台風によって大きな被害が起こることが多くなってきています。台風の被害を受けやすいもののひとつにカーポートがあります。なかでも、お住いの地域に必要な基準性能を満たしていないカーポートが被害にあっているようです。カーポートが損壊することを防ぐには、あらかじめ強いカーポートを選ぶことはもちろん、どこに設置するか、適切なメンテナンスを行っているかということも重要です。今回は台風に備えたカーポートについて、押さえておきたいポイントをご紹介します。
台風に備えるなら強風と大雨への備えが重要
台風は日本のどの地域にも襲来する可能性がありますから、カーポートを選ぶ際にも、それに備えた視点が必要です。具体的なポイントとしては、強風と大雨の2つに対する耐久度です。
まず強風ですが、対策には3つのポイントがあります。
- 耐風圧強度(下から吹き上げる風の強さ)
- 脚の本数(多いほど良い。片側支持よりも両側支持のほうが丈夫)
- 片側支持の場合はオプションとして、サポート柱が用意されていること
これらを満たすカーポートを選べば、たいていの台風には耐えることができるでしょう。ただし、それだけ選択肢が狭まってしまうことはデメリットに感じられる人もいるかもしれません。
耐風圧強度34 m/秒程度あれば強度としては十分という地域もありますが、普段は風があまり強く吹かなくても、局所的に強い風が吹きやすい場所というものがあります。カーポートを選ぶ際には、地域の施工店に相談することがおすすめです。
大雨への備えとしては次の2つのポイントがあります。
- 雨どいの掃除を簡単に行えること
- サイドパネルの活用は慎重に
雨どいは水があふれることを防ぐ上で重要です。雨どいが詰まっていると、大雨に見舞われた際にカーポートの天井から水があふれてしまうかもしれません。このような事態を避けるために、雨どいの掃除が簡単なカーポートを選ぶのがいいでしょう。
また、サイドパネルは平時には雨を防いでくれますが、台風時には強風を伴っていることが多いので、サイドパネルにかかる負担が増し、場合によっては破損する可能性もあります。サイドパネルは台風に耐えられる強度があるか、施工店とよく相談してみてください。
どこにカーポートを設置するかよく考えて
台風に備えてカーポートを選ぶなら、設置場所にも注意が必要です。
主なポイントは、以下の5点です。
- 崖の上に設置することは避ける
- 強風をまともに受けないよう、向きを工夫する
- 森の近くや崖の下への設置は要注意
- 周囲よりも低い場所や、水はけの悪い場所を避ける
- 屋根の掃除がしやすいよう、脚立を立てやすい位置にカーポートを設置する
崖に接しているような家の場合は、カーポートを崖の上に設置することは避けましょう。崖は下から風が吹き上げやすく、崖の上に風が集まるため、周りと比べてカーポートの損傷が大きくなるおそれがあるからです。屋根ふき材が飛んで建物や人に被害を及ぼしてしまったら大変です。それに、万が一崖が崩れれば、カーポートも落下してしまうことになります。
「強風をまともに受けないような向き」ということですが、カーポートは風が吹き抜けやすい構造になっていて、柱や屋根ふき材は風に直接さらされますから、損傷を防ぐためにはなるべく強風をまともに受けないよう向きを工夫することが大事なのです。地域によって強い風が吹きやすい風向きは異なりますので、地元の方や施工店に相談するのがおすすめです。
森の近くや崖の下なら強風を防げると思ってしまうかもしれませんが、そのような場所でも強風が回り込んでくることがあります。また枝や木などが強風で落下してカーポートにぶつかって損傷を与えることもあります。
また、周囲よりも低い場所にカーポートを設置すると、どうしても水はけが悪くなります。雨が降るたびに水がたまって、車の乗り降りに苦労するかもしれません。極端な場合には大雨で車が水没してしまうこともあります。雨が降った後のことも考えてカーポートを設置しましょう。
また、カーポートの屋根を掃除するときに脚立を立てて行うことが多いので、まわりに脚立を置けるようなスペースをなるべく確保してください。カーポートの屋根の上に乗って掃除することは、落下してけがを負う可能性もありますので、避けてください。
カーポートはメンテナンスのしやすさも重要
台風に負けないカーポートにするなら、日常のお手入れも大切です。以下の2つのポイントを考慮して、あらかじめメンテナンスしやすいカーポートを選ぶのがいいでしょう。
- 雨どいや排水口の掃除がしやすいカーポートを選ぶ
- さびにくい素材でできたカーポートを選ぶ
上でも述べた雨どいや排水口は定期的に掃除して台風に備えましょう。たまった落ち葉やごみ、砂や泥をそのままにしていると雨どいが詰まり、思いもよらない箇所から水が落ちてきたり、屋根から水が噴き出したりすることがあります。
とはいえ、たびたび、脚立に上って掃除するのも大変だと思います。「ゴミ出しエルボ」など掃除しやすい工夫がされたカーポートを選ぶのがおすすめです。
また、カーポートにさびが発生してしまうこともありますので、なるべくアルミなど、さびにくい素材のカーポートを選んでおいたほうがメンテナンスが楽です。特に海に近い地域は塩害を受けやすいので、そうした配慮が必要です。
台風の季節にも安心して過ごせるように、カーポートを選ぶときには、デザインや色ばかりでなく、ぜひ、本記事で紹介した性能にも考慮してください。さらに、できるだけ安全な場所にカーポートを設置し、メンテナンスしやすい製品を選んでみてください。