家で過ごす時間を大切にする人が増え、庭をアウトドアリビングにして楽しむ暮らしが広がっています。でも、せっかく庭を整えたのに「思ったより落ち着かない」「結局あまり庭に出ていない」という声も。そこで今回は、YKK AP エクステリア スタイル大賞2024の受賞作品から、本当に使える快適なアウトドアリビングにする5つのコツをご紹介。庭を、よりくつろげる空間にするポイントを施工事例とともに解説します。
目次
家の中から庭へスムーズに!リウッドデッキでつながるアウトドアリビング

室内の床の高さに合わせてリウッドデッキを設置。内から外へ広がりが生まれ、出入りもスムーズに(YKK AP エクステリア スタイル大賞2024年ガーデン部門(庭まわり)ベストスタイル賞 採用商品:ルシアス スクリーンフェンス/ルシアス フェンス/リウッドデッキ 200 EG/積水ハウス 株式会社 名古屋西支店)https://www.sekisuihouse.co.jp/
庭でアウトドアリビングを楽しみたいのに、実はあまり庭には出ていない…… そんな声は意外と多いもの。なぜそうなってしまうのでしょうか。
その理由のひとつは、庭に出るまでの動線が不便なこと。家の中は、毎日を快適に暮らせるよう、どこへ行くにもスムーズに移動ができるように設計されています。でも庭に出ようとすると、大きな段差があったり、動線が途切れていたり。そのちょっとしたハードルで、庭に出るのをつい面倒に感じてしまうのです。
段差は、高齢者や幼児にとっては危険な場合もあります。また庭でアウトドアリビングを楽しもうと、飲み物や食べ物を持って出るのもひと苦労。家の中から庭に出ること自体が、小さな不便で「出にくい場所」になっていることが少なくありません。

リウッドデッキの周囲に植栽をレイアウト。木陰が気持ちいいアウトドアリビングに(YKK AP エクステリア スタイル大賞2024年ガーデン部門(庭まわり)ベストスタイル賞 採用商品:リウッドデッキ 200/ルシアス デッキフェンス/有限会社 リーブス) https://www.leaves-since1998.co.jp/
そこで、庭を本当に使える快適なアウトドアリビングにする5つのコツの1つ目は、まずはこの段差を解消して、庭に出やすくしましょう。そのために大いに役立ってくれるのが「リウッドデッキ」です。
「リウッドデッキ」とは、デザイン性と機能性を兼ね備えた人工木のウッドデッキ。メンテナンスがラクで、美しさが長持ちするのが特徴です。室内の床と高さを揃えて設置すれば、心理的・物理的なハードルがなくなり、庭がリビングの延長として自然に使える空間になります。
注)リウッドは再生木・人工木・樹脂木などとも呼ばれ、YKK APでは「リウッド」と表記、商品名は「リウッドデッキ」です。

室内の床の高さに合わせて段差なく庭に出られるようになれば、庭活用がしやすくなります(YKK AP エクステリア スタイル大賞2024年ガーデン部門(庭まわり)ベストスタイル賞 採用商品:エフルージュ シリーズ/リウッドデッキ 200/積水ハウス 株式会社 東京北シャーメゾン支店)
https://www.sekisuihouse.com/liaison/region/lia02/tokyo/shamaison/kita/
実際に、段差を解消したことで庭に出る頻度が増えたご家庭は多く、休日には庭で朝食を楽しむのが習慣になったり、一緒に暮らす高齢の家族が朝日を浴びて体操をするようになったり。段差や出入りの不便さを解消するだけで、「庭に出る」ことが自然な日常の一部に変わります。
視線をさえぎる!目隠しでプライバシーを確保して思い切りくつろげる庭に
<リフォーム前>

<リフォーム後>

ルシアス スクリーンフェンスでしっかり目隠し。室内からの景色も美しく(YKK AP エクステリア スタイル大賞2024年エクステリアリフォーム部門ベストスタイル賞 採用商品:ルシアス スクリーンフェンス/ ANFORMAL 株式会社)
庭でアウトドアリビングを楽しむ際に、意外と多い悩みが「外部からの視線」です。せっかく庭を整えても、近隣や道路からの視線が気になり、リラックスできない、くつろげないと感じる方が少なくありません。
中には、庭に出るために、わざわざ着替えやメイクをしているという方も。笑い話のようですが、家の中でリラックスできるのは、プライバシーがしっかり守られているから。庭も、プライバシーが確保されなければ、アウトドアリビングとして使いこなすのが難しくなります。
<リフォーム前>

