古く劣化しているブロック塀は地震で倒壊する危険があります。早めに点検を行い、改修リフォームをしておくことをおすすめします。今回は、我が家のブロック塀の点検チェックポイントと、ブロック塀に代わる安全で快適なフェンスの選び方、補助金情報もご紹介します。
我が家のブロック塀に倒壊の危険が?点検チェックリストで確認してみよう
古く劣化が進んだブロック塀は、地震などで倒壊の恐れがあります。これまでも2018年の大阪北部地震、2016年の熊本地震でブロック塀の倒壊による死亡事故が発生していいます。
ブロック塀の構造は建築基準法によって厳しく定められています。またブロック塀は劣化が進むと強度が低下し、倒壊の危険性が高まります。
国土交通省では、このような被害の発生を受け、ブロック塀の安全点検のチェックポイントを作成、各自治体に対し、ブロック塀の所有者に向けて、以下の2点を注意喚起するよう要請しています。
- このチェックポイントを用いて安全点検を行うこと
- 安全点検の結果、危険性が確認された場合には、付近通行者への速やかな注意表示及び補修・撤去等が必要となること
<ブロック塀等の点検のチェックポイント/国交省資料より>
ブロック塀について、以下の項目を点検し、ひとつでも不適合があれば危険なので改善しましょう。 まず外観で1~5をチェックし、ひとつでも不適合がある場合や分からないことがあれば、専門家に相談しましょう。
□1.塀は高すぎないか
・塀の高さは地盤から2.2m以下か。□ 2.塀の厚さは十分か
・塀の厚さは10cm以上か。 (塀の高さが2m超2.2m以下 の場合は15cm以上)□ 3.控え壁はあるか。 (塀の高さが1.2m超の場合)
・塀の長さ3.4m以下ごとに、塀の高さの1/5以上突出した控え壁があるか。□ 4.基礎があるか ・コンクリートの基礎があるか。
□ 5.塀は健全か
・塀に傾き、ひび割れはないか。<専門家に相談しましょう>
□ 6.塀に鉄筋は入っているか
上記は鉄筋が入っているブロック塀の場合のチェックリストです。古いブロック塀の場合、鉄筋が入っていないケースもあり、その場合は塀の高さは1.2mまで。他の条件も少しずつ異なります。
ただしこれはあくまでも簡易な点検です。他にも、表面が風化している、ぐらつく、後から継ぎ足している、透かしブロックが数多く入っている場合なども、倒壊のリスクが増大します。また上からモルタルで仕上げている場合、一見してブロック塀だと分からないこともあります。
耐震性の低いブロック塀は危険なので、1.2m以上の高さのブロック塀がある場合は、鉄筋の調査を含め、専門家に点検をしてもらうことをおすすめします。
ブロック塀をフェンスに改修リフォームすると、補助金が出る自治体も
ブロック塀は倒壊すると命の危険があるのはもちろん、災害時に避難経路をふさいで救助活動に支障がでる可能性があるため、厳しい規制がある地域もあります。
そのため多くの自治体でブロック塀をフェンスや生垣に改修リフォームすることを推奨、改修費用に補助金が出ることも多いので、確認してみましょう。
例えば横浜市では、次のような補助金制度があります(2021年1月現在の情報を抜粋)
<対象ブロック塀等>
原則として、以下のア~ウ全てを満たしているもの
ア 道路等に面していること
イ 高さ1m以上のブロック塀等であること。
ウ 地震時に倒壊するおそれのあるもの。<補助対象となる工事>
除却:道路等に面するブロック塀等を原則全て除却する工事
新設:ブロック塀等の除却とセットで行う、軽量なフェンス等、又は生垣の新設工事(※)その他、詳細な条件がありますので、都度確認してください
この「軽量なフェンス等」とは、ネットフェンス、アルミフェンスなどを指しています。補助金の金額は上限30万円までとなっています。
注意したいのが、横浜市の場合、施工業者は市内に本社があること、申請の際には審査があること、改修リフォーム前後の写真や図面が必要になることなどの条件があることです。
こちらは一例ですが、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡をはじめ、多くの自治体でこのような補助金制度を敷いています。条件の詳細や補助額はそれぞれ異なりますので、事前に確認を行い、エクステリアの専門家とよく相談しながら計画を進めましょう。
ブロック塀からフェンスへ、目隠し、風通し、防犯など上手な選び方
ブロック塀の改修リフォームの際の、ブロック塀に代わる安全で快適なフェンスの上手な選び方をご紹介しましょう。
ブロック塀のように外からの視線を遮りたい場合は、目隠し効果が高いクローズタイプのフェンスがおすすめです。フェンスの高さは高めにし、視線を遮るデザインを選べば、プライバシーをしっかり守ってくれます。アルミ製のフェンスなら軽量で丈夫なので安全性が高く、安心して暮らせます。
程よく目隠ししながら風通しよく、明るくしたいなら、セミクローズタイプのフェンスがおすすめです。ブロック塀は風通しが悪く日陰になるため、コケやカビ、湿気の不安があります。風を通すフェンスなら快適度は格段にアップ。さりげなくプライバシーを守りながら、気持ちのよいエクステリア空間になります。
明るく広々とした雰囲気にしたいなら、オープンスタイルのフェンスがおすすめです。フェンスの周囲に花壇を作って四季折々の花を楽しんだり、低い生垣を植え込んだり。道行く人の目を楽しませる華やかな外構になります。
オープンスタイルでも、フェンスがあれば、軽やかで明るい雰囲気にしながら、敷地境界をはっきりさせることができます。
防犯性能を高めるコツは、敷地の境界線を明確にしながら、泥棒が隠れていたら分かる程度に見通せるフェンスを選ぶことです。フェンスは高めを選び、敷地内に死角を作らないようにしましょう。
死角ができてしまう場合は、人感センサー式の照明を取り付けるなどの対策をしておくことをおすすめします。門扉と玄関の防犯対策については、下記で詳しくご紹介していますので、あわせてご覧ください。
まずは我が家のブロック塀に危険がないかをチェック!気になることがあったら早めに専門家に点検を依頼し、問題があったらすぐに安全対策を行なっておきましょう。改修リフォームの際には、補助金の確認も忘れずに。フェンスを上手に選んで、安全で快適な毎日をお過ごしくださいね。
著者プロフィール
Yuu(尾間紫)
一級建築士/インテリアプランナー/インテリアコーディネーター/マンションリフォームマネジャー
長年リフォーム業界の第一線で、数多くの住宅リフォームの相談、プラン設計、工事に携わってきた経験から、本当に価値あるリフォームについて皆さまにお話します。過去を繕うものではなく、未来の暮らしを創る「リライフのリフォーム」を提唱。実践的なリフォームのノウハウを、テレビや雑誌、新聞連載、講演などを通して発信中です。著書に『リフォームはこうしてやりなさい(ダイヤモンド社)』など。Webサイト「リフォームのホント・裏話」(http://www.ne.jp/asahi/net/rehome/)でリフォームの実践的なノウハウを公開中