庭にプールがある家なんて夢の話……と思っている人は多いことでしょう。しかし最近は技術の進歩により、限られた面積でもプールを作ることができる時代に!今回は、そんな夢をカタチにした、リゾートホテルのようなエクステリアリフォームの事例を、ビフォーアフターでご紹介します。
目次
プールが欲しい。超えるべきハードル、プールがあるだけでは満足いく空間にはならない
ハリウッドセレブの豪邸の庭に必ずといっていいほどあるプール。庭にプールがあれば、いつでも水の中で遊べるのはもちろん、プールサイドでお酒やお茶を楽しんだり、食事をしたり。リゾートホテルにいるような幸せな時間を我が家で過ごすことができます。
また、ペットの犬たちと一緒に泳ぐといったことも、我が家のプールならではの楽しみ。意外なところでは、災害時の水の確保にも役立つメリットがあります。そう、庭にプールがあれば、毎日が格段に楽しく、豊かになります。
しかしそうはいっても、実際にプールを作るとなると様々なハードルを感じます。広大な土地や、水質を維持する大きな機械が必要なのでは?それにお手入れが大変そう、プールがある庭なんて夢の話と諦めてしまっている人も多いことでしょう。
でも最近はちょっと事情が変わってきているようです。最近の技術の進歩で、コンパクトでフレキシブルにデザインできるようになるなど、自宅にプールは以前より身近な存在になりつつあります。
そんな夢を実際にカタチにしたのが、宮城県にお住まいのK様です。K様の元の庭はタイル張りのシンプルな印象でした。そこにプールを作りたいというのが、最初のご要望でした。
K様が声を掛けたのは、提案力に評判が高い「有限会社海馬工苑」です。担当したのは仙台利府営業所【Garden Gallery OAZON】の佐々木大輔さん。最初に現地確認を行った際、技術的にプールは施工可能であることが分かりましたが、この空間にただプールを設置するだけでは満足のいく仕上がりにはならないのではないかという思いがあったそうです。
確かに、ここにただプールを作るだけでは、非日常を楽しむ空間としては物足りません。また通りからの視線も気になります。そこで、佐々木さんはただプールを作るだけではなく、「プールがある幸せな暮らし」を実現できる空間提案をすることにしたのです。
プールがある幸せな暮らしの提案。リゾート感満載の演出、プライベートを守るウォール計画
佐々木さんが提案したのは、プールそのものだけではなく、プールがある幸せな暮らしです。こちらは、リフォーム計画のプレゼンテーションです。
プールそのものの性能はもちろん、そこで本当に楽しいひと時が
そこで初回提案の段階から、プールのあるリゾート空間をイメージし、プールサイドにはガーデンファニチャーを配置。プライベートを守るウォールをトータルでデザインするなどの工夫で、心からくつろげるアウターリビングとして機能するように計画しました。
そうしたところ、K様もその全体像をとても気に入り、今回のリフォームが実現することとなったのです。
メンテナンスがラクであること。そして省スペース、省コストへのこだわり
プールを作る際に気になるのが、お手入れや大きな機械室のこと。今回のリフォームでは、プールのメンテナンス性を重視し、また省スペース・省コストであることにもこだわっています。
プールは、ポリプロピレン製型枠の中に鉄筋を入れ、コンクリートを流し込んで製作。敷地に合わせてフレキシブルにデザインができるため、高耐久で強度があり、地震にも強い構造です。プール内は、強化PVCシートで覆うことで、洗浄など、簡易なお手入れで美しさを保てるように工夫されています。
また、パイプフリーのろ過機でプール内の水を直接循環ろ過する方式とすることで、故障のリスクを低減。機械室が不要なため、省スペース・省コストでのリフォームが実現しました。
こちらのプールのサイズは3m×5mで、深さは1.5m。たっぷりと水をたたえた風景は圧巻です。
限られたスペースを広く見せる高低差デザイン、水平ラインにこだわり洗練された空間に
それではリフォーム後の様子をじっくり見ていきましょう。洗練されたプールサイドのデザインが素晴らしく、元の庭が思い出せないような大変身です。担当の佐々木さんがこだわったのは、プールだけでなくトータルとしての空間デザインです。
水平ラインや高低差デザインなどのディテールにこだわることで、スッキリとした印象を心掛け、元々の庭スペースが限られていたため、テラス部分に段差を設けることで、スペースを広く見せる工夫をしています。