<リフォーム後>

気持ちのいいアウトドアリビングに。しっかり目隠し対策がされているので、心置きなくくつろげます(YKK AP エクステリア スタイル大賞2024年エクステリアリフォーム部門ベストスタイル賞 採用商品:ルシアス スクリーンフェンス/ 株式会社 グリーングローブ)https://e-exterior.net/
そこで、本当に使える快適なアウトドアリビングにする5つのコツの2つ目は、庭空間のプライバシーを守るための目隠しの工夫をしておくことです。
植栽や塀、フェンスなどを使って、外部からの視線をしっかり遮れば、落ち着いた空間になります。その際には、単に視線を遮るだけでなく、庭の景色や風通しなども意識しましょう。
手軽なのはフェンスの活用です。目隠しフェンスには様々な種類があり、高さや透け感の工夫で、圧迫感を抑えつつ周囲からの視線はしっかり遮り、風通しのコントロールも可能です。

カーポートと庭の間に目隠しフェンスを設置したプラン。道路からの視線をしっかりと遮ってくれます(YKK AP エクステリア スタイル大賞2024年ファサード部門(門まわり・車庫まわり)ベストスタイル賞 採用商品:ジーポートPro シリーズ/ 新産住拓 株式会社)
目隠しフェンスを選ぶ際には、デザインにもこだわりましょう。室内からの眺めは日々の暮らしの景色になり、外部からの見え方は外観デザインの印象を大きく左右します。
庭にウッドデッキを設置したお住まいでは、実際に使ってみてから目隠しの重要性に気付き、後から目隠しフェンスの設置リフォームをするケースも少なくありません。
これまで落ち着かなかった庭空間も、目隠し対策をしっかりしておけば、安心して庭に出られるようになり、庭時間が、より一層充実することでしょう。
暑い日も快適に!日よけで暑さや日焼けを気にせずアウトドアライフを楽しむ
<リフォーム前>

<リフォーム後>

カーポート「エフルージュ シリーズ」を使って、テラス空間を実現。屋根葺き材は紫外線をほぼ100%カットし、熱線遮断タイプもあります。屋根にスキマを開けているのは、植栽に雨が当たるように。晴れの日も雨の日もゆっくり過ごせるアウトドアリビングに(YKK AP エクステリア スタイル大賞2024年エクステリアリフォーム部門 シルバースタイル賞 採用商品:ルシアス スクリーンフェンス/エフルージュ シリーズ/ 株式会社 グランドワークスオールグリーン 名古屋本店)https://all-green.biz/
庭でアウトドアリビングを楽しむ際に、気になるのが暑さと紫外線です。そのせいで長時間、庭にいることができず、思ったほど活用できていないという声も。
そこで、本当に使える快適なアウトドアリビングにする5つのコツの3つ目は、「日よけの工夫」です。夏の暑さの主な原因となっている日射熱や、日焼けの原因となる紫外線をしっかりカットすれば、庭が格段に快適になります。

パーツを組み合わせることで外構をトータルでデザインできる「リレーリアシリーズ」を使い、ガゼボのような大型の屋根空間を実現。四季を通じて快適なアウトドアリビングになりました(YKK AP エクステリア スタイル大賞2024年ガーデン部門(庭まわり)シルバースタイル賞 採用商品:リレーリア フロントフレーム/リレーリア ルーフフレーム/ルシアス 歩行補助手すり/ルシアス フェンスLite/ WITHDOM Group 株式会社)https://withdom-architect.jp/
日よけにはシェードやテラス屋根、オーニングなどがあります。リフォームで取り付ける場合は、設置が比較的簡単な製品を選ぶと安心です。例えば、テラス屋根には、外壁に固定が不要な独立型もあり、躯体構造を気にしないで後付けで設置ができます。
おすすめは夏の日射熱と紫外線のカットに加えて、雨除けも兼ねられるタイプ。いきなりの雨でも慌てることなく、四季を通じて快適なアウトドアリビングになります。
夜も庭を満喫!ガーデン照明で夜の庭時間を充実させる

庭を照明でライトアップすればリゾート感のある非日常空間に。夜になるのが楽しみになりそうです(YKK AP エクステリア スタイル大賞2024年ガーデン部門(庭まわり)ゴールドスタイル賞 採用商品:リレーリア フロントフレーム/リレーリア ルーフフレーム/リレーリア フェンス/低電圧照明「VIEW UP」/カスタマイズパーツ/汎用形材・部品/エルビュート ハンドレール/ 有限会社 和建 https://kazuken-suzuka.jp/
普段は仕事で忙しく、庭に出ることができるのは休日の昼間だけという方も少なくないことでしょう。でも、せっかくのアウトドアリビング、使うのがそれだけではもったいない!
そこで、本当に使える快適なアウトドアリビングにする5つのコツの4つ目は、「ガーデン照明」で、夜の庭時間を充実させることです。
ガーデン照明には、テラス屋根に取り付けるダウンライトや、植栽をライトアップするスポットライト、足元を照らすスタンドライトなどがあります。コツはあまり明るすぎず、要所をポイント的に照らすこと。陰影のコントラストや植栽の影が、わが家の庭をより一層美しく魅せてくれます。

