家の正面にカーポートを設置する場合、どのようなデザインのものにするかは迷うものです。家族だけでなく訪れる人が最初に目にする要素、まさに家の顔ともいえる部分だけに、昼はもちろん夜も魅力的にしたいもの。日本随一のクルマ社会という地域で、M様のこだわりを実現した施工例を紹介します。
目次
全国随一のクルマ社会。車だけじゃなくカーポートにもこだわりたい
カーポートは、車を風雨や紫外線から守るとともに、家の印象を大きく左右するアイテムとも言えます。特に、M様邸のように家の前に複数台の車を置ける大きなカーポートを設置する場合、家を訪れた人が最初に目にするのはカーポートになるわけで、そういう意味では、家の顔とも言えるでしょう。
M様がお住まいの群馬県は、自動車の普及率が全国でも上位の全国有数の車社会。車やそれを収納するガレージ・カーポートにこだわりを持つ人も少なくありません。M様のご要望もまさに「かっこいいカーポートを作りたい」というものでした。
もともとM様はエクステリアにとても興味があり、インターネットなどを使っていろいろとリサーチをされていたそうです。そんななか、目に留まったのが、有限会社FIELDでした。作例ページには豊富な実績が紹介され、そのデザイン性の高さに魅かれて「ぜひお願いしたい」と連絡がありました。
まだ建物を建築している最中のことで、有限会社フィールドでM様を担当した須田さんによれば、「タイミングとしてはかなり早い方」だとのこと。一般的に、エクステリアに関する相談は建物が完成間近にスタートすることが多く、特に、建て替えではない場合などは、引き渡しが終わってから「そういえばエクステリアのことは何も考えていなかったけど、どうすればいいのだろう……」と考え込んでしまうケースもあります。M様のように、家を建てるのが初めてだったにもかかわらず、しっかりとしたイメージまで固めているお施主様は、なかなかいないようです。
雨に濡れずに出入りできれば、毎日の暮らしはもっと便利になる
打合せの時点でのM様ご夫妻のご要望のうち、もっとも大きなものは「とにかくかっこいいカーポートがほしい」ということでしたが、さらに奥様からは「できれば出入りの時に雨に濡れないものがいい」というリクエストもありました。
小さいお子さんがいるM様ご夫妻。お子さんを連れての車の乗り降りや、買い物帰りにたくさんの荷物を車から家に運び入れる作業はただでさえ大変なのに、雨を気にしながらではその苦労は何倍にもなってしまいます。特に負担が大きくなるのは、母親である奥様のほうで、服や髪が乱れてしまうのを気にかける余裕もなくなってしまいます。
そうした要望に応えるために、須田さんが提案したのがYKK APの「エクスティアラルーフ」です。単なるカーポートではなくエントランスの機能を持ち、家の顔としての存在感は申し分ありません。玄関までのアプローチをまるごと覆う大きさで、車の乗り降りはもちろん、家からの出入りの際も雨や風を気にせずにすみます。
実はこの「エクスティアラルーフ」、発売前には有限会社FIELDも関わっていて、長年現場で見てきたお施主様のニーズを細かく伝えて出来上がった商品なのです。そうした経緯を説明しつつ提案のためのパース図を見せたところ、奥様は一目で気に入り「絶対にこれをつけたい!」と盛り上がったそうです。
「エクスティアラルーフ」の存在感がある分、袖壁はシンプルにしてバランスを取り、全体的にごちゃごちゃした感じになることを避けました。また、袖壁のまわりに設置した植栽が、シャープな印象のなかのワンポイントとしてやわらかな雰囲気を添えています。
エクステリアに照明を設置する意味とは?どうせ付けるなら効果的なものを
提案には、照明計画も組み込まれていました。今でこそ照明を活用するエクステリア施工店は増えましたが、有限会社FIELDでは、かなり以前から施工するエクステリアの多くに照明を使ってきました。須田さんによれば照明には3つの効果があるといいます。
- デザイン性
- 建物やエクステリア空間の表情を引き出す
- 防犯性
デザイン性というのは、パッと見て「あ、なんとなくかっこいい!」と思ってもらいやすいということです。実はどんな建物でも、暗いままよりも灯がついていたほうが、一見華やかには見えます。ただ、その建物の良さを引き出しているか、エクステリア空間がよりランクアップして見えるかはまた別の問題で、須田さんいわく「ただ光を入れればいいというものではない」そうです。
有限会社FIELDでは、しっかりとした理由が説明できない照明は提案しないとのこと。逆に言えば、土地の広さや形、建物のテイストなどに合わせて、照明込みでトータルデザインがされているので、よほどの事情がない限り、提案内容に照明が組み込まれています。つまり、「このプランに照明をプラスするともっと良くなりますよ」といった追加提案ではないのです。
