせること、また余計なものが視界に入らないよう、どこから何が見えるのかをしっかり吟味することです。
フェンスを背景に風景を作り出す庭づくりは、隣家が近い都市部でも人気のデザイン。わが家だけのプライベートな美しいガーデンが作れます。
庭との一体感がある暮らし。
フローリングから続くリウッドデッキ空間
室内から庭への繋がりを強めると、毎日の暮らしは外に向かって大きく広がります。そして、その橋渡しとなるのがウッドデッキです。
こちらの写真は、YKK AP エクステリア スタイル大賞2024年ガーデン部門シルバースタイル賞受賞作品です。
リビングから続く庭部分には、フローリングの色を揃えて「リウッドデッキ」を設置。床の高さを揃えているので、段差なくスムーズに庭へと出られます。
室内から庭に出る際の大きなハードルとなっているのが床の段差です。この段差を解消すれば、内外の繋がりは一層緊密になり、たとえば、コーヒーと本を持って庭に出るなんてことも気軽にできるようになることでしょう。
どんなに素敵な庭でも出入りがしにくいと、どうしても足が遠のいてしまうもの。庭づくりの際には、庭への出やすさを検討しておくと、庭の活用度が大きく上がります。
雨の日も快適な屋外スペース。
アメリカンスタイルのカバードポーチ
カバードポーチとは、屋根付きのポーチのことで、アメリカンスタイルの家に多く見られる特徴的なデザインです。
こちらの写真は、YKK AP エクステリア スタイル大賞2024年ガーデン部門ブロンズスタイル賞受賞作品。折板カーポートの「ジーポートPro」と、「リウッドデッキ200」を使って、カバードポーチを設置した施工事例です。
カバードポーチは屋根があるため、雨の日でも快適に過ごすことができ、夏は直射日光を遮り、室内を涼しく保つ効果もあります。もちろん、ソファや椅子を置けば快適なアウトドアリビングに早変わりし、玄関周りには宅配荷物や自転車、プランター、植木鉢などを置けるなど、さまざまな用途に活用できる空間です。
また、家の外観をよりおしゃれに見せてくれる効果もあり、まさに実用性とデザイン性を兼ね備えたスペースになります。
カバードポーチは、玄関周りや庭だけでなく、家の周囲をぐるりと取り囲むように作ることも。異国情緒たっぷりなカバードポーチを取り入れれば、新しい暮らしとデザインを楽しむことができるようになるでしょう。
木立に囲まれた癒しのデッキ空間。
植栽+リウッドデッキの組み合わせ
「リウッドデッキ」を設置した空間の快適度を更に高めてくれるのが、植栽です。デッキを囲むように植えられた木々は、涼やかな木陰を作り、その間を心地よい風が通り抜けてくれます。
こちらの事例は、それぞれYKK AP エクステリア スタイル大賞2024年ガーデン部門ベストスタイル賞を受賞した作品です。両方とも、庭に「リウッドデッキ200」を設置し、周囲に木々を巡らせることで、心から癒しを感じさせてくれるスペースになっています。
木々をレイアウトする際には、地域によって適した樹種が異なりますが、落葉樹と常緑樹、葉の色の濃淡、高さのバランスを取り、外部からの視線やデッキからの見え方をよく検討することが大切です。
注意点は、あまり木を密集させすぎないこと。樹種によって成長の度合いが異なるので、それを考慮して間隔を開ける必要があります。密集しすぎると閉鎖的な雰囲気になってしまうので、目隠しが必要な場合は、適宜フェンスと組み合わせるといいでしょう。
季節ごとの変化が感じられるよう、花が咲いたり、紅葉したり、実がなったりする木を選ぶのも楽しいもの。自然に囲まれた空間は、ストレスの多い社会の中で生きる現代人の心を癒してくれることでしょう。
今回はYKK AP エクステリア スタイル大賞2024のガーデン部門の受賞作品の中から、庭づくりの参考にしたい、最新のガーデンデザイン施工事例をセレクトしてご紹介しました。
下記に、庭やテラスを憩いの場にする「目隠し」に取り入れやすい、おすすめフェンスをご紹介しています。快適な庭づくりの参考にしてみてくださいね。
著者プロフィール
Yuu(尾間紫)
一級建築士/インテリアプランナー/インテリアコーディネーター/マンションリフォームマネジャー
長年リフォーム業界の第一線で、数多くの住宅リフォームの相談、プラン設計、工事に携わってきた経験から、本当に価値あるリフォームについて皆さまにお話します。過去を繕うものではなく、未来の暮らしを創る「リライフのリフォーム」を提唱。実践的なリフォームのノウハウを、テレビや雑誌、新聞連載、講演などを通して発信中です。著書に『リフォームはこうしてやりなさい(ダイヤモンド社)』など。Webサイト「リフォームのホント・裏話」(http://www.ne.jp/asahi/net/rehome/)でリフォームの実践的なノウハウを公開中