ダウンライトやスポット、スタンドライトを組み合わせて庭全体を美しくライトアップ。豊かな夜時間が過ごせます。テラス屋根はジーポートPro シリーズ(YKK AP エクステリア スタイル大賞2024年ガーデン部門(庭まわり)ベストスタイル賞 採用商品:ジーポートPro シリーズ/ ラーバンテック)
ガーデン照明でライトアップされた庭は、とてもロマンチック。仕事が終わったら、わが家の庭で夜の時間を楽しむのも乙なものです。ガーデン照明の工夫で、昼だけでなく夜も思い切り楽しめるアウトドアリビングになります。
<昼間>

<夜間:ライトアップ>

夜だからこその庭の楽しみ方があります。テラス屋根はリレーリア ルーフフレーム(YKK AP エクステリア スタイル大賞2024年展示場・モデルハウス部門 ベストスタイル賞 採用商品:リレーリア ルーフフレーム/ 株式会社 Quhan)
ゆったり過ごす!居心地のいい家具で庭での時間を贅沢に

座り心地のいい椅子があれば、時間を忘れてアウトドアリビングが楽しめます。リウッドデッキ、屋根、目隠し、ライトアップなど様々な手法を駆使して快適なアウトドアリビングに(YKK AP エクステリア スタイル大賞2024年ガーデン部門(庭まわり)ブロンズスタイル賞 採用商品:リレーリア フロントフレーム/リレーリア ルーフフレーム/シャローネ 門扉/リウッドデッキ 200 EG/低電圧照明「VIEW UP」/カスタマイズパーツ/汎用形材・部品/株式会社 シノザキ)
庭でアウトドアリビングを楽しむ際に、もうひとつ大切なのが「家具選び」です。これまでのアウトドア用家具は、紫外線や雨風に強い反面、座り心地やデザインが今ひとつで、長くくつろぐにはちょっと物足りないものが少なくありませんでした。
そこで、本当に使える快適なアウトドアリビングにする5つのコツの最後は、「居心地のいい家具を用意しておくこと」です。

庭もインテリアのように家具のデザインにもこだわって豊かな空間に(YKK AP エクステリア スタイル大賞2024年戸建分譲街並み部門 ブロンズスタイル賞 採用商品:リレーリア フロントフレーム/ルシアス 宅配ポスト/プリュード パーティションフレームユニット/ルシアス フェンス/リウッドデッキ 200/カスタマイズパーツ/汎用形材・部品/ルシアス スクリーン/ポラスタウン開発 株式会社)
最近は、庭活用が進み、アウトドアリビングが人気になったことで、屋外用の家具が大きく進化。室内用の家具と変わらない質感やデザインのものが増え、海外の高級家具ブランドでも、アウトドア用家具の新作が次々と発表されています。
椅子やソファの座り心地やテーブルの使い勝手、素材感、デザインにこだわることで、庭で過ごす時間がより贅沢になり、長時間くつろげる空間に変わります。
インテリアでもソファ選びはリビングの快適性を左右する大きな要素。アウトドアリビングでも、ぜひ家具選びにこだわって、本当に快適な空間づくりを目指しましょう。
庭を本当に使えるアウトドアリビングにするコツは、室内の生活空間とスムーズにつなげること、家の中と同様にプライバシーを確保し、暑さや紫外線をカットして快適にすること。そして、ガーデン照明で夜も楽しく、また家具にこだわってより心地いい時間を過ごせるようにしておくことにあります。5つのコツで、庭での時間を更に楽しいものにしてくださいね。
リウッドデッキの上手な色選びのコツについては下記でご紹介していますので、ご参考にしてみてくださいね。
著者プロフィール

Yuu(尾間紫)
一級建築士/インテリアプランナー/インテリアコーディネーター/マンションリフォームマネジャー
長年リフォーム業界の第一線で、数多くの住宅リフォームの相談、プラン設計、工事に携わってきた経験から、本当に価値あるリフォームについて皆さまにお話します。過去を繕うものではなく、未来の暮らしを創る「リライフのリフォーム」を提唱。実践的なリフォームのノウハウを、テレビや雑誌、新聞連載、講演などを通して発信中です。著書に『リフォームはこうしてやりなさい(ダイヤモンド社)』など。Webサイト「リフォームのホント・裏話」(http://www.ne.jp/asahi/net/rehome/)でリフォームの実践的なノウハウを公開中