「夜、お仕事や外出先から帰ってきた時に、灯が点いていて家が素敵に見えたら『ああ、この家素敵だなあ。建てて良かったなあ』と思ってもらえますよね。せっかく家を建てて、外構もきれいにするのなら、毎日その幸せをかみしめてもらえるような仕上がりにしたいんです」と須田さんは言います。
実際、M様もとても喜ばれ、YKK APのカタログに載せたいとお願いした際には二つ返事で快諾されたのだとか。また、「他のお客様で施工例が見たいという方がいたら、どんどん連れてきていただいてかまいませんので」と嬉しいお申し出までいただきました。
軽視されがちな境界にもこだわって、庭で過ごすひとときを快適に
M様邸は北側が道路に面していますが、それ以外の3方向はブロックを積んだ上にフェンスを設置しました。
通常、門扉やカーポートなどを設置する建築物の正面部分(ファサード)にこだわる方は多くいますが、境界にはあまり関心が向きづらいものです。予算もどうしてもファサードに多く割かれがちで、フェンスなどはなるべく低価格のものが選ばれる傾向があります。
しかし、M様はブロック塀の高さやフェンスの材質にもこだわり、その分の予算もちゃんと確保していました。「エクステリアに対するしっかりとしたイメージをお持ちで、なおかつ予算感もあったので、打合せはとてもスムーズにできました」と須田さん。
出来上がったのは、ブロックを3段積んでその上に目隠し効果の高いフェンスを設置したもの。これなら、カーテンを開けてリビングで過ごしていても、お子さんと一緒に庭で遊んでいても、隣家からの目線があまり気になりません。それでいて、ブロック塀ほどの圧迫感はなく、開放感を味わうこともできます。
また、掃き出し窓から続くタイルのテラスもM様のご希望でした。M様の頭のなかには、ご家族が庭で過ごす姿がリアルに思い描かれていたのでしょう。
満足いくエクステリアを完成させるためのポイント
一般的にエクステリアの施工を依頼された際、工務店はまずお施主様の要望を聞くところから始め、その後の打合せで予算との兼ね合いを見ながら落としどころをみつけていくことになります。須田さんはこれを「交通整理みたいなもの」と言います。
限られた予算のなかで、希望のなかのどれを優先すれば満足度が上がるのか。また、どの部分ならコストを下げても全体のクオリティに影響しづらいか、今後家族構成やライフスタイルが変化していくことを見据えて今どのようにしておくのがいいかなど、プロの視点でさまざまなアドバイスをしながら、現実的なプランを作り上げていきます。
その際、M様のようにエクステリアに望むことがはっきりしていたり、イメージが固まっていたりすれば、早い段階から提案内容が具体化します。つまり、工務店に良いパフォーマンスを発揮してもらうためには、「とにかくプロにお任せ」という姿勢よりも、要望や希望をできるだけ伝えて積極的に関わったほうがいいようです。
庭を用途ごとに区切るゾーニングや土地の形状に合わせた動線といったセオリーを踏まえつつ、家族構成やライフスタイル、打合せ時に出た希望などに合わせて、その家らしさを引立たせるプランニングを予算内で行う――なかなか難しいことではありますが、これがうまくハマった時は、お施主様に本当に喜んでいただけると言います。
これに加えて須田さんが心がけているのは、初回のプランを提出する際にちょっとしたヒネリを入れること。お施主様が言葉にできなかったニーズを汲み取った提案や、考えてもいなかった土地の使い方など、お施主様を感動させることを意識してプランを作っているのだそうです。
今後芝が落ち着いてくると、庭もさらに映えるようになるでしょう。エクステリアの魅力とは、年月を過ごすうちによりその良さを感じられるようになるところ。こだわりのエクステリア空間は、家族の毎日をますます豊かにしてくれるに違いありません。
物件データ・採用商品
◆この施工を行なったのは
有限会社FIELD https://www.field-tlc.co.jp/
エクステリア・外構・造園のデザイン・施工を行う“お庭”の専門店。家を楽しむこと、暮らしそのものを楽しむことをコンセプトに、デザイン性の高いエクステリア空間を提案している。施工は自社職人が行い、低コストでクオリティの高い仕上がりには定評があり、県内外から依頼が絶えない。現在、新規打ち合わせを毎月10組の予約制にしているため、興味がある人は早めの連絡がおすすめ。
◆物件データ
- 建物種別:一戸建て
- 築年数 :–
- 工事種別:新築
- 工事期間:3カ月弱
◆採用商品
- カーポート:エクスティアラルーフ