お風呂やキッチンの窓の目隠しをしたいという要望は意外と多いものです。窓のサイズは小さくても、ご近所から家の中が見えてしまう、不透明ガラスだけれどシルエットが映りそうで落ち着かないという声も。今回は、窓まわりやエクステリアの工夫で上手に目隠しをするアイデアをご紹介します。
小さな窓でも家の中が丸見えに
リビングなどの大きな窓は外からの視線対策をしている人が多いのですが、忘れがちなのがお風呂やキッチンなどの小窓です。
例えばお風呂の窓は大きいと解放感があり気持ちがいいものですが、裸でいる場所ですから視線対策は必須です。不透明ガラスでも夜に電気をつけるとシルエットが映り、不安を感じることもあります。
キッチンの場合で意外と多いのが窓を開けて炊事をしていると隣家の人や通行人と視線が合ってしまうというもの。キッチンの前に立つと視線の高さがちょうど窓の位置にくることも多いため、こういった悩みが少なくありません。
また外から見えないように高所に窓を取り付けてあったにもかかわらず、隣りに家やマンションが建ち、上階から丸見えになってしまったケースも。
階段の窓にも注意が必要です。吹き抜けの階段に大きな透明ガラスの窓を付けたところ、パジャマ姿で上り下りをしているところがご近所から丸見えに。
安心して暮らすためには、小さな窓でもしっかりと視線対策をしておくことが大切。特に夜は家の中のほうが明るいので、思った以上に家の中が見え、防犯上も問題があります。
それでは、今すぐできる手軽なものから、通風や採光を確保しながら視線だけをしっかりと遮ってくれるものまで、浴室やキッチンの窓を目隠しするアイデアをご紹介しましょう。
手軽にできる窓の内側での目隠し
窓の内側での目隠しには、カーテンやブラインドを取り付ける、ガラスにフィルムを張り付けるなどの方法があります。
お風呂には水に強い浴室用のブラインドが向いています。ただしブラインドは閉めた状態では風通しは難しくなります。風が当たると本体が揺れるので、ガラスにぶつかって音を立てたり、衝撃で壊れたりする可能性があるので注意が必要です。
カーテンやブラインドの取り付けがしにくい窓には、ガラスに目隠しフィルムを貼る方法も。フィルムには乳白色のすりガラスのように見えるものや、ステンドガラスのような柄物もあります。
キッチンの小窓には突っ張り棒を使ってカフェカーテンを下げれば、さりげない目隠しに。またミラーレースと呼ばれる室内が見えにくい生地を使ったカーテンなら、明るさを確保しながら視線を遮ることができます。
ただしキッチンでは油煙が付きやすいので、カーテンも汚れやすくなります。美しく保つためにも、洗濯に強い製品を選びましょう。
通風と採光を確保できる窓の外側での目隠し
1)多機能ルーバー
窓の外側に取り付ける便利な目隠し製品もあります。窓の外側に取り付けるメリットは、室内側の窓まわりをスッキリとさせたまま、外からの視線をしっかりと遮ってくれること。
上の写真は窓の外側に取り付ける「多機能ルーバー」です。通風、採光、日よけ、目隠しの4つの機能を持ち、ルーバーを無段階で動かすことができるので、気になるところだけ目隠ししながら、通風や採光を適切にコントロールすることができます。
操作はダイヤル式なので、室内側からルーバーの角度を変えるのもとても簡単。更に「上下分割稼働タイプ」なら、上部5枚のルーバーだけ独立して操作できるので、視線や採光のコントロールがしやすくなります。
また小窓からの空き巣の侵入は意外と多いもの。その手口の多くはガラス切りによるものですから、窓の外側にこういった製品を取り付けておけば、防犯効果を高めることにもつながります。
「多機能ルーバー」には、より丈夫なアルミ製の他に、明るさを確保しやすいポリカーボネート製もあります。
ポリカーボネートは半透明の丈夫な樹脂素材。適度な採光性があるので、ルーバーを完全に閉めても自然な光を通し、明るさと目隠しの両立が可能です。
