オープン外構のプライバシー対策。目隠しフェンスを後付けで効果的に設置する方法

オープン外構のプライバシー対策。目隠しフェンスを後付けで効果的に設置する方法
YKK AP 「リレーリア」

建売住宅などで多いオープン外構。開放感があって敷地が広く感じられ、建物の外観が際立つ、死角が少なく空き巣に狙われにくい、構造物が少ない分コストを抑えられるなどのメリットもあります。

一方で、道行く人の視線が気になってカーテンを開けてくつろぐことができない、玄関ドアを開けると奥まで見通せてしまうなどの悩みがよく聞かれます。

そういった問題の解消に役立つのが、場所をあまりとらずに視線を遮ることができる目隠しフェンスです。

デザイン、機能性などによってバリエーションが多く、使い方次第で目隠しするだけでなく住まいの印象をさらにアップすることも可能です。

本記事では、後付けする場合はどのような点に注意すればよいのか、オープン外構のよさを損なわず効果的に目隠しフェンスを設置する方法についてご紹介します。

1.目隠しフェンスによるプライバシー対策のポイント

プライバシーを守るために、単純に隠したい場所に高い目隠しフェンスを取付ければ簡単かもしれませんが、背の高いフェンスは存在感があるものだけに、とってつけたようなバランスの悪い仕上がりになったり、悪く思われる目立ち方に見られそうで、かえってそこに視線を集めてしまう可能性もあります。

後悔しないためにはどのような点に注意して計画すればよいのでしょうか。

① 目隠しフェンスを設置する目的をはっきりさせる

まずは日々の生活の中でどこからの視線が気になっているのか、何を隠したいのか、どの程度隠したいのか、また、視線と隠したい場所との位置関係、現在のライフスタイルなどを改めて確認してみましょう。

現状と解消したい問題点を明らかにすることで、目隠しフェンスのタイプや設置する位置、必要な高さや範囲など、具体的な計画が立てやすくなります。

可能なら、気になる部分を敷地外や室内から見たり、スケールを使って必要な高さや範囲を確かめてみるのもよいでしょう。

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② 外観との調和

ファサードは住まいのイメージを左右する重要な部分です。

単に目隠しの機能だけで考えるのではなく、外観とのバランスを考慮する必要があります。

建物や既存の外構の色調、素材感、テイストに合わせる、フレームなどのパーツと組み合わせて既存の外構や建物とつながりを持たせるなど目隠しフェンスが外観の一部として違和感なくなじむような計画にしましょう。

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YKK AP 「ルシアススクリーンフェンス」

③ 閉鎖的になりすぎないようにする

あまりにも背が高く完全に視界を遮るようなフェンスで広範囲を囲んでしまうと、圧迫感を感じ、オープン外構のよさである開放感が損なわれます。

また、日当たりや風通しが悪くなる、侵入者が潜む場所ができて防犯上よくないなどの問題が生じる可能性もあります。

目隠しという目的上、ある程度は仕方がありませんが、光や風の通る部分を設ける、色や素材感に配慮する、植栽をうまく取り入れるなど、圧迫感を和らげる工夫をしましょう。

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④ 動線を考慮する

動線がスムーズでなければ外構の使い勝手が悪くなり、快適な暮らしとは言えなくなります。

後付けの場合は、目隠しフェンスが現在の生活動線を遮らないように配置を考える必要があります。

また、オープン外構で道路との高低差が少ないような敷地では、どこからでも敷地内へのアクセスがしやすい場合が多いのですが、フェンスやフレーム、スリット柱などの設置のしかたによって境界や出入り口をさりげなく示したり、玄関まで自然に誘導するような形にすることも可能です。

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⑤ 施工の安全性

目隠しフェンスは背の高いものや目の詰まったものになることが多く、風圧を受けやすくなるため、しっかりした柱と基礎で固定しておく必要があります。

また、後付けの場合は既存の土間や構造物の解体が必要になることも考えられます。

DIYで簡単にできないかと考えるかもしれませんが、安全のためにエクステリアの専門業者に相談しましょう。

2.目隠しフェンスのタイプ

目隠しフェンスには様々なタイプがあり、視線を完全にカットしたいのか、見え隠れくらいなのかなど目隠しの度合いも変わってきます。

目的や現状に合った目隠しフェンスを選びましょう。

① 隙間なく完全に視線をカットする目隠しフェンス

風の通る隙間がないので、例えば隣地境界で隣家のエアコン室外機の排気を通したくないような場合などに適しています。

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② 通風タイプ

しっかり視線をカットしたい場合、一見隙間がないように見えて風は通すルーバー状のものがよく使われます。

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一方、ボーダーや格子など隙間の空いているものはより風通しがよく、圧迫感の少ない抜け感のある目隠しになります。格子の太さや縦、横、隙間の大きさなどバリエーションが豊富なので、希望する目隠しの度合いや住まいの雰囲気に合わせて選べます。

