庭のお手入れを楽にして、愛犬と一緒に楽しめる庭にできたら。そんな願いを叶えた庭と外構のリフォーム事例をビフォーアフターでご紹介します。メンテナンスが楽にできるナチュラル感満載のデザイン、家の外周を活かしたドッグランのプランなど必見です。
目次
手に負えなくなった庭。メンテナンスを楽にして愛犬と過ごしたい
庭のプランの中でも人気があるのが、四季折々の草花を自然な姿で楽しむナチュラルガーデンです。でもお手入れに手間が掛かるため、ちょっと気を抜いてしまうと、どうしても荒れがちに。ナチュラルガーデンは一見、自然に任せているように見えますが、実は細やかなメンテナンスが必要な庭でもあります。
こちらの写真は、福島県にお住まいのS様のリフォーム前の様子です。あえて高い塀は作らず、低いブロック塀や草木で敷地を囲う、ナチュラル感満載のオープン外構のスタイルでした。こちらの敷地は交通量が多い道路に面した角地であるため、高い塀を作ってしまうと、通行する車の見通しが悪くなってしまうのではと配慮したためです。
しかしS様は仕事が忙しく、庭のお手入れがままならず……。本来は美しいナチュラルテイストの外構と庭なのですが、築10年ほど経った今では、少し荒れた雰囲気になり、負担にもなっていました。
またS様は犬を飼っているのですが、塀が無いと表に出てしまう危険があり、庭に放して一緒に遊ぶといったこともできませんでした。
そんな悩みを何とか解決したいと声を掛けたのが、以前から知っていて信頼を寄せていた、庭と光の専門家「株式会社little bear garden」です。S様のご要望は、とにかく庭のお手入れを楽にしたいこと、そして愛犬と庭で楽しく遊ぶこと、この2点でした。
プランを担当した小熊さんは、S様のお話を聞き、ただ庭を囲うだけでは道路の見通しが悪くなり、また庭が暗くなってしまう可能性もある。かと言って囲わなければ犬が表に出てしまう可能性がある。つまり見通しはよく、でも犬と安心して遊べる庭にする必要があると考えました。
そこでこれらの願いを叶えつつ、またS様がお好みのナチュラルな雰囲気を持ちつつ、お手入れが楽な庭と外構のリフォームプランを提案。それを見たS様は大変気に入られて、今回のリフォームが実現しました。
家の外周をタイル張りにリフォーム、犬走りをドッグランにする楽しいアイデア
こちらは、リフォーム後の門扉から敷地内のドッグランを見た様子です。門袖(もんそで)と門扉を新しく設置し、セミクローズドスタイルとしました。これなら愛犬が表に出ることもなく、防犯性も以前より向上しました。
門まわりから道路に面した表側の庭は、タイル張りにすることで、お手入れの手間を大きく軽減。門扉は、深い色合いの木調カラーを選ぶことでナチュラルな雰囲気を演出しつつ、明るい色の床タイルとのコントラストが美しく映えます。
こちらのドッグランは家の外周に作られ、犬が敷地内を思い切り走り回ることができるようにプランされています。通常ドッグランというと、大きなまとまった敷地をフェンスで囲って作るイメージがありますが、家の周囲の敷地を活用すれば、こんな素敵なドッグランに。
特にこだわったのが、それぞれのフェンスの作りで、表の道路に面した部分、裏庭の部分、そして視界を確保したい部分それぞれに工夫を凝らしています。
表側の道路に面した部分は、車の通りが多いため、低めのブロック塀とYKK APの「リレーリア フレーム」と「リレーリア スクリーン」を組み合わせて、明るさを確保しながら、外部からの視線をさりげなく遮り、落ち着いてくつろげる庭になりました。「リレーリア フレーム」は、柱とフレームを組み合わせて外構空間に視覚的な境界や仕切りをつくるもので、間にスクリーンと呼ばれる格子を組み合わせて視線の遮り具合などをコントロールできます。
裏庭は、視線をそれほど気にする必要が無く、また日当たりを良くするために塀は立てずに、YKK APのイーネットフェンスを取り付け。スチールのメッシュフェンスなので丈夫で、犬が表に出て迷子になる心配がありません。