カラーバリエーションはブラウン、カームブラック、プラチナステン、ピュアシルバー、ホワイトの6色が揃っているので、わが家のサッシの色に合わせて選びましょう。
他にも、ほどよい透過性で採光と通気が確保できる固定ルーバー型の目隠し「プライバシースクリーン」や、シンプルな固定ルーバータイプの目隠しガラリ「ウィンバイザー」など、外付けタイプの目隠しには様々な製品があります。
採光や視界性をシーンに合わせて適宜コントロールしたい場合は「多機能ルーバー」、固定でしっかり視線を遮りたい場合は「プライバシースクリーン」や「ウィンバイザー」を選ぶなど、部屋の用途や目的に合わせて選びましょう。
2)プライバシースクリーン
こちらは窓の外側に取り付ける固定ルーバーです。安全性の高いポリカーボネート製で、ガラスのような風合いが明るく爽やかな印象があります。
スリット部からしっかり通気ができ、プライバシーを守りながらも光の透過率は高いので、風通しと明るさを確保しやすいのがメリット。
道路に面したお風呂やトイレ、キッチンでも安心していられます。
3)ウィンバイザー
こちらも窓の室外側に取り付けるシンプルな固定ルーバーです。ルーバーの取り付け方や位置によって、目隠しはもちろん、日よけや雨よけとしても活用できます。
アルミ製とポリカーボネート製の2種類があり、しっかり隠したい場合はアルミタイプ、程よい目隠しと明るさを確保したい場合はポリカーボネートタイプを選びましょう。
美しい景色を楽しめる植物を使った目隠し
窓の外に植物を植えて目隠しにする方法もあります。
アイビーやクレマチスなら初心者でも比較的簡単に育てることができます。植え付け時期は、アイビーは初夏、クレマチスは冬が向いています。
モッコウバラも素敵です。つるが伸びて生育が早く、春になると可愛い白や黄色の花をたくさん咲かせます。上手に誘引すれば、家の外からも視線を遮りつつ、美しい景色を楽しむことも。植え付け時期は春先か秋が向いています。
ただしモッコウバラは、寒さが厳しい地域や、病虫害に侵されると落葉することがあります。比較的丈夫な植物ですが、美しい花を咲かせつつ、目隠しに仕立てるには適切な剪定やお手入れが必要に。また育つまでにはある程度時間が掛かりますので、他の目隠し方法と併用しながらじっくり育てていきましょう。
植物を使った目隠しは癒し効果が高いのが特徴です。フェンスなどと適宜組み合わせて計画を立てれば、我が家ならではの美しい目隠しになります。
安心感があり防犯にも効果があるフェンスでの目隠し
窓の外にフェンスを設置すれば、室内側に取り付けるよりも圧迫感が少なく、しっかりと目隠しができます。フェンスのメリットは、道路や近隣からの視線を気にせずに、窓を開け放ってのびのびと暮らせること。
視線を遮りつつ風通しがいいフェンスがたくさん揃っていますので、わが家の外観デザインに合わせて選びましょう。
目隠しフェンスの選び方やデザインについては下記で詳しくご紹介していますので、あわせてご覧になってみてください。
お風呂やキッチンの小窓からの視線もしっかり対策しておけば、毎日を安心して暮らすことができます。窓の内側や外側、植物、そしてフェンスの工夫で、家族みんなが安心して暮らせる住まいをめざしましょう。
お風呂やキッチンの窓からの視線を目隠しする商品。
著者プロフィール
Yuu(尾間紫)
一級建築士/インテリアプランナー/インテリアコーディネーター/マンションリフォームマネジャー
長年リフォーム業界の第一線で、数多くの住宅リフォームの相談、プラン設計、工事に携わってきた経験から、本当に価値あるリフォームについて皆さまにお話します。過去を繕うものではなく、未来の暮らしを創る「リライフのリフォーム」を提唱。実践的なリフォームのノウハウを、テレビや雑誌、新聞連載、講演などを通して発信中です。著書に『リフォームはこうしてやりなさい(ダイヤモンド社)』など。Webサイト「リフォームのホント・裏話」(http://www.ne.jp/asahi/net/rehome/)でリフォームの実践的なノウハウを公開中