庭に日陰を作ると、何となく庭に出たくなります。日差しの強い夏でも、日陰があれば涼しさを感じられるようになり、室内での温度上昇を抑える嬉しい効果も。効果的に木を植えて木陰を作ったり、シェードやテラス屋根を取り付けて大きな日陰を作ったり。暮らしをぐんと快適にしてくれる、庭の日陰の作り方をご紹介します。
目次
庭に日陰があると家の中まで涼しくなる。紫外線対策もより重要に
夏の暑さの主な原因となっているのは、太陽光が運んでくる日射熱です。日当たりのいい庭は気持ちがいいものですが、日射熱がふんだんに降り注ぐので夏に暑く、油断していると庭で熱中症を起こしてしまうことも。
実際に、熱中症の救急要請時の発生場所では、住居が最も多いと報告されています。
(東京消防庁データより) https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/topics/season/gaiyou.html
また気になるのが紫外線です。気象庁によれば、地表に到達する紫外線量は年々増加傾向にあり、1年を通しては4月頃から強くなります。紫外線は健康に欠かせない要素ですが、浴び過ぎると日焼けだけでなく健康への悪影響も懸念(※)されているため、やはりしっかりとした対策をしておきたいもの。
(※国立環境研究所資料より)https://www.nies.go.jp/kokkanken_view/lite-20240325-15.html
家の中でも、日当たりのいい部屋は日射熱によって暑さを感じやすく、紫外線の影響を受けやすい状況にあります。
快適に暮らすためには、夏の太陽光をしっかりと遮ることが必要です。庭に日陰を作れば、また窓の外に日よけを取り付けておけば、庭にいても、家の中にいても日射熱や紫外線を防ぎやすくなり、毎日を心地よく健康的に暮らせるようになります。
植物の力で日陰を作る。落葉樹なら冬はぽかぽか温かくなる
植物が作る日陰は気持ちがいいものです。植物には蒸散作用と呼ばれる水蒸気を発散させる性質があり、暑い夏には周囲の温度を下げてくれる効果もあります。
また植物に囲まれた空間は、精神をリラックスさせる効果もあります。人が視界の中で占める緑の割合を「緑視率」といい、緑視率を高めると心理的なうるおいを感じやすくなることが分かっています。
庭の周囲にも日陰ができやすいように植物をレイアウトすれば、涼しさを感じられるようになり、また緑視率が高まることでリラックスしやすい庭空間になります。
日陰を作りやすく、庭に取り入れやすい植物には、ソヨゴ、アオダモ、イロハモミジ、シマトネリコなどがあります。ポイントは常緑樹と落葉樹を上手に組み合わせて植えること。目隠しを兼ねる場所には常緑樹を、冬は日当たりよく夏は日陰を作りたい場所には落葉樹を植えるといいでしょう。
モダンな雰囲気にしたいなら、薄い葉が重なり合うような樹種を選んで。軽やかな雰囲気で、木々の間を気持ちのいい風が通り抜けてくれます。
窓全体を覆うように日陰を作る。「すだれ」や「よしず」、シェードで日差しをカットする
庭全体を日陰にするのは難しい場合は、まずは窓周りを日陰にするところから始めましょう。昔から使われてきた「よしず」や「すだれ」は、夏を涼しく過ごすための先人たちの知恵。窓まわりに日陰を作ると、室内の温度上昇を抑えることができるので、夏を快適に過ごせるようになります。
植物を育てる自信がない、枯れた後の後片付けの手間が面倒に感じる場合は、手軽に取り付けができるロールスクリーンタイプの日除けシェードを設置するといいでしょう。
こちらは窓の外に手軽に取り付けができるロールスクリーン型の日除け「アウターシェード」です。窓全体を覆うように日陰を作ってくれるので、主に窓に面した外部と、室内を涼しくする効果があります。
使用する際は、ボトムバーを持ってシェードを下ろしてフックに引っ掛けるだけ。使わない時は、ソフトクローズ機能で一定のスピードで巻き上がって収納されます。フックはベランダの手すりやフェンスにも取り付けができます。
アウターシェードは、日差しを8割り以上カットする機能を持ち、紫外線カットの効果も併せ持っています。生地により性能が少しずつ異なりますので、わが家の立地条件や日当たりなどの状況に合わせて選びましょう。
電動式で楽に操作して日陰を作る。窓上にオーニングを取り付ける
広く大きな範囲を日陰にしたい場合は、オーニングを取り付けるアイデアもあります。オーニングとはテント地でできた大きな日よけのこと。おしゃれな花屋さんやカフェなどの店先で、パラソルのような日よけテントをご覧になったことがある方もいらっしゃることでしょう。
オーニングは窓に面した庭の広い範囲に日陰を作ることができ、日射熱と、地面から放射される熱の両方をカットするので、体感温度が大きく下がります。
もちろん、室内の温度上昇も抑えてくれるので、エアコンの稼働時間を減らすことができ、省エネな暮らしができます。
テラス屋根で大空間の日陰を作る。独立式や壁付け式など我が家に合わせて選ぶ
本格的に庭に屋根を作るアイデアもあります。大型のデッキ空間に対応できる大型のテラス屋根なら、大空間の日陰を作ることが可能です。
このようなテラス屋根の屋根葺き材には、主にポリカーボネート板が使われます。ポリカーボネート板は選び方によって熱線のカット率が変わり、明るさを確保しながらも紫外線はしっかりとカット。
YKK APには様々なテラス屋根のシリーズがあり、ポリカーボネート板以外にも、より高性能な熱線遮断FRP板を選ぶことができ、その場合は熱線の70%をカットしてくれます。
またテラス屋根取り付けで気になるのが、取り付け方法です。
テラス屋根は大きく分けて「壁付けタイプ」と「独立タイプ」があり、独立タイプは住宅の外壁へのビス固定が不要。外壁に穴を開けることなく設置が可能です。
もっとしっかりと庭に日陰を作りたい場合は、テラス屋根の内側に天井カーテンを取り付ける手も。下の画像は、木調テラス屋根「サザンテラス」に天井カーテンを取り付けた様子です。パーゴラのような雰囲気のあるデザインで、カーテンと共に庭を素敵に演出してくれます。
庭に日陰を作れば、庭も家の中も快適になります。植物やシェード、オーニング、テラス屋根などを上手に組み合わせて、快適な庭づくりを目指してみてくださいね。
窓に小さな庇をつけるだけでも、家の中を快適にすることができます。窓庇のメリット・デメリット、後付けリフォームが可能でおしゃれなデザインの窓庇製品を下記でご紹介していますので、家づくりの参考にしてみてください。
著者プロフィール
Yuu(尾間紫)
一級建築士/インテリアプランナー/インテリアコーディネーター/マンションリフォームマネジャー
長年リフォーム業界の第一線で、数多くの住宅リフォームの相談、プラン設計、工事に携わってきた経験から、本当に価値あるリフォームについて皆さまにお話します。過去を繕うものではなく、未来の暮らしを創る「リライフのリフォーム」を提唱。実践的なリフォームのノウハウを、テレビや雑誌、新聞連載、講演などを通して発信中です。著書に『リフォームはこうしてやりなさい(ダイヤモンド社)』など。Webサイト「リフォームのホント・裏話」(http://www.ne.jp/asahi/net/rehome/)でリフォームの実践的なノウハウを公開中