カーテンを開けても外の視線から目隠ししてプライバシーを守る方法

【エクステリア空間の専門家】カーテンを開けても外の視線から目隠ししてプライバシーを守る方法

住宅地を歩いていると、日中でも窓にカーテンが引かれていたり雨戸が閉まっていたりする光景を目にします。せっかく庭に面した窓なのに勿体ないなーと思います。カーテンや雨戸が閉まっているということは、そこは窓であっても壁であるのと同じこと。室内空間はカーテンや雨戸で閉ざされてしまいます。

窓は外の空間と室内をつなぐ貴重な開口部です。外の明るさや風を取り入れたり、景色からは緑や花や揺らぎや小鳥や蝶や様々な生物がみえたり、室内にいながら外の心地よさを感じることができます。室内での心地よさは、開口部をどれだけ有効活用できているかに大きく影響を受けます。だから建物を設計する時、開口部をどの位置にどれくらいの大きさで設けるかは最重要課題。上手に考えられた設計ならカーテンなんて必要ないのです。

カーテンを開けても外の視線から目隠ししてプライバシーを守る方法

しかし、家の立ち並ぶ住宅地や都会の狭小地では、このような心地よい状態を生み出すことが難しく、どうしても窓の外には道ゆく人が見えたり、道路から室内が見たり、隣の家の窓が見たりする設計になりがちです。敷地条件によるもので、どうすることもできない事もあります。

でも建物の設計で問題解決できないからといって、何も手段がないわけではありません。そんな時はエクステリアを工夫することで心地よく室内で過ごせる環境を作り出しましょう。

カーテンを閉めたくなる理由

なぜカーテンや雨戸を閉めることになってしまうのか。理由はプライバシーの確保と自然環境との付き合い方にあります。

  1. 道路からの視線が気になる
  2. 周囲の家からの視線が気になる
  3. 太陽の陽射しを遮りたい

今回は、これらの問題をエクステリアで解決する方法をご紹介していきます。

1.道路からの視線が気になる

昼間、太陽の出ている時間帯の室内は外より暗いので実は道ゆく人からは家の中がはっきりとは見えていません。(道路と家、人と人との距離によりますが)それでも室内からは外にいる人がよく見えるので、どうしても落ち着かないということもあると思います。雨の日など日照が少ない時は室内で照明をつけていると外が暗く中が明るいので、はっきりと家の中が見えてしまいます。これでは室内でゆっくりくつろぐ事や、リラックスする事はできません。カーテンを閉めるのではなく、エクステリアで視線を遮ることで室内空間を伸びやかに広げるための解決策のご紹介です。

解決策1 : 樹木を植える

株立ちで幹が数本立ち上がり枝数も多く風が吹くとそよそよと揺れる。そんな樹木が窓と道路の間にあれば適度に視線を遮ってくれます。100%目隠しにはなりませんが、室内からは木々の向こうに広がる空間を感じることができます。窓の外に緑が見える景色は季節の変化を感じることができて和ませてくれます。道路からは家を豊かに彩る存在になるはず。ひとつでいくつものプラスが生まれる解決策で、個人的には一番お勧めしたい方法です。横に広く枝を伸ばす高木を一本植えても良いし、生垣のように何本か並べて植えてもOKです。家の外観に似合う樹木を選べば家をもっと素敵に見せることもできますよ。

カーテンを開けても外の視線から目隠ししてプライバシーを守る方法

解決策2:壁をつくる

壁といえばコンクリートブロックの塀をイメージしますが、ブロック塀には高さ制限があります。道路からの視線を遮るには低すぎることも。近年では地震も多く倒れた時に何らかの被害を及ぼす可能性を避けるために、より軽量のアルミフェンスで壁をつくることが増えています。アルミ材は無機質でモダンなイメージになりますが、自然の木材に見える仕上げを施したものも多くあるのでナチュラルな雰囲気に仕上げることも可能です。

カーテンを開けても外の視線から目隠ししてプライバシーを守る方法

YKK AP リレーリア

モダンな家にはアルミ材のシャープ感が似合います。よりスタイリッシュになりますね。完全な目隠しにするよりも、外から少し庭の様子が感じられるくらいの透け感があるフェンスがおすすめです。隙間があると風通しが良くなります。室内空間の環境に影響するだけでなく庭の植物が健康でいるためにも風通しは重要なのです。外から100%見えない庭だと、泥棒が侵入したときに他人に見つかるリスクが減るので狙われやすいともいいます。環境のことや防犯のことも考えて選んでくださいね。

