庭をどうにかしたい。庭をもっと利用したい。でもどうすればいいの?何から手をつければいいの?そんな疑問に答えていきましょう。今回は、庭レイアウトの考え方をご紹介します。
庭のレイアウトを考える3つのStep
Step-1 我が家の観察
一番大切なファーストステップは「観察」です。我が家の状態を確認していきましょう。
まずは部屋の中から窓越しに外を見て、お隣や道路から人の視線が気になるところはありませんか?リビングのソファーやダイニングの食事をする椅子に座ってみて確認します。外から室内が見えると部屋の中で動いている時はあまり気になりませんが、長時間とどまる場所では落ち着かない。くつろぐ場所ではカーテンを開放して庭を感じながら、ゆっくりできることが大切です。庭のレイアウトが成功すると、庭だけでなく住まい全体を心地よい場所にすることができます。
次にテラスやデッキを設ける場所から、周囲の視線の感じ方をチェック。テラスやデッキの位置が、まだ決まっていないなら、どこなら周囲の視線を気にせずに過ごせるのか探してみましょう。今回の例では、庭に出ると、どこからでも視線が届くので何か目隠し的なものが必要だということがわかります。
Step-2 木を植える位置
Step-1の観察を元にレイアウトを考えていきましょう。視線を遮ることができるように樹木を配置します。この時に一年中緑の葉を残す常緑樹にして、しっかり目隠ししたいのか、冬は枝振りだけで視線を散らす感じで大丈夫なのかも合わせて検討します。樹種は例えば、常緑ならシマトネリコ・ソヨゴ・オリーブなど。落葉ならエゴノキ・シャラ・ジューンベリーなど。たくさんの種類があって悩むところですが、どんなイメージの庭にしたいのかを意識して選びます。室内からの視線ライン上に樹木を落とし込むとこんな感じになります。
デッキの近くに配置した樹木は、デッキや部屋に影を作る役目も持たせました。夏の木陰は涼しげに見えるし、実際に日向と木陰では過ごしやすさが随分違います。そして視覚的効果は、もうひとつあります。隣地との敷地境界沿いに樹木が並んでいるだけでなく、建物に近いところに配置された樹木があると、近くにある樹木と離れたところにある樹木が視界に入り遠近感が生まれます。実際よりも奥行きを感じたり広く感じたりするのです。ここにさらに、デッキで過ごすために必要な樹木を追加してみます。
これで、樹木によって外からの視線を遮り、室内で過ごす時も、庭で過ごす時もリラックスできる空間を作ることができました。
Step-3 花壇の位置
樹木のレイアウトを決めてから、低木や草花などを植える場所を考えていきます。樹木の足元や過ごす位置から見える場所を花壇にすると景色が整っていきます。
オレンジ色で塗った部分が花壇を作る候補の位置です。平面的な位置が決まると次は高さです。地面の高さに植えると低すぎて部屋の中からは見えないことも多い。レンガや石を積んで花壇の高さをあげると、リビングやダイニングで過ごす時に植物が視界に入ります。庭が素敵で心地よいものになるように、どう見えるのかを考えて高さを決めていきます。全ての花壇を同じ高さにせず高低差のある状態にすると、より変化があって自然な雰囲気になりますよ。
今回は基本的な考え方を3つのステップでご紹介しました。実際の庭づくりでは園路を作ったり目隠しフェンスを設けたり、視線を集めるフォーカスポイントを設けたり・・・色んな手法を使ってデザインしていきます。このレイアウトに少し手を加えるとこんな感じに。
デッキと道路の間は、目隠しフェンスにして自転車置き場のスペースを確保しました。デッキ横の花壇はデッキの床と同じくらいの高さに。デッキの影にならず、部屋からもしっかり見えます。道路側から庭への動線は園路で確保しました。
いかがでしたか?ご自宅の庭を考えるヒントになったでしょうか。庭のレイアウトを考える時は、庭で過ごす時のことだけを考えるのではなく、部屋の中で過ごしている時のことも忘れずに意識してください。庭のレイアウトが成功すると、我が家で過ごす時間は何倍も心地よくなるはずです。
著者プロフィール
冨田ちなみ Gokansha(ゴカンシャ)
個人住宅の庭・外構や店舗のエントランスガーデンなど、あなたのライフスタイルに調和する外空間のデザインするGokansha(ゴカンシャ)代表。二級建築士、インテリアコーディネーター、二級造園施工管理技士、福祉住環境コーディネーター、園芸療法リーダー二級、ハーブコーディネーターなど様々な資格を持ち、建築士でもあるため住宅目線・エクステリア目線・ガーデン目線、それぞれの記事を発信いたします。E&Gアカデミー講師。