室内の小さな不便を屋外に役割を振り分けることで、毎日の暮らしが自然と軽くなる。(屋外スペースに設置できる衣類乾燥機「乾太くん」も活用)

外構やお庭の相談をお受けしていると、実は“建物の中”に原因があるお悩みに出会うことが少なくありません。
庭をどう整えるかというお話のはずが、よくよくお話を伺うと出てくるのは、

「家事動線が不便で…」
「室内干しの場所に困っていて…」
「家の中がなんとなく手狭に感じるんです」

といった、日々の暮らしのリアルな声です。

間取りが悪いわけではないのです。多くの場合、空間の使い方が室内に偏りすぎていることが原因です。私たちは無意識のうちに、家事も収納も趣味もくつろぎも、すべてを室内で完結させようとしています。
けれど、少し視点を変えて見れば、建物の外には、まだ役割を与えられていない空間が広がっています。もしその屋外スペースを、眺めるためだけの場所ではなく、暮らしを支え
る場所として考え直せたとしたら。室内の小さな不便は、意外なほどすんなり解決するかもしれません。

1. 室内と屋外。それぞれの空間をあらためて考えてみましょう

室内の小さな不便を屋外に役割を振り分けることで、毎日の暮らしが自然と軽くなる。(屋外スペースに設置できる衣類乾燥機「乾太くん」も活用)

室内は、快適で守られた空間です。温度や湿度が安定し、プライバシーも確保されています。だからこそ私たちは、家事も収納も趣味も、あらゆる暮らしを室内に詰め込んできました。

しかしその結果、

  • 家事動線が複雑になる
  • 物干しスペースが圧迫感を生む
  • 家具や家電が増えて生活感が強くなる
  • 趣味の道具や季節用品の居場所を失う

といった状況に、心当たりのある方も多いのではないでしょうか。

一方、屋外はどうでしょう。
屋外は、風が通り、湿気がこもりにくく、多少の作業音も気になりにくい。一時的に物が広がっても「まぁいいか。」と思える。
そう考えてみると、室内で感じている小さな不便さのいくつかは、屋外に役割を分けることで、自然と軽くなることがあります。

2.屋外に「新しい役割」を与える

では、屋外に役割を分散させるとは、具体的にどんな庭づくりをすればよいのでしょうか。

大切なのは、「どの不便を屋外で解決したいのか」を明確にすること。形から入るのではなく、暮らしの目的から設計するという順番です。
庭づくりでは、ウッドデッキやタイルテラス、サンルームなど様々な空間を作り出すことが可能です。こうした空間を、単なる“憩いの場”ではなく、目的を明確にし、暮らしの機能を受け止める場所としてデザインする。
この視点を持つだけで、庭の役割は大きく変わります。

3. 室内の機能を屋外へ。暮らしを改善する具体的アイデア

3-1 くつろぎの時間を屋外へ広げる

室内の小さな不便を屋外に役割を振り分けることで、毎日の暮らしが自然と軽くなる。(屋外スペースに設置できる衣類乾燥機「乾太くん」も活用)

YKK AP「ソラリア」テラス屋根

屋外スペースの活用で、まず思い浮かびやすいのが「リビングの延長」としての使い方です。リビングとつながる場所に、ウッドデッキやタイルテラスを設ける。大きな窓を開け放てば、室内と屋外の境界がゆるやかにつながり、空間に広がりが生まれます。

ここで大切なのは、「特別な使い方」を考えすぎないこと。

たとえば、

  • 朝のコーヒーを飲む場所
  • 本や雑誌を読む場所
  • 子どもがちょっと遊ぶ場所
  • 夜に少し外の空気を感じながらくつろぐ場所

そんな小さな用途で十分です。

室内の小さな不便を屋外に役割を振り分けることで、毎日の暮らしが自然と軽くなる。(屋外スペースに設置できる衣類乾燥機「乾太くん」も活用)

YKK AP「ソラリア」テラス囲い デッキ納まり

昼間は光と風を感じながらくつろぐ場所として。夜は照明を落として、静かな時間を楽しむ場所として。屋外にこうした“もうひとつの居場所”をつくると、不思議とリビングの使い方にも余裕が生まれます。

室内だけで過ごそうとすると、リビングはどうしても多くの役割を抱えがちです。だからこそ、特別ではない“何気ない用途”を屋外へ逃がすだけで、室内は驚くほどすっきりするものです。

3-2 趣味の時間を屋外へ広げる

室内の小さな不便を屋外に役割を振り分けることで、毎日の暮らしが自然と軽くなる。(屋外スペースに設置できる衣類乾燥機「乾太くん」も活用)

YKK AP「ソラリア」テラス屋根 デッキ納まり

屋外スペースの使い方は、リビングの延長だけではありません。建物の配置によっては、個室や書斎の近くに小さなデッキやテラスを設けることで、もうひとつの“個の居場所”をつくることもできます。

室内の机に向かうのとは少し違い、外の空気を感じながら過ごす時間は、気分の切り替えにもなりますし、ほんの数歩外に出るだけで、暮らしのリズムが変わることもあります。

そして、なによりも屋外には、室内にはない気楽さがあります。絵の具や土で少し手元が汚れても気にならない。道具を広げても、多少散らかっても大丈夫。そんなラフさが許されることも、屋外空間の魅力のひとつです。

