多くの人がテレワークを体験した春。このまま在宅勤務を継続させる企業もあり、家で仕事をする機会は今後も無くなりそうにありません。一時しのぎで何とか乗り切った自粛期間と同じ条件で、今後もテレワークを続けていけるでしょうか?今まで通勤が基本だった人の家には、仕事をするためのスペースなんて確保されていません。ダイニングやリビングでパソコンを開いていた人も多いのではないでしょうか。そばでは子供がテレビを見たがったり猫がじゃれてきたり・・・と何かと集中できない環境になりがちです。寝室を使ったりクローゼットにこもったりした人もいるようです。
通勤が無い分、自由な時間が増えるというメリットはありますが、一日中家から出ない閉じ籠り日もあり、同僚と交わす何気無い雑談もない。仕事の集中力を保つためにも健康的な毎日を送るためにも、どのように気分転換をするかということも課題だと感じた人も多いのではないでしょうか。
今回はテレワーク空間の確保と快適な環境について考えてみます。
1.仕事モードに切り替える場所をつくる
リモートワーク中、プライベートと仕事の気持ちの切り替えは上手くできましたか?私は在宅仕事歴が20年ほどになるのですが、初期の頃は結構苦労したのを思い出します。外出着に着替え化粧をして電車通勤する、そのどれもが少しずつ気持ちを仕事モードに移していくスイッチだったことに気づきました。そこで、自宅リビングの一部を仕事専用スペースに整え、ここは仕事をする場所と決めることにしました。すると、そこに座ると集中出来て気持ちも切り替わるように。場所を決めるのは重要でした。
現状の室内で専用スペースを作るのは難しい。そんな人は建物の外の空間に視線を移してください。特に活用していない空間があるはずです。建物の外壁と隣地境界までの屋外空間に室内から延長したもうひとつの部屋を設ければスペースが存在しないという問題はクリアされます。庭空間だけでなく2階や3階のバルコニーも、もうひとつの部屋になる候補の場所です。
もう一つの部屋には、室内から繋がった床が必要。ウッドデッキやタイル張りテラス、レンガテラスなど出来るだけ室内と近い高さの床を設けます。ここにパソコンや書類を置くテープルと長時間座っていられる椅子をおけば、これだけでも仕事スペースになります。安価なガーデン用のテーブルや椅子だと安定感がなく小さなものが多いので、仕事をするという視点を忘れずに選んでください。
仕事はどんな天気であってもお休みにはなりません。雨が降っても仕事ができる状態にしておかなければならないですね。
屋根はリフォームで取り付け可能でシンプルなものから木調のナチュラルなものまで、自分が落ち着ける空間を目指して選び良い仕事ができる場所にしていきましょう。
2.集中できる場所にする
仕事をするためには、集中できる環境にする必要があります。
屋外では隣の家や道路からの視線が気になります。見られているかもと思うと落ち着きません。必要な部分には目隠しのパネルやフェンスを設けると効果的です。後付けした屋根の柱を使って目隠しを取り付けることも可能です。
単に目隠しフェンスに囲まれた無機質な空間ではなく、樹木や草花などの自然を感じる環境作りをお勧めします。仕事をしている時間は集中とリラックスの時間が繰り返される。一休みの時間は自然の風を感じながら、緑の中でホッとするのも屋外空間だからこその利点です。
3.快適さを確保する
日差しが強い季節になってくると、眩しくて外で過ごしにくくなってきます。直射日光が当たると書類が読みにくくパソコンの画面は、ほとんど見えません。オーニングやシェードで日影を作る工夫が必要です。
実は、オーニングやシェードは目隠しの役目もしてくれます。日影確保と目隠し効果の両方を狙って取り付け位置を考えると一石二鳥です。直射日光が暑い季節も風通しの良い日影ができたら、意外と快適に過ごせるのです。
もっと本格的に庭にもう一つの部屋を作りたい。そんな人にはガーデンルームがピッタリです。周囲はしっかり扉で囲われ、室内からの冷房や暖房を取り入れることができます。そんな室内と同等の環境にありながら視線を上げると、庭の木々の緑や色鮮やかな草花が風に揺れる様子や空を流れる雲を眺めることができます。仕事だって捗るに違いない。
バルコニーでも同じように、囲いを設けることができます。ヨーロッパの集合住宅でよく見かけるベランダテラスのよう。テレワーク時代以前は洗濯物を干すために設置する人が多かったのですが、これからは仕事部屋にする人が増えてきそうです。
1人で仕事をするスペースは、広い空間が必要なわけではありません。畳1畳分もあれば可能ではないでしょうか。今回ご紹介したデッキや屋根は、一畳より小さなサイズから取り付けが可能です。家と隣地境界の隙間のようなデッドスペースもワークスペースに変身させることができるかも。そんな視点で住まいを見直してみてください。
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著者プロフィール
冨田ちなみ Gokansha(ゴカンシャ)
個人住宅の庭・外構や店舗のエントランスガーデンなど、あなたのライフスタイルに調和する外空間のデザインするGokansha(ゴカンシャ)代表。二級建築士、インテリアコーディネーター、二級造園施工管理技士、福祉住環境コーディネーター、園芸療法リーダー二級、ハーブコーディネーターなど様々な資格を持ち、建築士でもあるため住宅目線・エクステリア目線・ガーデン目線、それぞれの記事を発信いたします。E&Gアカデミー講師。