最近は、新築の際にはじめから計画に含まれることも多いウッドデッキ。
でも、それぞれの家庭に合った庭での過ごし方、ウッドデッキの使い方は実際に生活してみてからのほうがイメージしやすいのではないでしょうか。
周辺の環境や生活スタイルに合わせて、ある程度希望が固まってからつくることができるのは後付けのメリットと言えます。
庭にウッドデッキが加わることによって、どんな風に暮らしが変わるのでしょうか。
また、失敗しないために注意するべき点についても考えてみましょう。
1.ウッドデッキで広がる庭での過ごし方
ウッドデッキの最大の利点は室内からほぼ段差なく庭に出られるようになること。
内と外がスムーズにつながることによって自然と庭へ出る機会が増え、暮らしに広がりが生まれます。
次に、ウッドデッキのある様々なシーンとプランのポイントを見ていきましょう。
①人が集まる
家族で外ごはんを楽しんだり友人を招いておもてなしをするというのは、あこがれのウッドデッキライフとして最もよくイメージされやすい過ごし方ではないでしょうか。
広々としたワンフロアのデッキなら大きめのファニチャーセットを置けたり、子どもたちが走り回って遊ぶこともできます。
あえてフロアに段差を設ければ集まった人たちが思い思いに腰をかけて過ごせる居心地のよい空間となります。
段床がある場合は庭側からのアクセスもよくなり、訪れる人が室内を通らず外から直接ウッドデッキに上がれる点も便利です。
近所の人がちょっと立ち寄った際などにも家の中より気軽に案内しやすいですね。
②趣味を楽しむ
~ガーデニングや家庭菜園~
ウッドデッキに接して高さのある植栽スペースをとっておくとデッキ側から手を入れることができてこまめにメンテナンスしやすくなります。
また、植物の状態が目に入りやすいことも花壇をきれいに保てるポイント。
さらに野菜やハーブ、簡単な果物などを育てるとキッチンから手軽に収穫できて日々の食卓も豊かになりそうです。
ガーデニングに欠かせないのが水やり。
小さな鉢くらいなら室内でジョウロに水を汲んでもよいのですが、できればウッドデッキから近い場所に水栓を備えてホースで水やりできれば便利です。
~DIYや趣味の道具のお手入れに~
室内では養生や掃除が大変そうな作業も外なら気軽に取り組めるのではないでしょうか。
日曜大工はもちろん、自転車、釣り道具、キャンプ用品、スポーツ用具などなど外で使うアイテムのメンテナンスの場としてもウッドデッキが活用できます。
この場合も段床のある構成にすると外側から荷物を持って上がりやすくなり、腰をかけて作業に集中することもできます。
作業内容によってスペースを使い分けられるようタイルなどの異素材との組合せもおすすめ。
水栓や防水コンセントを近くに設置すると洗い物や電動工具を使った作業などもできて便利です。
③ペットと過ごす
開放感のあるウッドデッキはペットのためのスペースとしてもぴったり。
暑さをしのぐ日除けを設けたり、段差が大きいウッドデッキやオープンなお庭の場合は飛び出しや転落を防ぐフェンスがあると安心です。
フェンスの一部を扉にしてステップやスロープをつけると外と直接行き来できるようになり、お散歩から帰った愛犬の足をきれいにしてから室内へ入ることができます。
④サービスヤードとして
床がフラットで外へのアクセスがよくなれば、重い洗濯物や布団を干すのも快適です。
テラス屋根やテラス囲いと組み合わせると天候を気にせず使えて使用頻度がアップします。
⑤リラックスして過ごす
すき間時間にお茶を入れてひと息つく、読書やお昼寝をするなど、のんびり過ごせるプライベートスペースとしても楽しめます。
植栽を取り入れたりお気に入りのすてきなファニチャーやオーナメントを置けば室内から眺めるだけでも幸せな気分になれそうです。
居心地のよいスペースにするには目隠しフェンスなどによるプライバシーの確保が必須になります。
昼間は日除けがあるとより快適に、さらには照明を配置して夜にゆったりお酒を楽しむのもよいですね。
2.後付けあたっての注意点
ウッドデッキでどんな暮らしを実現したいのかイメージできたら、実際の計画に入ります。
ここからは今のお庭にウッドデッキを後付けするにはどんなことに注意すればよいのかについて解説していきます。
①ウッドデッキの広さ
せっかく設置しても目的に合わない中途半端なサイズのウッドデッキは使わなくなって単なる物置きになってしまうこともあります。
そして、もちろん広くなればその分コストが上がります。
何人くらいで集まることを想定するか、何を置くか、我が家ならではの庭での過ごし方に合った広さにしましょう。
②動線や周辺環境を考える
動線や周辺の環境を考慮することも計画の上で大切なポイントです。
