玄関まわりのデザインは、家の品格を大きく左右するもの。今回は、YKK AP エクステリア スタイル大賞2023「ファサード部門」の受賞作品の中から、新築やリフォームの外構工事・エクステリアの参考になる事例を一級建築士がセレクト。門扉やポストユニット、カーポートなどを使って、邸宅感のあるこだわりの外構デザインを作り上げた施工事例をご紹介します。
目次
邸宅感のある外構デザインを目指す!
ファサード部門の受賞作品をチェック
玄関まわりは、まさに家の顔となる場所。住まいの第一印象を大きく左右する大切な要素ですから、格式高く、美しくありたいものです。
近年、人気のテイストは「邸宅感」のあるデザイン。重厚感のある門柱や袖壁、自然石のアプローチ、木調の軒天など、高級感のある素材をバランスよく組み合わせ、そこに緑豊かな植栽や照明を加えて、風格と落ち着きのある華やかさを演出します。
また、玄関まわりはデザイン性の高さに加えて、機能性も求められます。
駐車スペースがある場合は出し入れのしやすさ、ポストやインターホンの使い勝手、人の出入りのしやすさ、来客の迎えやすさ、雨除けなどの快適性、そして敷地内への侵入防止など防犯性についてもしっかりと検討する必要があります。
YKK AP エクステリア スタイル大賞では、最新のトレンドや、高い技術力とプロのアイデアが詰まったエクステリアの施工事例が日本全国から集結します。
今回は、「ファサード部門」の受賞作品の中から、新築やリフォームの外構・エクステリア工事のヒントになる、邸宅感がある玄関まわりの外構デザインを、一級建築士がセレクト。プロのアイデアが詰まった事例を参考に、理想のファサードを目指しましょう。
上質感があるカーポートと玄関まわり:
宅配ポストや植栽を効果的に組み合わせた事例
家の正面に駐車スペースがある場合、カーポート選びで悩む人は多いもの。カーポートのデザインは、家全体の外観イメージを大きく左右するため、製品のデザインやカラーだけではなく、高さ、幅、建物や敷地とのバランスなどの機能を含めた、さまざまな要素を綿密に検討する必要があります。
邸宅感のあるファサードにするコツは、フラットな屋根形状のカーポートを選ぶこと。水平ラインを強調したデザインは、高級感を演出しやすく、モダンで洗練された印象になります。
こちらの写真は、YKK AP エクステリア スタイル大賞2023年ファサード部門シルバースタイル賞を受賞した施工事例です。
重厚感のある洗練されたデザインのカーポートを選び、植栽、宅配ポストなどのエクステリア製品を効果的に組み合わせることで、上質感のあるファサードを作り上げています。
上記のカーポートは「ジーポート Pro」シリーズで、高い耐風圧強度と耐積雪性能を備えたもの。エッジの効いたシンプル&フラットなデザインで、木調の軒天とのコントラストがファサードに奥行きと高級感を生み出しています。
カーポートの高さや幅は、建物とバランスよく見えるよう吟味され、三角形の屋根を背景に美しく映える、統一感のある洗練された外観になっています。
道路から玄関へのアプローチは、床の仕上げでゾーニング。カーポートの屋根を伸ばして雨除けとし、濡れずに家に入ることができるようになっています。またアプローチの先には、ナチュラルな植栽と高機能な宅配ポストを設置。動線を明確にしながら、優しい自然の温もりを加えています。
照明の配置も見どころのひとつです。ライトアップした植栽の影を映すシャドーライティングのテクニックで、繊細で豊かな表情を創出。木々の葉が風に揺れると、外壁面に写る影も揺れながら形を変え、昼と夜で、また季節によっても違った風景が楽しめます。
こちらの施工事例は、広い間口の中に選び抜いたエクステリア製品を絶妙なバランスで配置、建物との調和を重視したデザインにすることで、邸宅感のある上質な外観を作り出しています。
後付けでカーポートを設置したい場合や、外構のリフォームを検討している人にも大いに参考になる、高級感のある外構デザインです。
フレームで門まわりを豪華に:
水平ラインを強調したダイナミックな事例
家のファサードをよりダイナミックに演出してくれるのがエントランスのフレームです。フレームとはエントランス部分を囲むように立てる枠のこと。
