家で過ごす時間を豊かにしてくれる庭の存在。時代と共にそのつくりも進化しています。今回はYKK AP エクステリア スタイル大賞2023の受賞作品から、平屋の庭、異国リゾート風、リフォームの施工事例で見る、最新の庭づくり3つのアイデアをご紹介しましょう。
目次
人気上昇中の平屋、解放感のあるつくりで心地よさを更に高める
こちらは、平屋の快適さを更に高める工夫が随所にこらされた庭の施工事例、YKK AP エクステリア スタイル大賞2023年の受賞作品です。
現在、平屋の人気が上昇しています。平屋は上下の昇降が無く、暮らしやすいのが最大のメリット。広い敷地を活かした家づくりのスタイルで、解放感が大きな魅力になっています。
平屋の良さを更に高めてくれるのが庭の存在です。家の内外の連携を深め、開放的な空間演出をすることで、自然を感じられる心地よい住まいになります。
こちらの事例は、大きな庇の下に設けられたタイル張りのオープンテラス、太陽の下に広がる芝生、そしてその空間に安らぎを生み出すフェンスとスクリーンの囲いを組み合わせた、まさに平屋の理想の庭もともいえるデザイン。
家の中から眺める庭の風景は、どこまでも明るく広がり、白いテラスや塀が芝生の緑を一層美しく引き立てています。
面積が広い庭は、ともすると平坦な印象になりがちですが、円弧を描く縁石で芝生を囲むことで中心への引力を生み出し、また塀や照明を低くすることで重心を下げ、落ち着きを感じさせる空間に仕上がっています。
外部からの視線対策もしっかり施されています。横格子の「ルシアス」フェンスと、たて格子のスクリーン「リレーリア フロントフレーム」、それに植栽を組み合わせ、ほどよく透け感を持たせながら目隠し効果を発揮。スクリーンに配された木調の格子は、室内からのアクセントにもなっています。
こんな庭なら、視線を気にせず、芝生の上で思い切りくつろいだり、遊んだりできそうですね。
平屋は広い敷地に建てることが多いため、庭の計画にしっかりこだわるのが、完成度の高い住まいにするポイント。豊かな自然を感じる癒しの庭づくりを目指しましょう。
異国情緒が漂う非日常の庭、グレーの「リウッドデッキ」でコーディネート
こちらは、庭にグレー色の「リウッドデッキ」を設置、海外のリゾート空間のような個性的な庭づくりをした施工事例です。
今や、庭に欠かせない存在となっているのがウッドデッキ。昔は一般的な木材で作ることも多かったので、再塗装やシロアリ対策などのお手入れに手間が掛かって、数年で腐食してしまうことも少なくありませんでした。
現在は、人工木が登場。手間なく美しさを長持ちさせることができるようになっています。こちらの施工事例で使われている「リウッドデッキ」は、木粉と樹脂を主原料とした機能性素材でできていて、再塗装は不要。シロアリや腐食にも強いため、メンテナンスの手間が少なく長持ちします。
「リウッドデッキ」は色選びもポイントです。最近の住宅デザインでは、外観もインテリアもよりシンプルで洗練されたデザインが好まれるようになり、くすんだトーンやグレー、黒などが人気です。
こちらの事例ではシックなウォームグレイ色の「リウッドデッキ」をセレクト。黒やアースカラーの家具やオブジェ、カッパー色の門扉、濃い緑の植物とコーディネートして、異国情緒が漂う非日常を感じさせる庭になっています。
「リウッドデッキ」は明るいナチュラルカラーから濃いグレーまで5色展開されており、色あせしにくく、美しい色が長持ちするので、より完成度の高い庭づくりができます。
「リウッドデッキ」やアウトドア家具を選ぶ際には、インテリアを選ぶようにじっくりとコーディネートをするのが理想の庭に近付けるポイント。リゾート感あふれる、自分だけの庭を目指しましょう。
雑草が多く隣家が迫る庭が大変身、手入れがラクで美しい癒しの庭にリフォーム
<リフォーム前>
<リフォーム後>
こちらは、これまでほとんど活用されていなかった庭を、リフォームによって、手入れがラクで美しい癒しのスペースへと再生した施工事例です。
リフォーム前は、隣家との境界に塀やフェンスがなく、雑草が生え、庭というより通路のような印象でした。また隣家の窓が接しているため、庭や家の中が丸見えの状態に。落ち着いてくつろぐことが難しい状況にありました。
そこで、境界部分に高さを出せる「シンプレオ」フェンスを取り付け。しっかりと目隠しをしながらも風通しはよく、圧迫感もありません。
また、家の内外を繋ぐ存在として、室内の床と庭の中間の高さに「リウッドデッキ」を設置。これにより、これまで分断されていた内外空間がゆるやかに繋がり、庭への出入りがスムーズになりました。
更に、庭のメインエリアには、2色の大判タイルと砂利をリズムよく組み合わせ、植栽は高さのあるシンボルツリーや足元を彩る季節の草花、そしてその間を繋ぐ中低木をバランスよく配置。リフォーム前の庭からは想像もつかないほど、美しく整った庭へと変わっています。
これなら外からの視線を気にすることなく庭でリラックスした時間を過ごすことができ、また庭のお手入れも格段にラクに。庭が変わると暮らしも大きく変わる、庭の重要性がよく分かる事例です。
今回はYKK AP エクステリア スタイル大賞2023の受賞作品の中から、平屋の庭、異国リゾート風、リフォーム施工事例から、最新の庭づくり3つのアイデアをご紹介しました。
下記には、同じく受賞作品の中から狭い庭の活用法から意外な使い方まで、「リウッドデッキ」の上手な活用方法をご紹介しています。ぜひ庭づくりの参考にしてみてくださいね。
著者プロフィール
Yuu(尾間紫)
一級建築士/インテリアプランナー/インテリアコーディネーター/マンションリフォームマネジャー
長年リフォーム業界の第一線で、数多くの住宅リフォームの相談、プラン設計、工事に携わってきた経験から、本当に価値あるリフォームについて皆さまにお話します。過去を繕うものではなく、未来の暮らしを創る「リライフのリフォーム」を提唱。実践的なリフォームのノウハウを、テレビや雑誌、新聞連載、講演などを通して発信中です。著書に『リフォームはこうしてやりなさい(ダイヤモンド社)』など。Webサイト「リフォームのホント・裏話」(http://www.ne.jp/asahi/net/rehome/)でリフォームの実践的なノウハウを公開中