室外と行き来することを想定するウッドデッキならアプローチからのルートを確保してステップも必要になりますし、普段外からアクセスすることがないような場所なら庭の外周塀いっぱいまでワンフロアのウッドデッキにするのもよいでしょう。
道路や隣家の窓に面しているような場所は何らかの目隠しがなければ使いづらくなってしまいがち。
最もよく使われるのはフェンスですが、隣家の2階の窓のような高い位置からの視線が気になる場合はフェンスでカバーするのが難しくなります。
そういったケースではテラス屋根を使った目隠しも検討してみるとよいと思います。
後付けの場合はウッドデッキを想定した間取りになっていなくて難しいこともあるかもしれませんが、生活動線や周囲の状況をよく確認してから取付けられるのは大きなメリットです。
ウッドデッキを設置したい場所を日頃からよく観察してみましょう。
③ウッドデッキの色と張り方向
部屋の延長、部屋と庭をつなぐもの、という役割から考えれば、まずは室内と連続するイメージにするのが一般的な方法です。
ウッドデッキにつながる部屋の床がフローリングならフローリングの板に近い色を選び、張り方向も合わせておくと連続性が生まれ広がりが感じられます。
床がフローリング以外で色選びに迷う場合はインテリアの色やイメージに合わせて選びましょう。
室内と庭のテイストを変えたい、外観のデザイン的なアクセントとして用いたいなどの意図があればあえて全く違う色、張り方向にする選択も考えられます。
その場合も、室内の床とは色が違っていてもサッシや屋根、家具など何かと合わせておくと全体に違和感なくなじみやすくなります。
同じ広さのウッドデッキでも縦張りと横張で費用が変わってくる場合がありますので、その点も含めて検討しましょう。
④既存物に注意する
ウッドデッキを設置する前に設置を予定している部分にウッドデッキと干渉するものがないかを確かめておく必要があります。
例えば散水栓や立水栓、会所枡、エアコンの室外機、樹木などです。
水栓や室外機なら移設をするか、ウッドデッキ上に乗るように高さを変えるなど、デッキ工事そのものに加えてひと手間必要になりますので、その費用も考えておかなくてはなりません。
特にガーデニングの水やりやペットの足洗など、水栓は様々なシーンで活躍するもの。
後付けの場合は近くに水栓がない場合もあると思いますが、可能ならぜひウッドデッキの計画の一部として考えておきたいものです。
排水管の合流点や曲がり角などに設けられる会所桝(かいしょます)がウッドデッキの下になってしまう場合は必要な時に開けることができるよう点検口を設けておきましょう。
植栽の場合は移植や伐採などで対応することになりますが、シンボルツリーとしてウッドデッキの中に取り込んでしまうのもひとつの方法かと思います。
暑い日に木陰をつくってくれたり、木陰が長短することで、季節の移ろいを感じることができます。
⑤ウッドデッキ下対策
地面が芝生や土のままでもウッドデッキをつくることは可能ですが、一度ウッドデッキを設置してしまうとウッドデッキの床下のメンテナンスはしづらくなります。
雑草が生えて、時には板のすき間から出てくることもあり、せっかくのウッドデッキがなんだか荒れた印象になってしまいます。
ウッドデッキを設置する前に床下になる部分をコンクリートで舗装する、防草シートと砕石を敷くなどの対策をしておきましょう。
また、幕板を地面近くの高さまで張っておくと床下に猫などの動物が入り込むのを防ぐことができてより安心。束柱などあまり見せたくない部分を隠すこともできて美観上の利点もあります。
ウッドデッキの広さや室内外の動線、インテリアのイメージ、既存物への注意、ウッドデッキ下の対策など、後付けにあたっての注意点を把握してウッドデッキの計画を始めてみましょう。
せっかくウッドデッキを設置するなら充分活用して庭で過ごす時間を楽しみたいですね。
まずは、ウッドデッキのある庭で、どんなふうに過ごしたいのか、後付けすることで、暮らしをどのように変えたいのかのイメージを持ってから計画に臨みましょう。
豊かな暮らしを実現するウッドデッキについて詳しく知りたい
著者プロフィール
野中めぐみ 株式会社グリーンテリア
1級造園施工管理技士 福祉住環境コーディネーター2級
1級造園施工管理技士 福祉住環境コーディネーター2級 ハーブ園でガーデナーとして勤務したのち、E&Gアカデミーにて学びエクステリア業界へ。 エクステリア、ガーデンの専門店グリーンテリアに所属し主に設計を担当する他、植物に関するワークショップの開催など庭のある暮らしの楽しさを伝える活動も行う。 エクステリアプランナーとして様々な角度からみなさまの快適で豊かな暮らしにつながる情報をお届けいたします。