明るく日当たりが良くなった裏庭には芝生を植え、広めの犬走りと組み合わせました。犬走りとは、建築用語で家の外周に設けられた砂利やコンクリートで作られた細長い通路のことを言い、家が水や泥で汚れるのを防ぐ役割があります。
そう考えると、家の外周をドッグランにするというアイデアは、まさに理にかなったことなのですね。
目的に合わせてフェンスを使い分ける、車の見通しよく&犬が表に出ない工夫
車の見通しが気になるコーナー部分には、あえてブロック塀を立てず、フレームとスクリーンを設置することで、見通しよく、個性的でダイナミックな外構デザインに生まれ変わりました。また自然石の最上石と組み合わせることで、ナチュラル感満載のデザインに。
でもこのままでは犬が表に出てしまう心配があります。そこでフレームとスクリーンの間に強化ガラスをはめ込み、見通しと明るさはそのままに、しっかりとした囲いを作りました。
つまりオープンに見せながらクローズで使用できる、“いいとこどり”のスタイル!これなら車の通行にも支障がなく、また安心して愛犬と遊べると、S様も大喜びされたとのことでした。
お手入れを楽にしながら、ナチュラルテイストを楽しむ住まいにリフォーム
ナチュラルテイストの庭や外構は、外構を美しく維持するために手間が掛かるイメージがありますが、こちらはお手入れが楽な草木選びと、ポイントを押さえた植栽プランで、メンテナンスを楽にしながら、自然な雰囲気を楽しめる住まいになっています。
これもS様のお好みや要望をしっかりと踏まえて立てた計画のひとつ。ご近所の皆さんからとても素敵になったと褒めてもらえると、大変喜んでいらっしゃいました。
石積みの塀を照明でライトアップ、浮遊感を感じさせる外構デザイン
今回、このリフォームの設計施工を行ったlittle bare gardenは、ライティングマイスターの資格を有する、光の専門家でもあります。
今回のリフォームでも、昼だけでなく夜も楽しめる庭にするために、美観、安全性、そして防犯も考慮した照明計画が立てられました。
見どころは何と言っても、自然石の足元に配された照明によるライトアップです。石積みの壁が浮かんでいるような幻想的な光景は、道行く人が立ち止まってしまうほどの美しさ。またフレームとスクリーンや木々の影が家にも映り、また違った風景に感じられます。
ナチュラルな雰囲気はそのままに、でもお手入れは楽に。オープンで見通しよくしながら、クローズで安心して犬が遊べる庭に。そんな夢のような願いを叶えたリフォーム事例です。
物件データ・採用商品
◆このリフォームを行なったのは
株式会社little bare garden http://littlebear-garden.jp/
照明器具や植物などを効果的に配した装飾で、独創性あふれる世界に1つだけの庭づくりを提案。高品質なエクステリア工事、ガーデニングが評価され、様々なコンテストで受賞多数。犬と住まいるコーディネーター、ライティングマイスター、エクステリアプランナーなど有資格者が多数在籍。
◆物件データ
- 建物種別:一戸建て
- 築年数 :10年
- 工事種別:リフォーム
- 工事期間:約21日
◆採用商品
- 柱とフレーム:YKK AP「リレーリア」 フレーム
- スクリーン:YKK AP「リレーリア」 スクリーン
- 門扉:YKK AP「ルシアス」門扉 横スリット
- フェンス:YKK AP「イーネット」フェンス
- 汎用部材
著者プロフィール
Yuu(尾間紫)
一級建築士/インテリアプランナー/インテリアコーディネーター/マンションリフォームマネジャー
長年リフォーム業界の第一線で、数多くの住宅リフォームの相談、プラン設計、工事に携わってきた経験から、本当に価値あるリフォームについて皆さまにお話します。過去を繕うものではなく、未来の暮らしを創る「リライフのリフォーム」を提唱。実践的なリフォームのノウハウを、テレビや雑誌、新聞連載、講演などを通して発信中です。著書に『リフォームはこうしてやりなさい(ダイヤモンド社)』など。Webサイト「リフォームのホント・裏話」(http://www.ne.jp/asahi/net/rehome/)でリフォームの実践的なノウハウを公開中