住み始める前には気付かなかったけれど、生活していく中で使い勝手や居心地の悪さが気になってくる事はよくあります。道路や隣地からの視線も、住んでから気づくことが多いです。外から部屋の中が丸見えで、カーテンを開けることができないという話もよく聞きます。今よりも心地よく生活できる住まいを求めるなら、目隠しフェンスを取り付けるのも解決方法のひとつです。完成している現状の住まいに、後付けで目隠しを取り付けるには注意点があります。どんな目隠しの種類があるのか、何を選べばいいのかと合わせてご紹介していきます。
1.後付け目隠しが効果を発揮する例
他人の視線が気になるのは、道路を歩く人から室内が見えるシュチュエーションです。不特定多数の人が歩く道路から丸見えだと、カーテンや雨戸を閉めてプライバシーを確保したくなります。こうなると、せっかく窓があるのに、無いのと同じで明るさも空気の流れも期待できません。
カーテンや雨戸をいつも閉めている家は、住宅街でもよく見る光景です。多くのパターンは敷地の南側に道路があり庭が面している場合。南の庭に出るためや室内採光を確保するための掃き出し窓が道路と向かい合うことになります。この状況は目隠しフェンスを設置することが状況改善に効果的です。
隣地からの視線を遮るために、掃き出し窓の前に目隠しフェンスを設けることもあります。こちらは不特定多数の視線というわけではないのですが、家の中や庭でリラックスして過ごすために必要と感じることが多い場所です。
目隠しフェンスが効果を発揮する、もうひとつの場所が玄関周りです。道路からすぐ近くに玄関がある家は、利便性の高い地域でよく見られます。玄関を開けると、道を歩いている人とすぐに視線が合うことも。玄関扉を開けるときに覗き窓から、目の前の道に誰もいないことを確認することもあるのではないでしょうか。視線が合うだけでなく、玄関扉を通して家の中が丸見えになるという問題もあります。季節によっては玄関を開放して、家の中に風を通したいこともあるでしょう。
これらも目隠しフェンスで改善することができます。
2.後付けできる目隠しフェンスの種類
目隠しフェンスのデザインにはアルミ調のものと木調のものがあり、建物のイメージや予算に合わせて選ぶことができます。面積が大きく建物外観のイメージを大きく左右するので、しっかり検討することをお勧めします。ここでは2つのタイプの目隠しフェンス施工例を紹介します。
2-1 コンクリートブロック+フェンスで目隠しする
コンクリートブロックを数段、積んだ上に目隠しフェンスを施工するタイプです。道路と敷地に高低差がある場合は土留めとしてブロック積みが必要になり、この方法で施工することが多いです。
目隠しフェンスを設けると影ができて少し暗くなるのですが、すりガラス調のフェンスを選べば明るさを確保しながらも目隠しが可能です。
境界ラインを明示する必要がある隣地境界沿いでも、ブロック積み+フェンスの方法が選ばれます。
室内から見ると隣家の視線が気にならなくなり、安心感が生まれることがわかります。
2-2 フェンスだけで目隠しする
コンクリートブロックを使わず、地面からスクリーンフェンスだけで目隠しをすることも可能です。この場合ブロック積み+フェンスの施工と違って、目隠しフェンスひとつの素材で下から上まで繋がるので、デザイン的にスッキリと見せることができます。
写真のように道路沿いに施工して足元に植栽を植えると、とても雰囲気が良くなります。隣地境界では境界明示用のブロック積みを、境界沿いに設けた前にスクリーンフェンスを施工します。下部はブロックとフェンスが重なるので、その分施工スペースも必要になるということです。
玄関前の目隠しはスクリーンフェンスがおすすめです。玄関前だけを目隠しする場合、設ける距離が短くなりブロック+フェンスにすると、視覚的に少しゴチャつき感が出てしまいます。
3.既存のブロック塀に目隠しフェンスを付け足したい
敷地境界沿いにコンクリートブロック製の塀が設けられていたりコンクリートブロックが2〜3段積まれた上にメッシュフェンスが設置されていたりと、既存物が存在する場合は、それを活用して目隠しフェンスを付け足したいと考える人も多いです。しかし既存のブロック積みは、現状の高さを支えるために必要な地中基礎の上に施工されています。ブロック積みの上に目隠しフェンスを付け足すと風当たりが強くなり横からかかる力が大きくなるので、それを支えるだけの基礎が必要。既存の基礎のままだと構造的に強度不足になってしまうという事です。既存ブロック積みを活用したい場合は施工会社に状況確認を依頼し、必ず安全を確保できる施工を提案してもらってください。
著者プロフィール
冨田ちなみ Gokansha(ゴカンシャ)
個人住宅の庭・外構や店舗のエントランスガーデンなど、あなたのライフスタイルに調和する外空間のデザインするGokansha(ゴカンシャ)代表。二級建築士、インテリアコーディネーター、二級造園施工管理技士、福祉住環境コーディネーター、園芸療法リーダー二級、ハーブコーディネーターなど様々な資格を持ち、建築士でもあるため住宅目線・エクステリア目線・ガーデン目線、それぞれの記事を発信いたします。E&Gアカデミー講師。