春になるとカーテンを開け放して、窓も全開で、心地よい風を部屋に招き入れて過ごす時間が増えてきますね。寒い冬は部屋の中で過ごすことが多く、外を意識することも少ないのですが、暖かくなってくると庭の植物の毎日の成長が目まぐるしくて目が離せません。花や新緑を見に庭へ出ることも増えてきます。庭へ出た時も部屋にいる時も、心地よく過ごすには外からの視線を気にせずいれるよう、プライバシーが守られていることが重要。最近では多くの住まいが目隠しフェンスを使って、快適な住空間を作り出しています。以前はコンクリートブロック積みの塀を設けることが多かったのですが、地震時の安全性がより考慮されるようになり、フェンスを選ばれることが増えています。
外からの視線をしっかり防ぐには目隠しフェンスの高さも背丈以上のものが必要になります。大きな面積になるので存在感があります。選ぶ色や素材によっては住空間全体が暗く感じてしまうこともあります。今回は、「明るい庭や明るい部屋を保つことができる」目隠しフェンスの選び方をご紹介します。
1.明るい色を選ぶ
庭空間を明るくするには、周囲を囲うフェンスに明るい色を選びます。光は黒系の色には吸収され、白系の色には反射されます。大きな壁面となるフェンスは白系の色を選び、光を反射させることで周囲を明るく感じさせます。庭が明るいということは、窓から見える景色が明るく室内にもたくさんの光をもたらしてくれると言えます。見える空の狭い都会の住まいなら、庭も広くはありません。明るい色のフェンスは、暗くなりがちな庭を明るくしてくれます。
隣家の壁が近く迫っているような立地にも明るい色のフェンスは効果的です。庭の景観、部屋から眺める庭の景色は周囲の建物も合わせて視界に入るので、それらに大きく影響されます。我が家の庭として整えるなら、視界に入る周囲を取り囲んで統一感を持たせると良いですよ。
2.光と風を通す、抜け感のあるデザインを選ぶ
完全に視線を防ぐ目隠しと違い、板と板との間に隙間があり少し抜け感のある軽やかな目隠しフェンスも人気があります。風通しが良いのも魅力。植物たちが元気に生息するためには風通しが大切です。それだけで病気になったり、害虫被害に遭うことが少なくなります。緑の多い庭なら考慮したいポイント。
前面道路からフェンスの間に駐車スペースやアプローチがあり、道ゆく人がフェンスのすぐ前を通らない、少し距離の取れる状況なら、これくらいの隙間があるタイプをお勧めします。完全な目隠しだと外から敷地内の様子が全くわかりません。それはプライバシーが確保されていて良いことではあるのですが、不審者が侵入したときも外から見られる心配がなく活動できてしまうという事でもあります。そう考えると外から庭の気配が全く感じられないというのは、リスクもあるという事だと知っておく必要はありますね。
3.光と風を通す、しっかり目隠しデザインを選ぶ
光と風を通しながらも目隠し効果もあるデザイン。そして懸念事項である防犯に関しての解決策も兼ね備えたデザインがあります。
パネルがポリカーボネート素材の透明すりガラス調になっていて光を通します。このパネルはルーバーになっていて隙間があり風を通すことができる。
室内から見ても明るさが取り込めていることがわかります。道路に面した狭い庭では道ゆく人の視線を感じやすく、カーテンを解放することも躊躇してしまいます。解決策として完全な目隠しフェンスを設けたなら、圧迫感が生まれてしまうことも。透明すりガラス調なら圧迫感も大きく軽減されます。
建物とのコーディネート的にもメリットがあります。大きな面積の目隠しフェンスが主張することなく建物を引き立て外観全体が整います。
カーテンを開放すると庭はインテリアの一部になります。近年人気のシック調インテリアと調和する庭を作るとき、主張する目隠しフェンスはイメージを壊してしまいます。先ほどの室内からの写真のように、シック調インテリアに違和感なく馴染むのも、このデザインの特徴ですね。
シック調イメージにしか馴染まないデザインというわけではありません。透明すりガラス調のパネルを支えるアルミ枠の部分にはカラーバリエーションがあり、この部分に黒系を選ぶとグッとモダンな印象に。
建物外観やインテリアのイメージに合わせてセレクトできます。
目隠しフェンスを設けても明るい庭や明るい部屋を保つことができるフェンスの選び方をご紹介しました。建物とのバランス、インテリアとのバランス、緑とのバランスを検討して、心地よい庭のある住空間を作りましょう。
著者プロフィール
冨田ちなみ Gokansha(ゴカンシャ)
個人住宅の庭・外構や店舗のエントランスガーデンなど、あなたのライフスタイルに調和する外空間のデザインするGokansha(ゴカンシャ)代表。二級建築士、インテリアコーディネーター、二級造園施工管理技士、福祉住環境コーディネーター、園芸療法リーダー二級、ハーブコーディネーターなど様々な資格を持ち、建築士でもあるため住宅目線・エクステリア目線・ガーデン目線、それぞれの記事を発信いたします。E&Gアカデミー講師。