門扉から玄関までのアプローチを含めた玄関前のデザインと、周囲を取り囲む外壁は、家の印象を決める大きな要素です。使い勝手や防犯性を高めながら個性を出すにはどんなことを考えればよいかをご説明します。
パブリックな空間とプライベートな空間を隔てるスペース
門扉や外壁、また玄関にかけてのアプローチは、道路などのパブリックな空間とプライベートな空間を隔てるスペースです。
住んでいる人にとっては、外出や帰宅の際に気持ちを切り替える場所でもあり、来訪者へのおもてなしの気持ちを表す空間でもあります。また、訪れてほしくない人を拒絶する役割もあります。
さまざまな役割を持った玄関前の空間ですが、デザイン面から考えると、大きく2つの方向性があります。
開放的なオープンスタイルとプライバシー重視のクローズドスタイル
オープンスタイルとは、門扉や塀を設けず、庭を開放的に見せる外構スタイルです。欧米などでよく見られますが、最近では日本でも増えてきました。芝生や草花、低い樹木などを植えたり、前面道路とは異なる素材を用いたりすることで境界を示します。
開放感があり、費用を抑えられるというメリットがある反面、外からの視線が気になりやすく、敷地内に人が侵入しやすいというデメリットもあります。
一方、クローズドスタイルは、重厚感のある門扉やフェンス、塀などを設けることで外からの視線を遮断します。
プライバシーを確保しやすいうえ、重厚な風格が演出できます。防犯性に優れ、小さい子どもやペットが外に飛び出しにくいというメリットもあります。
デメリットとしては、敷地が狭い場合に圧迫感を感じてしまいやすいこと。また、一度敷地内に入られてしまったら侵入者が何をしているか外からは見えなくなってしまうことです。オープン外構に比べるとコストも高くなります。
どちらを選択するかで迷ったときは?
どちらのスタイルにするかは好みですが、家の外観とのバランスも重要となってきます。重厚感のある建物や純和風建築にオープン外構を合わせるのは不釣り合いですし、逆に現代風の家なのに重厚感のある高い塀をぐるりと張り巡らすのも違和感があります。
さらに、街並みとの調和も考える必要があります。まわりの住宅がクローズドスタイルばかりなのに一軒だけオープンスタイルでは、調和が取れないだけでなく、侵入が容易だと思われやすくなります。反対にオープンスタイルの住宅が集まっているエリアにクローズドスタイルの家を建てれば、街並みとしての一体感が保てないことに加えて、心理的に距離ができてしまい、近所づきあいに支障が出ることもあるかもしれません。
最近では、どうしても視線が気になるところだけに塀を設置する、または塀を作るけれども高さを抑えたものにするといったように、オープンスタイルとクローズドスタイルの“いいとこどり”をした「セミクローズドスタイル」も高まりつつあります。
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建物の外観や周囲の住宅とのバランスを考えながら、プライバシーを守りつつ、十分な開放感を維持するデザインを考えてみましょう。