フレームには額縁のような効果があり、門まわりを引き立て、より魅力的に見せてくれます。またデザインに統一感をもたらす、来客を迎える動線を自然に作り出す、敷地境界を明確化する効果も。何より、高さのあるフレームは豪華な印象があるので、家の格調をワンランクアップさせてくれます。
上記の写真は、YKK AP エクステリア スタイル大賞2023年ファサード部門ベストスタイル賞を受賞した施工事例です。
モダンな住宅に美しくコーディネートされたモノトーンの外構デザインで、門扉の上にフレームを設置。カーゲートの高さと合わせて水平ラインを強調することで、端正さとダイナミックさを感じさせる美しいプロポーションを作り出しています。
フレームと樹木の高さのバランスの整え方も見どころのひとつです。フレームより高さのある樹木を、背面にレイアウトすることで、緑の美しさが際立ち、エントランスに豊かな表情を作り出しています。
フレームは外構の視覚的なアクセントになるもの。デザイン次第で、門まわりにわが家ならではの個性を生み出し、華やかで豪華なファサードになります。
フレームは、照明を取り付けたり、植栽と組み合わせたりすることで、更にその存在を際立たせることができます。
門まわりが少し物足りない、もっと華やかで豪華な印象にしたい、エントランス部分を明確化させたいといった場合は、フレームを使った外構デザインを検討してみるといいでしょう。
門に屋根をつけて格式アップ:
門まわりにエントランスアーチを設置した事例
門の上に屋根があると、門まわりの格調がぐっと高まります。門の開閉の際の雨除けとしても役立つので、暮らしの快適性も向上します。
上記の写真は、YKK AP エクステリア スタイル大賞2023年ファサード部門ブロンズスタイル賞を受賞した施工事例です。
豪華な住宅にふさわしく、門まわりも格式高く、重厚感を意識したデザインです。こちらは、「エクスティアラ アーチ」という製品を使用し、アルミ乾式構造フレームにより工事を短縮、統一感のある美しいデザインに仕上がっています。
このような屋根がついた門製品には、さまざまなデザインがあります。こちらの事例で使用されている「エクスティアラ アーチ」は、両側に壁がある「両袖壁納まり」タイプ。他にも、独立した柱で支えるタイプや、片袖壁と直線壁で支えるタイプなどがあり、敷地や間口の形状に合わせて様々なプランが可能です。
また、照明やポスト、インターホンなどを組み込むことができるので、袖壁を高級感のある石調タイルなどで仕上げれば、機能的で豪華な門まわりが完成します。
門扉との組み合わせ方もポイントです。透け感のある門扉を選べば閉塞感なく明るい雰囲気になり、背の高い隙間の少ない門扉を選べばガードをしっかりと固めることができます。
門まわりを豪華に演出したい、邸宅感を出したい時は、このような屋根付きの製品を上手に活用するといいでしょう。
今回はYKK AP エクステリア スタイル大賞2023のファサード部門の受賞作品の中から、新築やリフォームで取り入れやすいアイデアを3つセレクトしてご紹介しました。
下記に、同じく受賞作品の中から、外観の印象を一新した外構・門まわりのおしゃれなリフォームの施工事例をご紹介しています。参考にしてみてくださいね。
門扉やポストユニット、カーポートなどの「ファザード」について詳しく知りたい。
著者プロフィール
Yuu(尾間紫)
一級建築士/インテリアプランナー/インテリアコーディネーター/マンションリフォームマネジャー
長年リフォーム業界の第一線で、数多くの住宅リフォームの相談、プラン設計、工事に携わってきた経験から、本当に価値あるリフォームについて皆さまにお話します。過去を繕うものではなく、未来の暮らしを創る「リライフのリフォーム」を提唱。実践的なリフォームのノウハウを、テレビや雑誌、新聞連載、講演などを通して発信中です。著書に『リフォームはこうしてやりなさい(ダイヤモンド社)』など。Webサイト「リフォームのホント・裏話」(http://www.ne.jp/asahi/net/rehome/)でリフォームの実践的なノウハウを公開中