子供たちが安全に楽しく遊べるエクステリア空間にするためには、プランや製品選びに工夫が必要です。思わぬ事故を防ぐために押さえておきたいポイントや安全安心に配慮がされたキッズデザイン賞受賞製品など、子供に優しい庭づくりのコツをご紹介します。
目次
子供がケガをしにくい芝生やウッドデッキ
子供は思い切り走りまわりたいもの。転んでも安心な仕上げをしておきましょう。砕石の敷き詰めやタイル、モルタル仕上げは表面が固いので、転んだ時にケガをしやすい可能性があります。
おすすめは天然の芝を増えて芝生コーナーを作ること。柔らかい芝生の上なら走り回っても、ごろごろ転がっても安心です。
ただし天然の芝生はお手入れに手間が掛かるデメリットも。人工芝ならお手入れはほとんど不要です。ただし色あせや汚れが目立ったり、芝の下がじめじめしていると虫が発生したりすることがありますので、注意をしましょう。
リビングから続く庭にウッドデッキを設置するのもおすすめです。モルタルなどに比べると表面が柔らかく、リビングから続けると、家の中から子供たちが遊んでいる様子が見えやすいのもメリット。
ウッドデッキ選びをする際には、板のスキマ幅やささくれの出具合など、子供たちの安全性もしっかりチェックをしましょう。スキマが大きいと小さな靴の先を挟んで転んでしまったり、ささくれが出てくるとトゲが刺さってしまったりする危険があります。
こちらは天然木のような風合いを持つ人工木でできたリウッドデッキ。目地幅が3㎜なのでつまずく危険が少なく、ささくれもありません。またシロアリや防腐のための薬剤処理をする必要がないので、子供たちの健康にも安心です。
リウッドデッキは薄い紙などもデッキ下に落ちない構造になっています。ウッドデッキのスキマから物を落としてしまうケースは少なくないもの。これなら子供たちの遊び道具、たとえば、カードなどを落としてしまう心配もありません。
ウッドデッキを選ぶ際には、スキマや素材など子供たちの安全についてしっかりチェックしておきましょう。
子供の熱中症リスクを低減するシェード
身体の小さな子供は大人より体温が上がりやすく、熱中症リスクが高くなっています。暑い日にも外で遊びたい子供たちを熱中症から守るために、庭に日陰を作っておきましょう。
大きな木を植えて木陰を作るのもいいですし、日よけシェードの取り付けなら手軽に大きな日陰を作ることができます。
こちらは第16回キッズデザイン賞を受賞した、後付けで日よけができる洋風すだれアウターシェードです。
キッズデザイン賞とは、子供や子供の産み育てに配慮した製品やサービス、空間、研究などを対象とした顕彰制度。アウターシェードは、体温調整が苦手な子供に対し、室内のエアコンの効率を高めながら夏の熱中症リスクの低減に貢献するとして評価されました。
アウターシェードはウッドデッキの上を日陰にしてくれるのはもちろん、強い日差しを窓の外でカットするので室内を涼しくする効果があります。上手に使いこなして、庭も家の中も快適にして子供たちが安心して過ごせる住空間を目指しましょう。
飛び出し防止のフェンスや鍵付き門扉
子供は急に走り出すこともあります。小さな虫を追いかけて庭から道路に飛び出してしまったということがないように、敷地はフェンスでしっかりと囲い、門扉には鍵をつけておくと安心です。
フェンスは足を掛けてよじ登りができないよう、足を掛けにくいデザインのものを選んで。格子のスキマが小さいタイプか、たて格子なら安心です。
こちらのフェンスは「ルシアス」シリーズのブロック建て用高尺目隠しタイプのフェンスです。よじ登りがしにくく、高さがあるのでしっかり目隠しもしてくれます。
古いブロック塀の地震での倒壊の危険が指摘されています。アルミフェンスはブロック塀に比べて軽量で安全性が高いのが特徴。しっかり目隠ししながらも風通しができ、高さのあるフェンスでも控え壁が不要なため、庭をより広く使えるのもメリットです。
子供たちがより安全に暮らす庭空間にするためのフェンス選びをしましょう。
カーポートにも忘れずに飛び出し防止を
カーポートにも子供の飛び出し防止のためのカーゲートを設置しておくと安心です。お勧めは車の中からゲートの開閉ができるリモコン電動タイプ。
車から降りたとたんに走り出す子供たち。道路に飛び出してしまえば危険です。そこで、子供を降ろす前に、リモコンでゲートを閉めるようにすれば、飛び出しを防ぐことができます。
車の往来が多い道路に面しているカーポートには、ゲートを取り付けておくと、安全性が大きく上がります。
よじ登りを防ぐベランダ・バルコニーフェンス
バルコニーやベランダのフェンスの乗り越えによる転落事故を防ぐための配慮もしておきましょう。
こちらのバルコニーフェンスは横格子のスキマを子供の足が入らないように狭くして、よじのぼりを防止した製品です。
手すりにもひと工夫。ルシアスバルコニーは、手すりの内側のもうひとつ、乗り越えがしにくい「内はり出し」タイプの後付け手すりがオプションで選べるようになっています。
ベランダ・バルコニーのフェンス選びの際には、こういった子供たちの安全を守るための仕組みもよく確認して選びましょう。
楽しく安全な庭で子供たちと楽しく
庭やベランダは今や生活空間の一部です。ただ眺めたり洗濯物を干したりといった使い道から大きく広がり、食事をしたり遊んだり。エクステリアをリフォームすると家族が家で過ごす時間が増えた、ご近所との会話が増えた、孫がよく遊びにくるようになったなどという声は多いものです。
子供たちの安全性にもしっかりと配慮をしたエクステリアリフォーム計画を立てて頂ければと思います。家族の誰もが安全安心して、そして毎日をもっと楽しく過ごせることでしょう。
著者プロフィール
Yuu(尾間紫)
一級建築士/インテリアプランナー/インテリアコーディネーター/マンションリフォームマネジャー
長年リフォーム業界の第一線で、数多くの住宅リフォームの相談、プラン設計、工事に携わってきた経験から、本当に価値あるリフォームについて皆さまにお話します。過去を繕うものではなく、未来の暮らしを創る「リライフのリフォーム」を提唱。実践的なリフォームのノウハウを、テレビや雑誌、新聞連載、講演などを通して発信中です。著書に『リフォームはこうしてやりなさい(ダイヤモンド社)』など。Webサイト「リフォームのホント・裏話」(http://www.ne.jp/asahi/net/rehome/)でリフォームの実践的なノウハウを公開中