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③ 採光タイプ

すりガラス調のポリカーボネートパネルなどで明るさに配慮された目隠しフェンスです。

半透明で暗くなりにくく、はっきりは見えないけれど人がいる気配などは感じられます。

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さらに、通風も考慮されたルーバータイプのものもあります。

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3.効果的な目隠し手法

ここからは目隠しフェンスを効果的に取り入れる具体的な手法についてご紹介します。

① 門回りのパーツと組み合わせる

背の高いフェンスは単独で立っているとそれだけが目立ってしまいがちですが、空間の間仕切りとなるフレームや屋根と組み合わせることで外構全体と自然につながり、統一感のあるファサードとなります。

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道路から建物の距離が近いような敷地では、機能門柱と土間だけというようなオープン外構がよくありますが、開放的すぎたり、デザイン的にややさみしさを感じるという声も聞かれます。

そのようなケースでは、下の画像のように門柱とフェンスをフレームでつなげてみてはどうでしょうか。

玄関を軽く目隠ししながら、フレームをゲートのようにして機能門柱と繋がったスタイルにすることで、背の高いフェンスだけが目立つような形になりません。

機能門柱にも存在感を出すことができて、限られたスペースの中でもずいぶんと印象を変えられるのではないかと思います。

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② 格子の角度を利用する

隙間の空いている格子は目隠しには不向きと思われるかもしれませんが、格子の角度によって目隠し効果を高めることができます。

縦格子のフェンスは格子の奥行きを少し長いものにすることで、斜めの位置から見たときに、正面から見たときよりも向こう側が見えづらくなる効果があり、特定の方向からの視線をカットするのに有効です。

同様の効果を利用して、右下の画像のように格子を斜めに配置すると、正面から見たときにも目隠し効果が増します。

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YKK AP 「リレーリアスクリーン」

また、横格子に角度のついたものは、目線の高さによって見え方が変わり、高い位置への視線を遮ることもできます。

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③ 部分的に通風、採光を図る

ウォールなどである程度しっかり目隠しするようなスタイルの場合、部分的にスリットフェンスを使うことで光や風が通る部分ができて、あまりにも閉鎖的になるのを防ぐことができます。

意匠的にも単調さを解消し、変化のあるデザインとなります。

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④ スリット柱で変化のあるデザインに

フェンスではありませんが、連続して並べることでスクリーンフェンスのように見せることができるのがスリット柱です。

1本1本独立しているので、柱のサイズ、高さ、幅、柱と柱の隙間の空き具合を自由に設定できるのが利点。

数本だけ設置してアイストップのように使ったり、高さをランダムにするような、フェンスでは叶えづらい使い方も可能になります。

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YKK AP 「カスタマイズパーツ」

⑤ 植栽を生かす

目隠しフェンスと植栽を組み合わせることで、様々な効果が得られます。

スリット柱や格子のフェンスに中高木を重ねれば、風通しを確保したまま目隠しの効果がさらに増し、目のつまった目隠しフェンスも植栽が加わることでそびえ立つような高さや圧迫感が和らぎます。

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また、目の粗いフェンスにつる性植物を絡ませれば、ナチュラルな緑のスクリーンとなります。

常緑種なら年中密度が濃い目隠しに育てることができますし、落葉種や花が咲くものを選べば四季折々に変化する様子を楽しむことができます。

オープン外構のプライバシー対策。目隠しフェンスを後付けで効果的に設置する方法

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オープン外構のプライバシー対策として、後付けで目隠しフェンスを効果的に設置する方法をご紹介いたしました。

お悩みの解決に役立ちそうなアイディアは見つかったでしょうか。

プライバシー対策を検討する上で、単に必要な部分を隠すことだけでなく、住まいのイメージを損なわず、さらに素敵にみえるように、外回り全体をトータルで考えることが大切です。

目隠しフェンスを上手に取り入れてプライバシーを守り、安心で快適な暮らしを実現しましょう。

 

プライバシー対策に有効なフェンスについて知りたい

目隠しフェンスを含めたエクステリアのトータルコーディネートについて知りたい

 

著者プロフィール

オープン外構のプライバシー対策。目隠しフェンスを後付けで効果的に設置する方法

野中めぐみ 株式会社グリーンテリア
1級造園施工管理技士  福祉住環境コーディネーター2級

1級造園施工管理技士  福祉住環境コーディネーター2級 ハーブ園でガーデナーとして勤務したのち、E&Gアカデミーにて学びエクステリア業界へ。 エクステリア、ガーデンの専門店グリーンテリアに所属し主に設計を担当する他、植物に関するワークショップの開催など庭のある暮らしの楽しさを伝える活動も行う。 エクステリアプランナーとして様々な角度からみなさまの快適で豊かな暮らしにつながる情報をお届けいたします。

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