超大型の台風の到来や、これまでそれほど雪が降らなかった地域に大雪が降るなど、異常気象のニュースを聞くようになりました。そうなると、心配になるのがカーポートの破損や倒壊です。今回は、今だからこそ押さえておきたい安全なカーポートの選び方、台風の強風や積雪に強いタイプをご紹介します。
目次
台風や積雪によるカーポートの被害はこれまで意識していなかった地域でも拡大
2018年には台風21号が近畿地方を中心に、2019年には台風19号が関東、甲信、東北地方に大きな被害をもたらしました。これらの台風は共に、最大風速が50mを超えています。また2023年夏には、台風6号と7号が広範囲に被害をもたらしました。
これまで、これほど大きな台風が日本へ上陸することはまれでしたが、今後は気象の変化により、このような傾向が続く可能性があると予想する声が増えてきたようです。
このような大型台風の襲来の際には、数多くのカーポートが被害を受けました。強風で飛んできた瓦などによる屋根ふき材の損傷をはじめ、カーポート本体そのものがゆがんだり、折れ曲がったりしたケースもあります。
台風だけではなく雪の被害にも注意が必要です。2014年の関東、甲信、東北地方の大雪では、普段それほど雪が積もらない山梨県の甲府市で最深積雪114㎝、埼玉県の熊谷市では62㎝を記録。途中から雨に変わって水分を含んだ重い雪となったことも重なり、各地に様々な被害をもたらしました。
関東地方では、積雪対策をしていないカーポートに被害が多数発生、車が出せなくなったり、つぶれてしまったり、修理が追い付かず長い間そのままになっている家もありました。
これまで台風や積雪の被害をあまり意識していなかった地域では、カーポート選びにおいて、サイズやデザイン、屋根の素材にはこだわっても、このような災害に対する対策は、なおざりにされがちな面がありました。
しかし、このような異常気象が続く今、これからを安全に、そして安心して暮らすためには、台風や積雪に対する強さにも注目してカーポート選びをすることが必要になっています。
台風の強風に強いカーポートの選び方。カタログで耐風圧強度をチェック!
では、台風の強風に強いカーポートの選び方からご紹介しましょう。
カーポートには、下から吹き上げるような風にどれだけ耐えられるかという「耐風圧強度」(※)が表示されています。台風に強いカーポートを選びたい場合は、この耐風圧強度が高いタイプを選んでおくと安全性が高まりますので、しっかりチェックしましょう。
(※最大の平均風速で表示)
まずは脚の本数に注目してみましょう。基本的にはカーポートは、脚の数が多いほど風に強い構造をしています。片側支持と呼ばれる、脚が片側だけについている片持ちタイプよりも、4隅に脚がある両側支持タイプの方が耐風圧強度は高くなります。
片持ちタイプで強度を上げたい場合は、着脱式のサポート柱を使用して、耐風圧強度を向上させるといいでしょう。着脱式のサポートは、使わない時は外して柱に収納することができ、いざという時に取り付けることで強度を上げることができます。
次に、屋根ふき材をチェックしましょう。一般的なカーポートの屋根ふき材はポリカーボネートです。ポリカーボネートは軽やかなデザインで透明度が高く、衝撃にも強い素材ですが、スチール折版を使用すれば、更に台風への強度をアップさせることができます。
ポリカーボネートを使用する場合は、サイドパネルや屋根ふき材補強部品などを併用することで耐風圧強度を上げることができます。カーポートには、台風対策に適した様々なオプション品がありますので、上手に活用しましょう。
一例として、「ルシアス カーポート 1500タイプ」があります。42m/秒までの風圧に耐えられる製品です。アルミ×木調の豊富なカラーバリエーションから選べることに、魅力を感じる方も多いでしょう。
ポリカーボネートの屋根ふき材で、かつサポートが無くても耐風圧強度46m/秒相当を持つ、風に強いタイプのカーポートもあります。耐風圧カーポート「エフルージュ FIRST 1500タイプ」「エフルージュ FIRST ハイデザイン 1500タイプ」には、強度をアップしたアルミニウム合金を採用。片持ちタイプでも風に強い構造をしています。
本格的に台風対策をしたい場合は、高い耐風圧性能に加えて、飛来物にも強いスチール折板屋根ふき材を選びましょう。カーポート下の明るさを確保したい場合は、スチール折板にポリカーボネートを部分的に組み合わせる方法もあります。
注意したいのは、同じ地域でもより風が強く吹く場所があることです。例えば大きな道路や空き地に面している角地や海沿い、山の上などは風が強く吹きますので、強度は余裕を持って選んでおきましょう。
積雪に強いカーポート選び方。降る雪の質によって重さが変わることにも注意
雪国では、雪に強い構造のカーポートを選び、積もったら速やかに雪下ろしをするなど、積雪対策がしっかり行われています。しかしあまり雪が降らない地域では、これまで雪への対策はあまり考えられてきませんでした。
カーポートは取り付けたら10年以上は使用するもの。たとえ雪がそれほど降らない地域であっても、雪にも強いタイプを選んでおくと、いざという時も安心して暮らせます。
カーポートには、屋根に載せられる雪の量を目安にした「耐荷重性能」が表示されています。これもカタログに書いてありますので、確認しましょう。
こちらは積雪50㎝地域向けのカーポート「アリュース ワン 1500タイプ」です。重さに耐えるためには、材質や構造などの条件がありますが、やはり足の数が多い方が積雪に強くなります。片持ちタイプの場合は、サポート材などオプションを付けることで、基本性能をアップさせることができます。
積雪量が多い地域では、より多くの積雪に耐えられるカーポートが必要です。たとえば毎年の積雪が50cmを超える地域では、「エフルージュ ワン 100」「エフルージュ ツイン 100」をおすすめします。
注意したいのが、雪の重量は状態により大きく変わるところです。雪は積もるにつれて圧縮され重くなり、また水を含んでいると更に重くなります。特に春先は雨が降ることで更に重量が増し、時には新雪の3倍の重さになることもあります。
カーポートの積雪対策では、雪の重さに耐えられる耐荷重性能が高いカーポートを選び、積もったら早めに雪下ろしをしましょう。その際、ハシゴなどを使用するのは危険ですから、下から安全に雪下ろしができるよう、雪下ろし棒などを準備しておくといいでしょう。
これからの暮らしの安全と安心のために、カーポート選びの際には、台風や積雪に対する性能にもぜひ注目してみてください。
著者プロフィール
Yuu(尾間紫)
一級建築士/インテリアプランナー/インテリアコーディネーター/マンションリフォームマネジャー
長年リフォーム業界の第一線で、数多くの住宅リフォームの相談、プラン設計、工事に携わってきた経験から、本当に価値あるリフォームについて皆さまにお話します。過去を繕うものではなく、未来の暮らしを創る「リライフのリフォーム」を提唱。実践的なリフォームのノウハウを、テレビや雑誌、新聞連載、講演などを通して発信中です。著書に『リフォームはこうしてやりなさい(ダイヤモンド社)』など。Webサイト「リフォームのホント・裏話」(http://www.ne.jp/asahi/net/rehome/)でリフォームの実践的なノウハウを公開中