自宅で野菜を育て始める人が増えています。広い畑を借りるのではなく自分の庭で少しだけでも自給する。その楽しさに気づき始めた人が増えているのかもしれません。土のある庭がなくてもプランターで大丈夫。今年は夏野菜を育てることにチャレンジしてみませんか? 「よし!始めるぞ!」そう思った時、最初に考えて決めることは何?そんなことをお伝えしていきます。
1.場所を決める
自宅で菜園を始めようと思った時、最初に考えることは「育てる場所を決める」こと。野菜を育てるために大切なのは「太陽の陽射」。一般的な樹木や草花は日向で育てることで元気に育つ種類があれば、日陰が好きな種類もありますが、野菜は太陽の陽射しをたっぷり浴びないと収穫物を得ることは難しいです。家の周りの空間を観察して日照時間の長い場所を探してください。あなたの庭や玄関先で日当たりの良いところはどこですか?
南庭なら建物に近い場所が一番日当たりの良い場所。ウッドデッキやテラスの周辺も候補地です。
住宅地なら一日を通して日の当たる場所はなかなか見つけられないかもしれません。そんな時は、できるだけ午前中の日が当たるところを選んでください。同じ陽射しでも朝日と夕日では質が違い、植物は夕方よりも午前中の陽射しを好みます。
2.形を決める
場所が決まったら、どんな菜園スペースにするかを考えます。最初に思いつくのは、地面を耕して畝を作るという方法。
ですが、家の周りの地面は想像以上に硬い。家を建てるために地盤改良されていることも少なくありません。菜園のために耕すのは、なかなかの重労働なのです。
そこでお勧めするのが「レイズドベッド」という方法です。地面から高さをあげる枠を作り、土を入れて菜園スペースに。
枠は木板でもいいし、レンガでも石でもOK。決まりはありません。レイズドベッドは硬い地盤と戦わなくても良いというだけでなく、その後の作業も楽になります。菜園作業は前屈みで、しゃがみこむことが多いのですが、少しでも畑の高さが上がっているだけで随分と足腰への負担が少なくなります。
ウッドデッキやテラスの周辺に菜園を作るときも高さを上げて作業性を良く、ちょっとオシャレなレイズドベッドにすると部屋の中から見えても気持ち良い菜園になります。
デッキより少しだけ高い菜園なら、地面に立って作業をすれば負担が少ない。窓から室内履きのままデッキに出て野菜を収穫して、そのまま調理する。そんな菜園とキッチンがとっても近い、楽しい日常を作っていくことも出来るのです。
菜園で育てる野菜たちは、一般的な植物に比べると自由に暴れがち。剪定をすれば収穫量が下がるのでどうしても制御しにくい。何となく庭全体が乱れて見えてしまうこともあります。視界に入るだけで幸せを感じる庭をキープするには、少し手をかけて菜園の周囲を整えます。野菜たちが自由に育っていても、放置しているようには見えないように。
背景にレンガやお気に入りの木製フェンスがあると、野菜の色や実の色も引き立ってその景色が心地よくて毎日手入れしたくなるはず。
カッコいい庭が自慢なのに、菜園を作ってイメージが崩れたら嫌だなーなんて思っているなら。
レイズドベッドをモダンに設えて見てください。菜園だってカッコよくなります。
プランターを使うなら、なるべく大きなサイズを選びましょう。小さな鉢では土がすぐに乾いて水遣りを頻繁にしなければなりません。大きなサイズに野菜の寄せ植えをするのがオススメです。
3.育てるものを決める
場所と形が決まったら、いよいよ何を植えるかを決めていきます。基本は食べたいものを植える。当然ですね。まずは、植えたいものを自由にピックアップしてください。ピックアップができたら二つのグループに分けます。
- Aグループは育つ時に水がたっぷり必要な野菜たち。
- Bグループは育つ時に水があまり必要でない野菜たち。
野菜の種類に合わせて水遣りが出来るように、スペースを分けて植えます。
次はコンパニオンプランツ。野菜が元気に育ち、虫がつきにくいようにするために、一緒に植えるとメリットのある組み合わせがあります。コンパニオンプランツとは「共生植物」のことです。
ナス科の野菜にはシソ科が良い。ウリ科の野菜にはユリ科が良い。など「科」で覚えておくのも良いと思います。今回は夏野菜を中心に、いくつかご紹介しておきます。
・トマト(ナス科) | +バジル(シソ科) 害虫避け・相互成長 |
+ネ ギ(ユリ科) 害虫避け・病気の予防 | |
+ナスタチウム(ノウゼンハレン科) 害虫避け | |
・きゅうり(ウリ科) | +オレガノ(シソ科) 風味UP |
+トウモロコシ(イネ科) 防風・相互成長 | |
+マリーゴールド(キク科) 害虫避け | |
・オクラ(アオイ科) | +シ ソ(シソ科) 害虫避け |
+枝 豆(マメ科) 相互成長 | |
+ひまわり(キク科) 防風 |
これらは、ほんの一例で他にもたくさんの組み合わせがあります。コンパニオンプランツは、育てるときの相性も良いけれど、料理するときの相性も良いと言われています。トマトとバジルなんて、間違いない組み合わせです。お互いに成長を邪魔しないサイズなので近くに植えても大丈夫。限られたスペースで、より多くの収穫を得る方法でもあるのです。
自宅で菜園を始めるなら、農薬に頼らない安心して食べられる野菜作りにチャレンジしたいですね。さあ、菜園づくりを始めましょう。
著者プロフィール
冨田ちなみ Gokansha(ゴカンシャ)
個人住宅の庭・外構や店舗のエントランスガーデンなど、あなたのライフスタイルに調和する外空間のデザインするGokansha(ゴカンシャ)代表。二級建築士、インテリアコーディネーター、二級造園施工管理技士、福祉住環境コーディネーター、園芸療法リーダー二級、ハーブコーディネーターなど様々な資格を持ち、建築士でもあるため住宅目線・エクステリア目線・ガーデン目線、それぞれの記事を発信いたします。E&Gアカデミー講師。