日本全国で梅雨入りのニュースが聞かれるようになりました。この時期にぜひやっておきたい庭のお手入れが、「切り戻し」。適切なタイミングと方法で切り戻しを行うと、花いっぱいの庭を長く楽しむことができます。具体的な切り戻しの方法と注意点をご紹介しましょう。
切り戻しって何?どういう効果があるの?
雨は植物にとって必要なものですが、梅雨や秋の長雨のように多量の雨が長期間続くと、地面が必要以上の水分を含んだ状態になり、植物が根腐れを起こすことがあります。またこの時期は日照時間も少なく風通しも悪くなるため、病気や害虫が発生しやすくなります。
植物は、そのまま放置すると枝や茎がどんどん伸びていきます。それを、いまの時期に、伸びすぎた茎や枝を短く切り詰め、これから開花する花などに必要な養分を与えて植物を若返らせ、より丈夫に育てることができます。適切な切り戻しを行うことは、植物が新しい花芽をつけるきっかけにもなり、梅雨明けの夏から秋にかけて、再びたくさんの花を咲かせることが期待でき、ガーデニングや園芸がもっと楽しくなります。
切り戻しをしたほうがよい植物、しないほうがよい植物

梅雨の時期の切り戻しは、特に以下のような植物に効果的です。
生育旺盛で繰り返し花が咲く一年草
切り戻しは、ペチュニア、サフィニア、バーベナ、ロベリア、日々草、ジニア、トレニア、マリーゴールド、サルビアなどの植物が適しています。一度花が咲き終わったこの時期に切り戻しをすることで新しい花芽がつきやすくなり、夏から秋にかけて再び美しい花を楽しめます。ちなみに、これらの植物は夏が終わった8月頃にもう一度切り戻しをするのもおすすめです。
梅雨時期に徒長しやすい植物
インパチェンス、コリウス、ベゴニアなどが適しています。日照不足と多湿で茎が伸びやすい植物は、切り戻しで間延びした部分を切り落とし、株の形をバランスよく整えます。
葉が密生しやすく株が蒸れてしまうもの
バジルやオレガノ、ローズマリーなどのハーブ類などは葉が密生して内側に湿度の高い空気が溜まりやすくなります。切り戻しによって混み合った枝葉を間引くことで、株全体の風通しが格段に良くなります。
逆に、ダリアやコスモスなど、茎が空洞の植物や花が咲く時期が短い植物は梅雨の時期の切り戻しをしないほうがよいでしょう。
切り戻しの方法と注意したいこと

1.基本的な切り戻しの方法は以下の通りです。
1)晴れた日に清潔な道具を使って行う
切り戻しは晴れた日の午前中に行い、切り口をしっかり乾燥させることが重要です。切り口からの病気の感染を防ぐため、手はよく洗い園芸バサミはアルコールなどで消毒しましょう。
2)傷んだ枝や枯れた葉を取り除く
株の中に枯れた葉や傷んだ枝があれば、付け根から切り取って取り除きます。花がらも事前に切り取っておくとよいでしょう。
3)芽の少し上で切る
切る位置は葉の付け根にある「わき芽」の少し上。わき芽を残すことで、そこから新しい芽が伸びてきます。内側に向かって伸びる芽ではなく、外側に向かって伸びる芽の少し上で切ると、株全体の風通しが良くなります。
4)全体のバランスを見る
切り戻し後は、株全体の形が整っているか確認し、必要であればさらに調整します。
2.切り戻しを行う際の注意すべき点は以下の通りです。
1)切りすぎに注意する
一度に株全体を大きく切りすぎると、植物に大きな負担がかかることがあります。特に初めて切り戻しを行う場合は、控えめに始めるのがおすすめです。
2)葉をある程度残す
光合成を行う葉がなくなると、植物は養分を作れなくなり枯れてしまいます。株全体の2分の1〜3分の1程度の葉は残すようにしましょう。
3)作業後の管理について
切り戻し後は、葉が少なくなった分水の蒸発量が減るため、水のやりすぎに注意しましょう。また、必要に応じて薄めの液体肥料を与えたり、日当たりと風通しの良い場所で管理したりして、回復を促しましょう。
切り戻しをして、花を長く楽しもう!

切り戻しは、一見すると植物に負担をかけるように思えるかもしれません。しかし、適切な時期と方法で行うことで、植物を病害虫から守り、丈夫に育て、さらには美しい花を咲かせることにつながります。
梅雨の晴れ間に切り戻しを行うことで、自宅の庭のウッドデッキから眺める景色がより美しいものになります。美しい花々を長い期間楽しむガーデニングのテクニックとして、ぜひチャレンジしてみてください。