敷地境界沿いを囲うフェンス。たくさんの種類があって、どれを選べばいいのか、何を基準に考えればいいのか迷います。フェンスを選ぶ時のポイントは、侵入防止や目隠しなどの必要な機能を見極めること。家の外観イメージに馴染むコーディネートを心がけること。これらのポイントを押さえていけば我が家らしい外観が完成します。
今回は、家とフェンスのコーディネートについて解説していきます。
イメージを決める
我が家の外観はどんなイメージでしょう?その外観にエクステリア(外構)を加えて道路から見た時の我が家をどんな雰囲気にしていきたいですか?まずは、そこを決める必要があります。どんなイメージにしたいのかが、あやふやだと何かを選び取ることはできません。例えば、優しいナチュラルな雰囲気。シンプルでカッコイイ雰囲気。大人っぽく落ち着きのあるおしゃれな雰囲気。どんなイメージが好きなのか。流行より自分自身の好きを大切に考えてください。好きなイメージは一番心地よくいられる空間に繋がります。
フェンスのデザインと色
フェンスを比較するときに見るところは、高さ・目隠し度合い・格子デザイン・カラー。高さや目隠し度合いは、どれくらいのものが必要か状況に合わせて考えられるので、わかりやすいですね。迷う部分は格子デザインとカラーではないでしょうか。
格子デザインの基本形は、タテ格子か横格子。
建物の外観の中にタテかヨコのラインが印象的な部分があれば、それに合わせて選択するのが良いと思います。ヨコ格子にはアレンジタイプも豊富です。
格子の大きさを変えて動きを感じさせるデザイン。軽やかな印象もあります。落ち着いた印象にしたい時には均一格子を選び、スタイリッシュ感を求めるなら動きのあるタイプがオススメです。
カラーは白系・黒系・木調ダーク系・木調ライト系などが一般的です。
建物外観に使われている色に近いものを選ぶのが基本。建物と外構に統一感が出るように。バラバラだと雑多な雰囲気がチープさを感じさせることもあるので気をつけたいところです。
フェンスは一色使いのものがほとんどなのですが、フェンスの中で二色使いのコーディネートができるものもあります。
色のコントラストが大きいと軽やかな印象になりますね。木調でも少し黒が入るとカッコイイ印象が強くなります。目隠しタイプでは、木調一色使いの場合よりモダンに近づきます。
イメージ別 フェンスコーディネート
このようにフェンスはバリエーションがとても多いので、どれを選べばいいの??と決め切れないのです。では、ここからはイメージ別にどんなフェンスが良いのか具体的に選んでいきましょう。
<ナチュラル>
明るく緑が似合うナチュラルな印象の外観。ナチュラルイメージには、シャープなアルミカラーより、やはり木調カラーを選びたいですね。建物の木部の色と玄関扉の横板張りなどを踏まえて選びます。
ベーシックセレクトなら木調横板貼タイプ。目隠しも不安のない程度で風通しも確保できているので、敷地側に植えた植栽も元気に育ってくれるはず。これだと少し重いなーもう少し軽やかな方が好み。そんな時は、格子サイズに動きのあるデザインを選んでくださいね。フェンスは侵入防止や境界をわかりやすくするために必要だけど、植栽をたくさん植えて緑を強調したい。そんな場合はフェンスという存在感を押さえラインが印象的なタイプがオススメです。
<モダン>
ホワイト系とブラック系など、明るい色と暗い色を使ったコントラストのある色使いの外観はモダンな印象になります。この家は、白い外壁の中で玄関扉と玄関ポーチにグッと深い色が使われていてコントラストが効いていてモダンイメージ。とてもスタイリッシュでもありカッコイイ。建物外観の良さを損なわずコーディネートできるフェンスを選びます。
ひとつめは、できるだけ存在感を抑えたタイプ。軒裏の木調カラーと合わせた笠木を選びました。建物のカッコイイを邪魔していないと思います。背の高いフェンスなら外壁色に合わせることで建物外観に馴染ませます。フェンスの面積が大きすぎないなら、扉やポーチの深い色をつなげてもOK。面積が大きくなると建物に比べてフェンスが目立ちすぎてしまいます。木調だけで構成されたフェンスより、少し黒が効いたデザインならスタイリッシュさもキープできます。
<シック>
色のコントラストを押さえ鮮やかな色を避けて、グレイッシュにまとめられたシックな外観。落ち着いていてオシャレなイメージです。フェンスを選ぶときには建物に馴染むように意識します。外観とフェンスにコントラストが生まれてしまうと一気にモダンな印象に傾いてしまうので気をつけて。
建物外観を観察してみると、玄関扉のタテ板貼や2階窓のタテ格子、オーニングのストライプ・・・と縦ラインが多いことに気づきます。それを踏まえるとフェンスも縦ラインを選ぶことになります。ひとつ目は目隠しタイプ。黒ではなく「桑炭」という黒より少し柔らかい色を選びました。2つ目も色がポイントで「グラングレイ」というこちらもニュアンスのある色です。最後は存在感の少ないデザイン。アルミカラーを選ぶなら黒系を。建物の窓枠やドアノブなどが黒なので、そこに合わせます。
フェンス選びは、建物外観の観察と我が家の目指すイメージをクリアにすることが大切です。今回ご紹介したナチュラルイメージの外観も、玄関扉の色がもっと明るい木調色だとフェンスも合わせて明るい色になります。こんな風にフェンス選びは建物の影響を大きく受けます。それは庭でも同じ。庭の場合は、部屋の中から眺めることを重視して、インテリアとの繋がりを作っていきます。
いかがでしたか?我が家の外観を眺めながら我が家らしいフェンスを見つけてくださいね。
著者プロフィール
冨田ちなみ Gokansha(ゴカンシャ)
個人住宅の庭・外構や店舗のエントランスガーデンなど、あなたのライフスタイルに調和する外空間のデザインするGokansha(ゴカンシャ)代表。二級建築士、インテリアコーディネーター、二級造園施工管理技士、福祉住環境コーディネーター、園芸療法リーダー二級、ハーブコーディネーターなど様々な資格を持ち、建築士でもあるため住宅目線・エクステリア目線・ガーデン目線、それぞれの記事を発信いたします。E&Gアカデミー講師。