カーポートを家にくっつけて設置すれば、雨の日も濡れる心配がなく、自転車を置いたり、洗濯物を干したりもできるなど、メリットがたくさんあります。でも一般的なカーポートをそのまま家にくっつけるのは危険です。今回は、カーポートと家のすき間を無くす3つのアイデアをご紹介しましょう。
目次
カーポートが家にくっついているとこんなメリットが!
カーポートで気になるのが、屋根と家の外壁とのすき間です。特に雨の日は「このすき間が無く家にくっついていればもっと便利なのに」と感じたことがある人は多いのではないでしょうか。
カーポートが家にくっついていれば、雨の日の車の乗り降りの際に雨に濡れにくくなりますし、またカーポート下への雨の吹き込みが防ぎやすくなるので、酸性雨から車の塗装を守り、汚れも付きにくくなります。自転車や三輪車、バイクもなど、屋根がある外壁側に寄せて置けば、濡れずに済みます。
リビングの掃き出しや勝手口に接していれば、庇としても機能し、雨の日に窓やドアを開けた時に室内への雨の吹き込みを防いでくれます。
他にも、リビングに接しているならテラスのように使えるので雨の日の子どもの遊び場にしたり、勝手口ならちょっとしたゴミ置き場にしたり。洗濯物干し場としても役立ちます。
このように、カーポートが家にくっついていることによるメリットはたくさんあり、カーポートが更に便利に快適に使えるようになります。
しかし、だからといって、一般的なカーポートの屋根を、家の外壁にくっつけてしまうと、構造上の問題で危険があります。
ただくっつけるだけでは地震や台風、強風時に危険に
多くのカーポートはアルミでできています。家は木造、鉄骨造、コンクリート造などです。構造が異なれば、地震や台風、強風時の際の揺れ方や力の伝わり方もそれぞれ異なります。この異なるもの同士を何の対策もしないで繋いでしまうと、揺れた時につなぎ目が破断したり、構造部が破損したりしてしまう恐れがあるのです。
家を増築する際なども、異なる構造のものを繋ぐ時には、間にエキスパンションジョイントと呼ばれる伸縮性のある継ぎ手をはさみ、そこで構造をいったん分けて、力が伝わらないようにしています。
アルミ製のカーポートは弾力性があり、家に比べると地震や台風、強風時にしなったり揺れたりしやすい性質を持っています。これは建物の揺れ方とは異なるため、一般的なカーポートの屋根を外壁にボルトなどで繋いでしまうと、外壁の破損やカーポートの屋根の破損、柱がゆがむなどの変形を引き起こしてしまいかねません。また外壁のぎりぎりに近付けてカーポートの屋根を設置してしまうと、揺れた時に外壁にぶつかってしまい、やはり外壁やカーポートが破損する恐れがあります。
そこでカーポートの施工上の注意点にも、一般的なカーポートを塀や外壁などに隣接して設置する際は、風のあおりにより商品が接触し思わぬ事故につながる恐れがあること、安全のために十分に間隔を開けること、またみだりに改造や変更はしないようにといったことが記載されています。
カーポートを家にくっつけてすき間をなくすにはどうすればいい?
では、どうすればカーポートを家にくっつけることができるのでしょうか。カーポートと家とのすき間を無くして便利に暮らすためのアイデアをいくつかご紹介します。
1つめは、建物とカーポートをひとつの建物として一体で計画することです。
家の設計段階から同時に計画をする、リフォームなら増築の時のように構造面での検討をしっかり行うことで、構造に不安がない、屋根にすき間の無いカーポートスペースが作れます。周囲を壁で囲むガレージタイプなら、内部を作業スペースなどにも使いやすいでしょう。
2つめは、カーポートの上部に庇を取り付ける方法です。
カーポートの屋根に重ねるように、すき間部分を覆う庇屋根を外壁に取り付けます。ただしこの方向は、雨水がどちらに垂れるのかをよく検討して設置する必要があります。
壁付け専用カーポートなら、手軽に外壁とすき間なく設置ができる
3つめは壁付け専用のカーポートを使う方法です。
こちらは狭小地や変形敷地などに対応した、壁付け専用のカーポートです。手軽に外壁とすき間なく、家にくっつけて設置をすることができるように工夫がされた製品です。
壁付けカーポートは、壁にしっかり固定することで強度を保つ構造になっていて、イメージは大きな庇屋根です。これならすき間無く設置できるので、出入りの際も雨に濡れにくくなるのはもちろん、車をしっかり守り、カーポート下の空間もさまざまに活用しやすくなります。
オプションでサイドパネルを取り付ければ、目隠しとして役立つのはもちろん、雨の吹き込みを防ぐ効果もあり、カーポート内の居住性が更に高まります。
壁付け専用カーポートには、耐積雪性能が高いタイプもあります。お住まいの地域に合わせて選びましょう。
悩みの種だったカーポートと家のすき間。くっつけて設置ができるカーポートを使えば、思うより手軽に解決できます。カーポートを上手に選んで、毎日の暮らしをより便利に快適にお過ごしください。
ちなみに、カーポートは洗濯物干し場としても活用できます。カーポートを使った便利な物干し場を作るアイデアと、注意しておきたいポイントを下記でご紹介していますので、あわせてご覧になってみてください。
著者プロフィール
Yuu(尾間紫)
一級建築士/インテリアプランナー/インテリアコーディネーター/マンションリフォームマネジャー
長年リフォーム業界の第一線で、数多くの住宅リフォームの相談、プラン設計、工事に携わってきた経験から、本当に価値あるリフォームについて皆さまにお話します。過去を繕うものではなく、未来の暮らしを創る「リライフのリフォーム」を提唱。実践的なリフォームのノウハウを、テレビや雑誌、新聞連載、講演などを通して発信中です。著書に『リフォームはこうしてやりなさい(ダイヤモンド社)』など。Webサイト「リフォームのホント・裏話」(http://www.ne.jp/asahi/net/rehome/)でリフォームの実践的なノウハウを公開中