引越しをしたら、また、新しいお家を建てたら、一度はきちんと考えたいもの、それが表札です。お家の第一印象を決める一つの大切な要素とも言えそうですね。インターフォンの近くにあることが多く、誰が住んでいてどんな暮らしをしたいかが、一目でわかるものでもあります。言ってみれば、お家の顔とも言えるもの。自分らしい表札を選びたいですね。
苗字の名乗り方にルーツが
さて、そもそも、表札って、いつ始まった習慣なのでしょうか。
標札といえば、苗字と名前を記載するのが一般的ですが、まず、苗字を名乗れなかった時代には、もちろん庶民に表札を掲げるという発想はありませんでした。豊臣秀吉の時代には、刀狩や検地を行うことで農民を管理していましたが、徳川の時代になって士農工商の身分制度が確立したことで、武士以外は苗字を名乗ることができなくなりました。庶民が苗字を名乗ることができるようになったのは、明治のはじめの頃。それまで長く、苗字のない状態が続いたのです。
明治の中頃になって、表札というものは増えてきてはいたものの、当時庶民は長屋住まい。長屋のなかのどこに誰が住んでいるかは、ご近所はみんな知っていましたし、長屋の入口には全員分の表札のようなものが掲げられていたそうで、土地勘がない人でも、住所がわかりやすくなっていたのだそうです。
その後、日清日露の戦争を経て、関東大震災をきっかけに家の立て直しや転居が多くなり、行方不明者の捜索のためや家族の無事を報せるために、表札を掲げるのが一般的になってきたのだそうです。
屋号はもっと古くからあった
ちなみに、表札の習慣が定着するずっと前、9世紀頃にはすでに「看板」という考えかたはあったらしく、それが「屋号」となっていきました。江戸時代になると、商人たちはこぞって店の名前や専門職、自慢の商品などの名前を建物の前に掲げたのだそうです。
いまも、江戸時代から長く続く老舗などでは、当時の看板をそのまま使っていることがあります。歴史を感じますね。
今の暮らしにあった表札を選びたい
日本ではこのような歴史をたどった表札ですが、じつは海外には名前を家の前に表記するという感覚はないようです。欧米の都市部では、住所のナンバーだけでそこまでたどり着けるようなシステムになっているので、名前まで表記する必要はなかったのかもしれません。
さて、自分の家に新しく標札を掲げるとしたら、どんなものがよいですか? 家族が増えたら全員分の名前を記載できるようなデザインのものや、クラシックに木に苗字だけを彫ったもの、メタル素材を使って横文字で表記するものなど、さまざまなデザインのものが用意されています。家族のみんなで手作りするというアイデアも面白そうですね。
YKK AP では表札からポスト、玄関照明まで、玄関回アプローチをトータルに提案しています。標札はお家の顔、ぜひ、ご家族とじっくり相談して、それぞれのお家にぴったりの表札を見つけたいですね。