プールサイドを癒しの空間に。エクスティアラアーチとリレーリアフロントフレームを使うアイデア
プールサイドはまるでリゾートにいるような楽しい空間です。強い日差しや外部からの視線をほどよくカットしてくれる屋根は、YKK APのエクスティアラアーチ、正面のスリットが入った壁はリレーリアフロントフレームのウォールタイプです。
プール周辺は防水の観点からどうしても固い印象になりがちですが、エクスティアラアーチの天井の木目や自然石のタイルがナチュラルな印象で、リゾートのような癒しを感じさせてくれます。
プールサイドにYKK APの製品を選んだ決め手は、エクスティアラアーチの汎用性の高さとデザインの美しさ、そしてリレーリアフロントフレームのスリットデザインがイメージにぴったりだったからとのこと。美しい収まりと工期が短くて済むのも魅力です。
これらの製品は、エントランスに使用されることが多いのですが、プールサイドに使うというアイデアに脱帽!空間に美しく融合して、素晴らしいリゾート空間に仕上がっています。
夜も徹底的に楽しむ庭に。プールサイドの照明は品のよさを心掛けて
夜も庭を楽しめるよう、照明計画にもこだわりました。暖色系の照明を使用することで温かみのある夜景となり、またテラス下にもバーライトを設置することで足もとを照らし、夜でも安心してプールを楽しむことができます。
品の良いライティングを心掛けたおっしゃる佐々木さん。夜になるとテラスの床面がぼんやりと浮かび上がり、水面をきらきらと照らし、幻想的で美しい風景に変わります。
K様は、プールだけではない暮らしそのものが変わる提案にとても喜び、またガーデンファニチャーが似合うデザインにしたいというご要望も叶えられ、ビフォーアフターに心から感動されました。
今ではプールのある暮らしを、家族全員で思い切り楽しんでいらっしゃるとのこと。御主人は毎朝、庭に面した部屋で朝のトレーニングをするそうですが、庭のリフォームをしてからは、カーテンを開けて庭を眺めながらするようになったそうです。
また子どもたちもお友達を自宅に招いて遊ぶようになったり、水泳教室から帰っても家で練習をするなど更に打ち込むようになったり。ご家族みんなでアウトドアリビングでくつろぐことも。庭が変わることで暮らしが大きく変わったそうです。
エクステリアのリフォームは見た目を変えるだけではなく、暮らしそのものをより豊かに楽しくしてくれます。庭はあらゆる可能性を持つステージなのだと思わせてくれる素晴らしい事例です。
物件データ・採用商品
◆このリフォームを行なったのは
有限会社海馬工苑 https://kaima-kouen.co.jp/
快適空間ガーデンエクステリアをプロデュース。新築からリフォームまで手掛ける。幅広い有資格者が在籍、お客様の求めるもの以上の提案を行い、デザイン性の高さ、知識の豊富さには定評がある。ガーデン&エクステリア希望の芽で最優秀賞受賞をはじめ、様々なデザインコンテストで受賞歴多数。
担当者よりひとこと:当社の展示場は、提案型のデザインとなっている為、商品を見るというより空間を提案しております。デザイナーがデザインする庭の可能性を見て頂きたいと思います。お客様の求めるデザイン以上のものをご提案し、初回提案から気持ちを高めて頂くプレゼン打合せを心掛けています。
◆物件データ
- 建物種別:一戸建て
- 築年数 :14年
- 工事種別:リフォーム
- 工事期間:約160日
◆採用商品
- アーチ:YKK AP「エクスティアラアーチ」
- 壁:YKK AP「リレーリアフロントフレーム」
- 汎用形材
著者プロフィール
Yuu(尾間紫)
一級建築士/インテリアプランナー/インテリアコーディネーター/マンションリフォームマネジャー
長年リフォーム業界の第一線で、数多くの住宅リフォームの相談、プラン設計、工事に携わってきた経験から、本当に価値あるリフォームについて皆さまにお話します。過去を繕うものではなく、未来の暮らしを創る「リライフのリフォーム」を提唱。実践的なリフォームのノウハウを、テレビや雑誌、新聞連載、講演などを通して発信中です。著書に『リフォームはこうしてやりなさい(ダイヤモンド社)』など。Webサイト「リフォームのホント・裏話」(http://www.ne.jp/asahi/net/rehome/)でリフォームの実践的なノウハウを公開中