こうした小さなスペースは、大きな庭がなくてもつくることが可能。テラス屋根を設けて日差しや雨をコントロールすれば、天候に左右されにくく、日常的に使える場所になります。
家族みんなの場所だけでなく、自分だけの時間を過ごす場所を屋外に持つ。そうして暮らしの一部を外に広げてみると、室内の空間にも自然と余裕が生まれます。

3-3 洗濯環境を屋外で整える

室内の小さな不便を屋外に役割を振り分けることで、毎日の暮らしが自然と軽くなる。(屋外スペースに設置できる衣類乾燥機「乾太くん」も活用)

YKK AP「ソラリア」テラス囲い 床納まり

暮らしの中で、意外と多くの方が悩んでいるのが洗濯環境です。

  • 室内干しの場所に困る
  • リビングから洗濯物が見えてしまう
  • 乾きにくく、湿気も気になる

こうした悩みは、家事動線だけでなく、室内の空間の印象にも影響します。

そこでおすすめしたいのが、屋外にランドリースペースをつくるという考え方です。テラス屋根の下やサンルームなど、雨や日差しをコントロールできる場所に物干しスペースを設ける。そうすることで、洗濯物を室内から外へ移すことができ、生活感もぐっと抑えられます。また、屋外空間であれば、湿気がこもりにくく、洗濯物も乾きやすいというメリットがあります。

3-4 ウッドデッキなどの屋外に設置できる衣類乾燥機「幹太くん」の例

最近では、設置場所が多様化された衣類乾燥機が登場して、洗濯環境の考え方も少しずつ
変わってきているようです。
例えば、洗濯機の上に空間スペースがない、ガス栓の設置が難しいなどの場合用には、⾬⾵に直接さらされないテラスやウッドデッキ、ベランダなどの屋外の軒下や半屋外のスペースに設置できる衣類乾燥機も発売されています。

室内の小さな不便を屋外に役割を振り分けることで、毎日の暮らしが自然と軽くなる。(屋外スペースに設置できる衣類乾燥機「乾太くん」も活用)

軒下設置用モデルのガス衣類乾燥機「乾太くんデラックスタイプ」
※「乾太くん」は東京ガス株式会社の登録商標です。
「乾太くん」カタログ、11Pの設置場所をご参考ください。

洗濯という毎日の家事こそ、屋外空間を活かすことで大きく快適さが変わる部分かもしれません。

3-5 家事と収納の逃げ場をつくる

室内の小さな不便を屋外に役割を振り分けることで、毎日の暮らしが自然と軽くなる。(屋外スペースに設置できる衣類乾燥機「乾太くん」も活用)

キッチン勝手口を空けた先に広がる家事収納空間

屋外空間を、日々の家事や収納を支える場所として活用する具体例として、勝手口まわりの空間づくりもおすすめです。勝手口は普段あまりクローズアップされない場所ですが、テラス屋根や物置を設置したり、室内との段差を解消したりすることで、生活の裏側を受け止めてくれる小さな家事スペースをつくることができます。

  • ゴミの一時置き
  • 掃除道具の収納
  • ガーデニング用品の保管
  • アウトドアの道具や季節用品の整理

こうしたものを屋外に収納する場所があると、室内に持ち込む物はぐっと減り、室内の収納スペースにも余裕が生まれます。

日々の家事や暮らしの道具には、どうしても“生活感”がつきものです。それらをすべて室内で抱え込むのではなく、屋外に少し受け止めてもらう。そんな工夫をすることで、室内の空間はより整いやすくなります。

4. 屋外スペースを暮らしの味方に

住まいの快適さは、室内の工夫だけで決まるものではありません。庭やテラス、軒下といった屋外空間に少し役割を与えるだけで、住まい全体の使い方に自然とゆとりが生まれます。

今回ご紹介したような小さな工夫の積み重ねが、室内の空間に余裕を生み、日々の暮らしを軽やかにしてくれるのです。

こうした屋外空間の使い方は、住まいづくりの段階から考えておくことがとても大切。建物だけでなく、外構や庭などの屋外空間の計画についても、外構・エクステリアの専門家への早めの相談をおすすめします。

 

著者プロフィール

室内の小さな不便を屋外に役割を振り分けることで、毎日の暮らしが自然と軽くなる。(屋外スペースに設置できる衣類乾燥機「乾太くん」も活用)

山岡由佳 クラスデザイン代表
二級造園施工管理技士、一級エクステリアプランナー

京都府立大学 人間環境学部 環境デザイン学科を卒業後、E&Gアカデミーにてエクステリアとガーデンを専門的に学ぶ。 エクステリアとお庭の専門店にて15年、ランドスケープデザイン設計事務所にて2年の実績と経験を積み、 2020年に独立し「cras design(クラスデザイン)」を設立。 個人宅向けの外構造園設計や施工店への作図サービスを中心にSNS運用サポートやブログ執筆サービスも行っており、 様々な視点から役立つ情報をお届けしています。

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