ひろびろとした解放感があるオープン外構ですが、一方で、知らない人が敷地内に入ってきてしまうといった不安やストレスを抱えているケースがあります。敷地内への侵入を防止するためには、視覚的な工夫だけでは不十分なことも。今回は、一級建築士が解説する、オープン外構の侵入防止のアイデアをご紹介、解放感はそのままに安心して暮らせる庭づくりを目指しましょう。
目次
オープン外構の悩み!敷地内に人が入り込んでくる
オープン外構とは、敷地の境界を明確しない外構プランのこと。解放感があり狭い敷地を広く感じさせる効果があります。
しかし一方で、オープン外構ならではの悩みもあり、その中でもよく聞くのが「人の侵入を防止したい」というもの。一級建築士の筆者が実際に耳にしたオープン外構の悩みをいくつかご紹介しましょう。
- 近くに住んでいるお子さんが、わが家の敷地を通り抜けに使っている。庭を踏み荒らされそうで不安があるが、ご近所なので注意がしにくい。
- 子供たちが遊んでいたボールが敷地内に飛び込んできて、ボールを取るために勝手に敷地内に入ってきてしまうことがある。庭からは家の中が丸見えのため、ストレスを感じている。
- 通行人が車をよけるために、わが家の敷地の中に踏み込んで会話をしていた。
- 突然、知らない人が敷地内にいて、窓から外を見た時に目があってしまった。バッグの中の何かを探していた様子だったが、すこし恐怖を感じた。
- 通行人がゴミを捨てていく。 など
どんな理由があろうとも、許可なく敷地内に知らない人が入り込んでくるのは不快なだけではなく、プライバシーの問題や防犯面での不安もあります。
そこで今回は、オープン外構の解放感はそのままに、敷地内への侵入を防止するアイデアをご紹介しましょう。
敷地内への侵入防止を図るには、視覚的な効果だけでは不十分
オープン外構では、地面にタイルや砂利などを敷いて、敷地境界をある程度明確化させる工夫がされています。また、境界線上にアーチゲートなどを設置して、はっきりと境界を明示しているプランもあります。
しかし人の侵入はそれだけでは防げないこともあります。実際にあったケースでは、オープン外構で地面はタイル張りにし、境界線上にアーチゲートを立ててアクセントにしていたのですが、前面道路が狭いため、人や車がすれ違うたびに、人や車がその家の庭に入ってきてしまっていました。
そういった状況ではいつ事故が起こっても不思議ではありません。結局その家では境界線上に門扉とフェンスを取り付け、侵入防止を図りました。
ご近所の子供が入り込んできてしまうのも、何もなければほほえましい話で終わることもありますが、いったん事故が起きれば問題になってしまうこともあります。
オープン外構の解放感を損ねずに侵入防止をするためには、視覚的な効果だけでなく、実際に侵入をしにくように物理的な障壁を作っておくことも必要になります。
プランターで足元をガード、植栽や門柱と組み合わせておしゃれな雰囲気に
オープン外構で手軽に侵入防止を図るなら、プランターを利用して足元をしっかりガードしましょう。足元にある程度の高さの障壁があれば、わざわざそれをまたいでまでは、なかなか侵入してこないものです。
プランターは敷地境界に沿って隙間なく並べ、ある程度高さのある植物を植えて。背の低い植物では軽くまたぐことができてしまいます。
プランターを使うメリットは、花を植え替えることで四季折々の外構デザインが楽しめることや、様子を見てプランターの位置を自在に動かすことができるところです。
一方、デメリットは植物の手入れが必要になること。枯れたままのプランターを放置しておくと、雑然としてしまい、荒れた雰囲気の家は空き巣にも目を付けられやすくなります。
プランターと高さのある植栽を組み合わせるのもいいでしょう。足元はプランターでガードしつつ、樹木があることで更に侵入防止効果が高まります。
その際には、ポストユニットや門袖ユニットと組み合わせれば、より機能的でおしゃれな雰囲気の外構になります。
チェーンポールで、侵入をして欲しくない意図を明確にする
オープン外構の境界に「チェーンポール」を設置する方法もあります。
無断で敷地へ侵入する人は、そこが他人の敷地であることを意識していない人も少なくありません。また、知らない間に踏み込んでいた、知ってはいてもあまり気にしていなかったという人もいることでしょう。
チェーンポールを使って敷地境界線を明確化すれば、解放感を損ねることなく、チェーンが張ってあることで「敷地内に侵入をして欲しくない」という意図が伝わりやすくなります。
デザインも一般的なステンレスのタイプ以外に、おしゃれなロートアイアン調やシンプルモダンなカームブラック、プラチナステン色などさまざまなデザインがあるので、わが家のイメージに合わせて選ぶことができます。
ただし、チェーンは完全に侵入を防止するものではなく、あくまでも心理的に侵入をしにくくするもの。ある程度の抑止力にはなりますが、子供ならくぐりぬけてしまう可能性もあります。
デザインフェンスで解放感を保ちつつ、侵入を防ぐ
より効果の高い侵入防止を目指すなら、フェンスの取り付けを検討するといいでしょう。豊富なデザインが揃っているので、オープン外構の解放感を損なうことなく、美しい外観を保ちながら、敷地内への侵入を防ぐことができます。
こちらはオープン外構にぴったりの「ルシアスフェンスLite」です。シンプルなデザインで抜け感があるので解放感はそのままに、敷地への侵入を防いでくれるようになります。
「ルシアスフェンスLite」は、フラットな笠木がスタイリッシュな印象の軽やかなアルミ製のフェンスです。木目の表現が美しく、耐久性が高いのでお手入れはとても簡単。1回設置をしておけば、敷地内への侵入を防ぎやすくなり、毎日を安心して過ごせるようになります。
オープン外構の悩みは、プランター、チェーンポール、フェンスなど、様々な方法で解消していくことができます。ひろびろとした解放感はそのままに、外からの侵入を上手に防いで、毎日を快適に安心にお過ごしくださいね。
外部からの視線が気になる場合は、目隠しフェンスの設置が効果的です。外観デザインに合わせた目隠しフェンスの選び方を下記でご紹介していますので、参考にしてみてください。
著者プロフィール
Yuu(尾間紫)
一級建築士/インテリアプランナー/インテリアコーディネーター/マンションリフォームマネジャー
長年リフォーム業界の第一線で、数多くの住宅リフォームの相談、プラン設計、工事に携わってきた経験から、本当に価値あるリフォームについて皆さまにお話します。過去を繕うものではなく、未来の暮らしを創る「リライフのリフォーム」を提唱。実践的なリフォームのノウハウを、テレビや雑誌、新聞連載、講演などを通して発信中です。著書に『リフォームはこうしてやりなさい(ダイヤモンド社)』など。Webサイト「リフォームのホント・裏話」(http://www.ne.jp/asahi/net/rehome/)でリフォームの実践的なノウハウを公開中