庭にドッグランを作ろう!フェンスや設備選びのコツと施工事例

庭にドッグランを作ろう!フェンスや設備選びのコツと施工事例

わが家の庭にドッグランを作って、愛犬と楽しく暮らしませんか?狭い庭でも快適なドッグランが作れます。上手に作るポイントは、安全、健康、衛生面に注意をすること。今回はリフォームでドッグランを作った施工例とフェンスや設備選びのコツ、庭で放し飼いをする際の注意点をご紹介します。

愛犬を庭に安心して放せるドッグランを作ろう

庭にドッグランを作ろう!フェンスや設備選びのコツと施工事例

犬にとって走ることは、健康を維持し、ストレスを溜めないためにとても大切なこと。ドッグランがあれば、思い切り走り回ることができるようになります。

犬は平行移動、猫は上下移動をすることでストレスを解消すると言われています。犬にとって走ることは、ストレスを溜め込むことなく、また健康を維持するためにとても大切なこと。わが家の庭にドッグランがあれば、いつでも元気に楽しく走り回ることができるようになります。

ただしドッグラン内では犬は放し飼いになります。自分の家の庭といえども安全に配慮をし、また犬の健康や衛生面にも気を配った計画が必要です。

それでは狭くても作れるドッグランのアイデアや実際の施工例、脱走防止のポイント、フェンスの選び方、犬の健康を維持するために準備しておきたい設備をご紹介します。

回遊タイプなら狭い庭でもドッグランは作れる

ドッグランというと、広大な敷地をフェンスで囲って作るイメージがありますが、狭い庭でもプランの工夫で快適なドッグランを作ることができます。

例えば建物の周囲を走る「回遊タイプ」なら、まとまったスペースが無くても家の周囲を思いきり走り回ることができるドッグランになります。

建物の周囲にある細い通路のことを建築用語で「犬走り」と呼んでいます。犬が通りぬけるような細い通路という意味で、家の周囲を回遊するように計画をすれば、まさに犬走りドッグランになります。

庭にドッグランを作ろう!フェンスや設備選びのコツと施工事例

<リフォーム前>
オープン外構で敷地が植栽で囲われていたため、これまで犬を庭に放すことができませんでした。

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<リフォーム後>
敷地全体をブロック塀やリレーリア フレーム、スクリーン、フェンス、門扉、強化ガラスで囲ってドッグランに。安心して庭に犬を放すことができるようになりました
(設計施工:株式会社little bare garden)

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<リフォーム後>
交通の見通しをよくするためにブロック塀を作りたくない部分には、リレーリア フレームやスクリーンと強化ガラスを組み合わせ、視界をよくしながら犬の脱走防止対策をしています
(設計施工:株式会社little bare garden)

こちらの写真は、庭のリフォームで愛犬が家の周囲を自由に走り回ることができるドッグランにした施工例です。

リフォーム前は、植栽で敷地を囲っていたため、庭に犬を放すことができない状況にありました。またお手入れにもかなりの手間が掛かっていました。

そこで敷地全体をフェンスや門扉、強化ガラスなどで囲い、地盤面はお手入れが楽で清潔を保ちやすいタイル張りにリフォーム。安心して犬を遊ばせることができるドッグランになりました。

敷地のコーナー部分は、通行する車のため見通しをよくしておきたいということで、ブロック塀や目隠しフェンスは取り付けず、YKK APのリレーリア フレームやスクリーンと強化ガラスを組み合わせることで視界を確保しつつ、犬の脱走防止対策がされています。

ドッグランというと、安全性を高めるために無機質なフェンスでぐるりと囲むイメージがありますが、ブロック、天然石積み、リレーリアフレームやスクリーン、強化ガラス、そして植栽を重ね合わせてレイアウトすることで、安全性を高めながらナチュラル感のある洗練された外構デザインになっています。

庭にドッグランを作ろう!フェンスや設備選びのコツと施工事例

<リフォーム後>
様々なテイストのアイテムを重ね合わせるようにレイアウト。犬の安全性を確保しながらデザイン性の高い外構に仕上がっています
(設計施工:株式会社little bare garden)

