ブロック塀の高さ制限と設置条件とは?フェンスとの組み合わせの検討も。

ブロック塀の高さ制限と設置条件とは?フェンスとの組み合わせの検討も

ブロック塀は外からの視界を遮ることができ、不審者の侵入も防止でき、また丈夫なので、横切って走る車が敷地内に飛び込んだりする被害も抑止できます。しかし法令によって塀の高さは細かく制限されています。高いブロック塀は設置の条件も厳しく、費用面にも影響します。

本記事ではブロック塀の高さ制限と、高さによる設置条件の違いについて解説します。

ブロック塀の高さ制限はどのくらい?

ブロック塀の高さ制限と設置条件とは?フェンスとの組み合わせの検討も。

ブロック塀の高さ制限は、建築基準法施行令によって以下のように定められています。

  • 鉄筋有りの場合は、2メートルが上限
  • 鉄筋無しの場合は、2メートルが上限

この「高さ」は、次のような基準に従って計測しなければなりません。一般社団法人全国建築コンクリートブロック工業会によると、正しく測定する要件は次の通りです。

  • 高さは、地面から測定する
  • 塀の内側と外側で高低差がある場合は、低いほうの地面を基準にして測定する

塀のそばに側溝がある場合は、側溝の種類によって次のように測定方法が変わります。

  • JIS規格によるU字形側溝がある場合は、ふたがある位置を基準にして測定する
  • 簡易な側溝がある場合は、側溝の底を基準にして測定する

高さをチェックする際には、ブロック塀そのものだけでなく、地面近くの状況もよく確認して測定することが必要です。

鉄筋有りのブロック塀は高さによって規制内容が変わる

ブロック塀の高さ制限と設置条件とは?フェンスとの組み合わせの検討も。

鉄筋があるブロック塀は、高さが増すほど法令による規制が厳しくなります。3つのケースに分けて、法令による規制内容を確認していきましょう。

高さ1.2メートル以下の規制内容

次のように、壁の厚さと鉄筋の入れ方の両方の要件を満たさなければなりません。壁の厚さは10センチメートル以上必要です。また鉄筋の入れ方についても細かい規制があります。

  • 鉄筋の径は9ミリメートル以上の製品を使う
  • 壁の中には、鉄筋を縦と横に入れる。鉄筋どうしの間隔は80センチメートル以下
  • 壁の頂部と基礎には横に、壁の端や折れ曲がる部分には縦に、それぞれ鉄筋を入れる

高さ1.2メートルを超え、2メートル以下の規制内容

ブロック塀にプラスして控壁(ひかえかべ)を設置することが必須です。さらに、基礎についても法令による規制があります。まず控壁に求められる要件をチェックしましょう。

  • 壁から突き出た控壁を設ける。控壁に必要な長さは、壁の高さの20%以上
  • 控壁は4メートル以内の間隔となるように設ける
  • 控壁の中に入れる鉄筋は、径9ミリメートル以上の製品を使う

よく、背の高いブロック塀の背面のところどころに、壁のような出っ張りがあるのを見かけたことがある人もいるでしょう。これが「控壁」と呼ばれるものです。控壁は倒壊を防止するなど、安全を保つために大変重要です。

基礎をつくる際には、以下の規定に沿う必要があります。

  • 基礎に相当する部分の高さは35センチメートル以上
  • 基礎のうち、地面の下に埋めてある部分(根入れ深さ)が30センチメートル以上

しっかりした基礎を設置することが義務化されており、控壁も必須です。こうしたことから、1.2メートル以上のブロック塀は、費用が大幅にアップすることになります。

高さ2メートルを超え、2.2メートル以下の規制内容

この場合、ブロック塀に要求される壁の厚さは「15センチメートル以上」となります。厚みのあるブロックを使用しなければならないので、やはり工事費がアップする要因になります。単品での価格差は少額でも、量が多くなると大きな差になるでしょう。

鉄筋無しのブロック塀に課される要件

ブロック塀の高さ制限と設置条件とは?フェンスとの組み合わせの検討も。

鉄筋無しのブロック塀を設置する際の要件は、以下のとおりです。

  • 塀の高さは2メートルが上限
  • 壁に必要な厚さは、高さの10%以上
  • 控壁が突き出る部分に必要な長さは、壁の厚さの5倍以上
  • 控壁どうしの間隔は、4メートルよりも空けないこと
  • 基礎のうち、地面の下に埋めてある部分(根入れ深さ)が20センチメートル以上

先ほども説明した「控壁」ですが、敷地内に突き出すことになるので、できれば作らずに済ませたいお施主様も多いと思います。以下の要件を満たせば、控壁を作らずに済みます。

  • 塀の高さは2メートルが上限
  • 壁に必要な厚さは、高さの15%以上
  • 基礎のうち、地面の下に埋めてある部分(根入れ深さ)が20センチメートル以上

鉄筋が入らない、高さ1メートルのブロック塀のケースを考えてみましょう。厚さが10センチメートルのブロックを使うと控壁を設置しなければなりませんが、厚さを15センチメートルの製品に変えれば控壁が要らなくなるわけです。

ブロック塀にフェンスを組み合わせる場合の高さ制限

ブロック塀の高さ制限と設置条件とは?フェンスとの組み合わせの検討も。

ブロック塀にフェンスを組み合わせる場合は、以下に挙げる高さ制限を満たさなければなりません。

  • 全体の高さは2メートルが上限
  • それぞれの高さは、どちらも2メートル以下

さらに、ブロックの素材やフェンスのすき間の数によっても高さ制限が変わります。高さ2メートル超の塀は、すき間のあるフェンスでないと設置は難しいでしょう。もし目隠しタイプやルーバータイプなど、すき間の少ないフェンスを建てる場合は、大きな空洞を持つ「型枠ブロック」を活用することをおすすめします。

高さ制限を超えるブロック塀は取り壊す必要がある?

ブロック塀の高さ制限と設置条件とは?フェンスとの組み合わせの検討も。

高さ制限を超えてしまっても、すべてが法令違反とは言い切れません。設置した時点で適法であれば、その後の法令改正で要件が変わっても、取り壊さなくても良いのです(これを「既存不適格建築物」と呼びます)。実際、3メートルあるようなブロック塀を見かけたことのある人もいると思います。

ただし、ブロック塀を作り直す場合には、その時点での法令に沿った高さで建てなければなりません。このため、高いブロック塀を建て直す際に、前よりも低くしなければならなくなった、というケースもあります。

塀の高さをよく検討し、安全・安心へのコスト負担を心がけよう

ブロック塀の高さ制限と設置条件とは?フェンスとの組み合わせの検討も。

ブロック塀には厳密に高さ制限が定められているため、敷地内を見られたくないからといってむやみに高くすることはできません。必要な高さをよく検討し、適切な高さの塀を設けましょう。

塀を高くするほど法令の要件も厳しくなり、コストもアップします。過去にはブロック塀が倒壊したことによる痛ましい事故もありました。そうした事故を未然に防ぐためにも、安全・安心のための相応の負担が必要なことを心がけましょう。

 

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