カーテンを開けても外の視線から目隠ししてプライバシーを守る方法

YKK AP リレーリア

こちらが木調タイプ。ナチュラルな家に違和感なく馴染みます。自然な雰囲気が好きだけど自然素材は経年変化していくのが心配だったり、メンテナンスが出来ないというときにはこちらを選びます。

フェンスは面積が大きく家のイメージにも影響するので、建物全体とのパランスを考えながらコーディネートします。

2.周囲の家からの視線が気になる

道ゆく人の視線は気にならない場所であっても、住宅地では隣地に建つ家の窓が気になることがあります。庭や勝手口で動くお隣さんの気配を感じるのも気になります。解決策は先ほど紹介した道路からの視線を緩和させる方法をそのまま隣地との間で使う事ができます。

道路からの視線とは違う方法が必要なのは上から見下ろす視線、お隣の二階からの視線です。それにも解決策はあります。

解決策1:樹木を植える

上からの視線を遮るには高木である必要があります。1Fからは見上げる所で枝が広がる樹。とても自然に視線が緩和されています。でも狭小地では落ち葉が隣地に落ちるのが気になったり日当たりが悪く樹木が元気に育たなかったりすることもあるかもしれません。

カーテンを開けても外の視線から目隠ししてプライバシーを守る方法

解決策2:パーゴラ・テラス屋根を設ける

カーテンを開けても外の視線から目隠ししてプライバシーを守る方法

視線を遮るだけなら屋根である必要はありません。パーゴラで大丈夫です。そこに蔓性の植物をからませてもすてきです。

カーテンを開けても外の視線から目隠ししてプライバシーを守る方法

YKK AP サザンテラス

少し欲張って屋根をつけたら視線を遮るだけでなく雨の日も外で過ごす事ができる庭になります。庭をもっと活用できる空間にしてくれます。

3.太陽の陽射しを遮りたい

室内に差し込む陽射しを遮りたい場合もカーテンを閉めたくなります。特に西日は眩しくて冬の太陽の陽射しが恋しい季節でも遮りたくなります。この陽射しを窓の外で遮る事ができたら室内空間が広がるだけでなく夏場なら、カーテンよりも遮熱効果が期待できます。解決には周囲の家からの視線を遮る方法が使えます。樹木による木陰やパーゴラによって生まれる影。この下に窓が入る位置に樹木を植えたりパーゴラを設置したりします。そのほかにもこんな方法が。

解決策1:オーニング

カーテンを開けても外の視線から目隠ししてプライバシーを守る方法

YKK AP オーニング サンブレロ

建物の壁面に取り付けます。必要のないときは巻き取って壁面に収納されます。手動タイプと電動タイプがあり、色も多彩です。季節によってはオーニングを閉じて気持ちいい陽射しを楽しむことができるのも魅力です。

解決策2:シェード

カーテンを開けても外の視線から目隠ししてプライバシーを守る方法

オーニングより簡易な方法。布を引っ掛けているだけです。建物の窓枠や樋まわり、フェンスやカーポートなど既にあるものを利用してフックを取り付けたり紐で結んだり。布はシェードとして売られているものだけでなく、好きな色や柄の布でも良いと思います。個性的なあなたらしい空間になるのではないでしょうか。

 

いくつかの解決策をご紹介しました。単に機能的な問題解決で済まさず、もっと心地よくするためには?もっと素敵にするには?もっとおしゃれにするには?もっと楽しくするには?・・・そんな視点を大切に考える事で満足度の高い住まいを作っていく事が出来ると思います。

カーテンを開けても外の視線から目隠ししてプライバシーを守る方法

心地よい「青空リビング」の作り方

2019.05.14

 

著者プロフィール

カーテンを開けても外の視線から目隠ししてプライバシーを守る方法

冨田ちなみ Gokansha(ゴカンシャ)

個人住宅の庭・外構や店舗のエントランスガーデンなど、あなたのライフスタイルに調和する外空間のデザインするGokansha(ゴカンシャ)代表。二級建築士、インテリアコーディネーター、二級造園施工管理技士、福祉住環境コーディネーター、園芸療法リーダー二級、ハーブコーディネーターなど様々な資格を持ち、建築士でもあるため住宅目線・エクステリア目線・ガーデン目線、それぞれの記事を発信いたします。E&Gアカデミー講師。

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