シンボルツリーを活かしたドッグランのアイデアも

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庭の中心にシンボルツリーを植えて、その周囲を回遊するドッグランのアイデアもあります。

回遊タイプのドッグランは、シンボルツリーなど、樹木や花壇を中心にして計画する方法もあります。

犬は追いかけっこをするのが大好きです。多頭飼いをしている家で、シンボルツリーのあるドッグランを作ったところ、周囲をぐるぐる回って追いかけっこをしたり、休む時は木陰にいたりなど、木のそばで過ごす時間が増えたケースもありました。

回遊タイプならそれほど広い面積は必要ありません。お勧めはリビングから見えるよく見える位置に計画をすることです。安全の確認がしやすく、遊び疲れて木陰でくつろいでいる愛犬の姿を見るのも飼い主にとって楽しいひと時になることでしょう。

人と犬の安全を守るフェンス選びと取り付け方

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先ほどの施工例の裏庭部分です。基礎の上にYKK APのスチールのメッシュフェンス「イーネットフェンス」を取り付けています。これなら穴掘りによる脱走が防げます。床はコンクリートと芝の組み合わせ
(設計施工:株式会社little bare garden)

庭にドッグランを作る際に注意をしたいのが、人も犬も安全であること。特にポイントとなるのがフェンスの選び方取り付け方です。

まずは犬がすり抜けて敷地外に出ないように、フェンスのスキマと広さに注意をしましょう。犬は大きく見えても、小さなスキマから無理やり出てしまうことがあるもの。スキマの小さいタイプのフェンスを選ぶのはもちろん、取り付けの際にはフェンスの下に大きなスキマができないように注意をしましょう。

フェンス選びの際には高さにも注意が必要です。小型犬でも1m以上のジャンプをすることがあります。犬種に合わせ、少し高めを選んでおくと安心です。

また通行人や近隣の人と、犬ができるだけ触れないようにしておくことも大切です。フェンスのスキマから犬の顔が出てしまうと、思わず噛んでしまったり、逆にいたずらをされたりといった恐れもあります。もしものことを考え、敷地外にいる人と犬が近づかないようしっかりとフェンスで覆いましょう。

ドッグランにあると便利な設備

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ドッグランに水場は必須です。

ドッグランにあると便利な設備をご紹介しましょう。人も犬も快適なドッグランにするポイントは犬の健康を守り、衛生的な環境を維持しやすくしておくことにあります。

まずは水場です。いつでも新鮮な水が飲めるよう、また掃除をしやすいように、ドッグランのそばには忘れずに水栓を取り付けておきましょう。思い切り遊んだ後は、足も汚れています。足洗いがしやすいよう、水場ではお湯も出るようにしておくと、冬でも温かく足を洗うことができます。

夏の暑さ対策も必須です。犬は地面に近い位置にいるため、暑さに弱くなっています。涼しく過ごせる場所を準備しておきましょう。夏の暑さを防ぐポイントは太陽からの強い日射熱を遮ることにあります。葉が茂る木を植えたり、日よけを取り付けたりして、日陰を作ってあげましょう。

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よしずやスダレ、緑のカーテンをスマートに設置できるバーを使えば、簡単に日陰が作れます。夏の強い日射熱を遮るので室内を涼しくする効果もあります(グリーンバー/YKK AP)

庭にドッグランを作ろう!フェンスや設備選びのコツと施工事例

ロールスクリーンタイプのアウターシェードとテラスを組み合わせて。アウトドアリビングで愛犬と一緒に過ごすのもいいですね(アウターシェード/YKK AP)

トイレスペースも忘れずに準備をしておきましょう。あちこちにしてしまえば掃除が大変ですから、決められた位置でするように習慣付けをしておくことをおすすめします。トイレスペースは水場のそばに作っておくと、すぐに掃除ができて便利です。

ドッグランの床材選びのコツ

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庭の一部をフェンスで囲ってドッグランを作るリフォームをした施工例。ルシアス門扉とルシアスフェンスの組み合わせで、安全性が高く、明るくスタイリッシュな印象に。床はタイルデッキと人工芝の組み合わせでメンテナンスが楽にできるようになっています
(YKK AP エクステリア スタイル大賞2021年リフォーム・リノベーション部門ブロンズスタイル賞/設計施工:センスオブリゾート 株式会社 COLOR GARDEN

