外構工事や改修工事には大きなお金がかかります。とはいえ下手に節約しようとして、使いにくいものになったり、追加工事が必要になったりするのは避けたいところ。そんなときは、住まいがある自治体が設けている補助金や助成金の活用を検討してみてはいかがでしょう。本記事では補助金・助成金制度の例を紹介しながら、上手な活用法も解説します。
外構工事には、補助金・助成金の積極的な活用がお勧め
補助金・助成金を活用すると、工事費用の負担を軽減することができます。考え方を変えれば、用意した予算よりもワンランク上の内容の工事ができるということでもあります。
たとえばフェンス設置の場合、総予算がアップすることで、アルミ色ではなく木目調のものを選んだり、門扉やカーポトと色を揃えたりすることもできるでしょう。
補助金・助成金制度は多くの自治体が設けていますが、地域によって申請できるものが異なるので、まずはお住まいの地域の自治体(都道府県や市町村)が発信している情報をよく確認し、どのような補助金・助成金があるかチェックしてみましょう。
外構に関する補助金・助成金の例
外構に関する補助金・助成金には、さまざまな種類のものがあります。全国すべての制度を紹介することはできませんが、3つほど例をあげてみます。
外構で使える補助金・助成金の例①
ブロック塀の撤去、フェンスの新設を助成(東京都大田区の助成金)
昨今、地震時の耐震安全性の面で古いブロック塀が社会問題になっています。しかし、撤去には費用がかかるため、なかなか改善されない現状があります。
東京都大田区では、通学路や特定緊急輸送道路に面するブロック塀を撤去し、フェンスに変更する際の助成金を交付しています。
ブロック塀の撤去のための助成金制度がある自治体はほかにもありますが、大田区の補助金は、撤去と新設工事の双方を助成してくれることが特徴になっています。
例えばブロック塀の場合は、以下のいずれかに該当する場合に対象となります。
- 高さ1m以上で、路面からの高さが2.2メートルを超える
- ブロック塀の厚さが10cm未満(高さが2m以上の場合は、15cm未満)
- 塀の高さが1.2mを超える場合は、塀の高さの5分の1以上の控え壁が3.4mの間隔で設置されていない
- コンクリートの基礎が確認できない
- ひび割れや風化、傾き、表面の膨らみなどの劣化が起きている
また、撤去後に設置するフェンスは2m以下、基礎は路面から60cm以下であることが必要です。
助成額は以下のうち最も低い額となります。
- 撤去または新設した費用の3分の2
- 撤去または新設した部分に対して、1m当たり16,000円をかけた金額
- 最高で16万円
なお、この助成制度を利用するためには、工事を大田区内の中小企業に発注する必要があります。
外構で使える補助金・助成金の例②
生垣や植栽帯、シンボルツリーの助成(東京都世田谷区)
塀やフェンスの代わりに生垣を設置したり、エクステリアに花壇やシンボルツリーを設置したりする方のための助成金です。主体となっているのは東京都世田谷区です。
主な条件は、以下の通りです。
- 幅4m以上の道路から、5mまでの位置に設置すること
- 生垣の場合は長さ1m以上、高さ60cm以上
- 花壇など植栽帯の場合は、面積が1平方メートル以上、縁石の高さは60cm以下で、フェンス等がないこと
助成額は実費、かつ以下の範囲内となります。限度額は250万円です。
- 高さ0.6~1mの生垣は、1m当たり6,000円
- 高さ1m以上の木や1.5m以上の竹でつくる生垣は、1m当たり12,000円
- 植栽帯の場合、縁石は1m当たり2,500円以内、造成費は1平方メートル当たり6,000円以内
- シンボルツリーは高さ2.5m以上の木が24,000円以内、高さ1.5m以上2.5m未満の木は12,000円以内
なお、以下の場合も助成の対象になります。
- 多年生つる植物を使ってフェンスを緑化する場合、1m当たり1,000円以内
- ブロック塀等を撤去する場合は、実費(但し1m当たり最高5,000円)
シンボルツリーと生垣などを組み合わせた場合にも助成があります。
この場合、横一列なら単純に両方の補助金の合計額ですが、道路から見て重なる部分があると減額される場合があります。詳しくは区役所にご相談ください。
詳細情報:世田谷区「生垣・植栽帯造成・シンボルツリーの植栽・屋上・壁面緑化助成制度のご案内(中面)」
世田谷区「生垣・植栽帯造成・シンボルツリーの植栽を同一箇所に行う場合の助成対象」
外構で使える補助金・助成金の例③
土砂災害特別警戒区域内における塀の設置を補助(神戸市)
傾斜地に接する位置に家があると、崖から土砂が崩れたり、土砂が家屋に流入しないようにしたりといった安全措置が必要になります。
神戸市では、そのような土砂災害特別警戒区域内における塀(防護壁)建て替え費用の一部を助成しています。
具体的には、以下のどちらか低い額が助成額です。
- 最高100万円
- 工事費の3分の1
下の詳細情報では、RC造が挙げられています。安全措置が目的なので、デザイン性には乏しいかもしれませんが、必要としている方にとってはうれしい制度といえるでしょう。
詳細情報:神戸市「土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)での「住宅等の改修」を支援します。」
補助金・助成金を活用する際のポイント
エクステリア工事や改修工事で補助金・助成金を活用する際、押さえておきたいポイントはたくさんありますが、なかでも特に大事な2点について解説します。
補助金・助成金活用のポイント① 申請時期に注意!
補助金・助成金を受けるためには、申請時期の規定は必ず確認しておくことが必要です。というのも、自治体によって、工務店と契約する前に申請、あるいは工事を始める前に申請などといったルールがあることがほとんどだからです。工事の途中やは完了後などでは受付けられないことがあるので注意しましょう。また、定められた期間内に工事が完了している必要がある場合もあります。
例えば、前項で紹介した大田区の場合は、助成してもらうためには以下の3つの条件があります。
- 事前に区に相談の上、申請すること
- 交付決定通知書を受け取った後に、工事の契約を締結すること
- 申請から撤去または新設の完了報告までを、同じ年度で行うこと
補助金・助成金を活用するなら、申請が受け付けられる時期かどうか、また決められた期間内に工事を完了できるかどうかをよく確認しておきましょう。
補助金・助成金活用のポイント② 自治体の予算額や件数枠などに注意
補助金・助成金の財源は税金や保険料が原資になっており、このため年度ごとに上限が決まっています。
このため、その補助金・助成金を活用する人が多くなると、上限額に達し、期間中でも受付が締め切られて、申し込むことができなくなることがあります。
ただし、補助金・助成金・助成金目当てで、十分な検討もせずに急いで外構工事の契約をしてしまうことはお勧めできません。エクステリアは何年も使うものですから、まずは納得いくまで十分に検討することが必須です。その上で活用できる補助金・助成金があれば、積極的に申し込むのがいいでしょう。
補助金・助成金を有効活用するためにも、施工店への相談がベスト
外構工事の予算を少しでも節約したい方にとって、補助金・助成金はうれしい制度です。ただし、自分だけで調べたり上手な使い方を検討するには限度があります。
その地域で数多くの工事を行っている施工店なら、補助金・助成金にも詳しいことも。まずは、自治体のホームページを定期的にチェックするだけでなく、施工店にも使える補助金や助成金の制度がないか、相談してみるといいでしょう。