ドッグランの床材には、芝生、人工芝、ドッグラン用チップ、タイル、ウッドデッキなどがあり、それぞれにメリットがあります。

犬にとっては土のままでも問題はありませんが、泥だらけになってしまうので、犬の管理面を考えると、衛生的に維持がしやすい床材を選ぶのがお勧めです。

選ぶポイントは、犬が健康的に快適に過ごしながら、メンテナンスが楽にできる床材であることです。

天然の芝は暑い夏でも蓄熱しにくく、葉の蒸散作用によって、比較的涼しい環境を作ることができます。ただし雑草の処理など手入れに手間が掛かり、おしっこが掛かるとそこだけ茶色く枯れてしまうため注意が必要です。

手入れを楽にしたい場合は、日よけを取り付けたところだけに天然の芝を植え、夏の避暑スペースにするアイデアもあります。

人工芝は手入れが楽で、美しさが長持ちする床材です。ただし糞などが付いてしまうと臭いの原因になってしまうこともありますので、汚れたら水でじゃぶじゃぶと流せるよう水はけよくしておきましょう。

ウッドチップは天然の木を砕いて加工したもので、ケガをしにくい形状になったドッグラン用があります。ただし品質や使用環境によっては腐食や蟻害に合う可能性がありますので、高品質な物を選び、水はけのよい場所に敷きましょう。

タイルは滑りにくい屋外用を使用します。水で流せばきれいに掃除ができるので衛生的で、美しさが長持ちするのもメリットです。

ウッドデッキはささくれができないリウッドデッキがお勧めです。リウッドデッキは木粉と樹脂を主原料としたデッキ材を使用しているのでメンテナンスが楽で、デッキの間のスキマが小さいので足をはさんでしまう心配が少なくて済みます。

ただし人工物は夏の直射日光で蓄熱をしやすいので、表面温度が高くなり過ぎ、裸足で走り回る犬の足の裏が火傷をしてしまうこともあります。日よけや避暑スペースの確保は忘れずに行い、また真夏の昼間は表に出さない、スプリンクラーなどの散水設備を設置するなどの検討をするといいでしょう。

庭で放し飼いをするなら注意しておきたいこと

庭にドッグランを作ろう!フェンスや設備選びのコツと施工事例

人通りが多い場合は、通行人が見えにくいフェンスを選んでおくことで、犬が安心できるようになることも(ルシアススクリーンフェンス/YKK AP)

ドッグランは犬を放す場所です。わが家の庭といえども犬が放し飼い状態になるのですから、人も犬も安全であるようしっかり対策をしておきましょう。

来客時に門を開けたら犬が飛び出してしまったということが無いよう、出入りの際には充分注意しましょう。また、日頃は門扉には必ず鍵をかけておくことを忘れずに。これは防犯にも役立ちます。

犬が庭で過ごすようになったら、通行人に吠えるようになってしまったケースもあります。吠えるのにはいろいろな理由がありますが、外を通る人が気になる、怖いといったこともあります。通行人が見えにくい形状のフェンスを選ぶなどの工夫をしてみてください。

犬も人も安全で快適なドッグランなら、毎日を更に楽しく過ごせます。下記に、お散歩後の犬の足洗いを楽にする住まいづくりのアイデアをご紹介していますので、ご覧になってみてくださいね。

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著者プロフィール

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Yuu(尾間紫)
一級建築士/インテリアプランナー/インテリアコーディネーター/マンションリフォームマネジャー

長年リフォーム業界の第一線で、数多くの住宅リフォームの相談、プラン設計、工事に携わってきた経験から、本当に価値あるリフォームについて皆さまにお話します。過去を繕うものではなく、未来の暮らしを創る「リライフのリフォーム」を提唱。実践的なリフォームのノウハウを、テレビや雑誌、新聞連載、講演などを通して発信中です。著書に『リフォームはこうしてやりなさい(ダイヤモンド社)』など。Webサイト「リフォームのホント・裏話」(http://www.ne.jp/asahi/net/rehome/)でリフォームの実践的なノウハウを公開中

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