住まいの計画をする際、各部屋の機能に応じて収納の計画も併せて考えるのではないかと思いますが、屋外スペースにおいても収納は大切なポイントです。
屋外で保管したいものは意外とたくさんあるもので、生活していく上でそれらが増えて玄関先やウッドデッキに置きっぱなしになると、住まいのイメージを損ねることになりかねません。
そんなお悩みの解決に役立つのが屋外用の物置です。
今回は快適な庭づくりのために欠かせない物置の役割や選び方、設置する際のポイントについてご紹介したいと思います。
1.物置の役割
庭の物置は言うなれば家の「外の収納スペース」。屋外で使うものはもちろん、家の中に保管するには場所を取る道具などを整理するための場所として様々なシーンで活躍します。
例えばどんな場面で物置が必要になるのでしょうか。
1.日常で使う道具の収納
ガーデニング用品、農具、趣味やスポーツの道具(釣り、ゴルフ、サーフィン、スキー…など)、アウトドア用品、車や自転車のメンテナンス用品、ペット用品、屋外の掃除道具など
2.季節や時期により使うものの収納
クリスマスツリー、イルミネーション、ひな人形、扇風機、こたつ、ヒーター、
ベビー・子供用品など
3.防災倉庫として
万が一、建物が倒壊したり室内に入るのが困難な状況になった際でも、屋外の物置が無事なら非常用の備えを取り出すことができます。
屋外なのでそのまま持って避難するのもスムーズです。
4.ゴミなどの一時置き場として
ゴミもあまり室内には置いておきたくないもののひとつでしょう。
扉のある物置の中なら動物に荒らされる心配もありません。
外で保管しておきたいものは意外とたくさん考えられることが分かります。

2.物置選びのポイント
せっかくの収納も使いづらいと、ただ大きくてじゃまなだけの存在になってしまいます。
最大限活用するためにはどんな点に注意して計画すればいいのでしょうか。
5.何を収納するか
まずは何のために物置を設置したいのか、目的を明確にしておきましょう。長いものをしまうなら収納も高さが必要になりますし、幅があるものなら扉が大きく開く必要があります。細々としたものなら中に棚や仕切りがあると使いやすいでしょう。あらかじめ収納したいものや使い方をリストアップして目的に合った物置を選びましょう。
6.どこに設置するか
重いものや嵩張るもの、度々出し入れしたいものなどは使う場所とアクセスが悪いと運ぶのが億劫になってしまうこともあります。シーズンものなど室内で使うものをしまうなら勝手口の近く、車や自転車のメンテナンス用品や持って出かけるレジャー用品などはガレージのそばというふうに、できれば使いやすい場所に設置できるのが理想です。さらにテラス屋根やカーポートと組合せれば収納プラス作業スペースとしてより機能的に。立地上置ける場所が限られる場合は、台車などで運びやすいような動線の計画も併せて検討してもよいかもしれません。
7.設置場所とのバランス
理想のサイズと物置を設置したい場所が決まったら、設置が可能かどうかを確認しておく必要があります。縦横の寸法だけ見れば置けると思っても、出し入れに必要なスペースが取れているか、開き戸タイプなら扉を開くスペースがあるか、よく通る場所の通行を妨げていないか、景観を損なうことにならないか、など様々な視点から確かめておきましょう。
まずはスペース的に施工が可能かどうかも重要な点ですので、迷ったらエクステリア・ガーデンの専門施工店に相談するのが安心です。
3.見せ方の工夫
収納はある程度大きさがあるほうが様々な場面に対応しやすくなりますが、大きければその存在感も増してしまいます。
建物裏手のサービスヤードなど機能性重視の場所なら使いやすい位置に必要な容量のものを設置するだけでもよいのですが、ファサードやリビング前の庭など人目に付く場所の場合は、うまく周囲の景観とつなげるひと工夫を考えたいものです。
ここからは住まいの景観に配慮して物置を取り入れる方法についてご紹介します。
8.目隠しフェンスで覆う
まず、思いつくのがスクリーンフェンスを重ねてその存在を隠してしまう方法です。フェンスの色やデザインを外構や建物とリンクさせることで、そこだけが目立つことなく全体の景観になじませることができます。また、デザイン的なアクセントのように見せたり、抜け感のあるフェンスを物置を重ねることで、外からの視線をカットする役割を持たせることも可能です。ただし、あまりにもしっかり囲んでしまうとかえって何があるのだろうとそこに視線を集めてしまったり、修理や建て替えが必要になった際の扱いが難しくなる場合があるので、やりすぎには注意しましょう。

物置を隠しつつ住まいの外観とつながるデザインに。
YKK AP ルシアス スクリーンフェンス
9.柱やフレームで印象を和らげる
もう少し簡単に印象を変えるなら、スリット柱やフレームを添えるのはいかがでしょうか。物置を完全に隠すわけではありませんが、ワンポイントのデザインのように見せることができます。
この場合も色やデザインを住まいの外観とのつながりを意識して考えるとよいですね。
10.植栽で印象を和らげる
植栽もまた物置の大きさや無機質なイメージを和らげてくれるものです。フェンスやフレームを使ってなじませる場合も、そこに植栽をプラスすることでさらに自然に全体の景観とつながりやすくなります。
しっかり隠したいという時は、常緑樹の生垣でスクリーンをつくるのもひとつの方法です。また、あまり手間やコストをかけたくない場合は、鉢植えひとつでも印象が変わると思います。

11.あえて見せる
隠したり目立たなくするのではなく、デザイン性の高いものを選んで物置自体をあえて主役にする方法です。
存在感があるものだけに、理想とする庭のイメージに合った物置を見つけてうまく庭のデザインに取り入れることができれば、ただの収納場所にとどまらず、庭全体の美観を高めるアクセントにもなってくれます。

4.物置を上手に取り入れて庭をより楽しめる空間に
庭を心地よい場所にするためには何から始めたらいいのか、あれこれ悩むかもしれませんが、まずは置きっぱなしになっているものをしまう場所をつくって片づけるだけでも庭がすっきりと美しく見え、実際に空間が広がって使い勝手もずいぶん改善されるはず。
庭が整った快適な場所になり、必要なものが手軽に取り出せれば、バーベキューやガーデニングなど庭で過ごす時間は自ずと増えてくるのではないでしょうか。
庭で何かを始めよう!と思ったら、住まいにクローゼットをレイアウトするように、取り入れたい場所や目的に合わせて収納にも気を配って計画をしてみてください。

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著者プロフィール

野中めぐみ 株式会社グリーンテリア
1級造園施工管理技士 福祉住環境コーディネーター2級
1級造園施工管理技士 福祉住環境コーディネーター2級 ハーブ園でガーデナーとして勤務したのち、E&Gアカデミーにて学びエクステリア業界へ。 エクステリア、ガーデンの専門店グリーンテリアに所属し主に設計を担当する他、植物に関するワークショップの開催など庭のある暮らしの楽しさを伝える活動も行う。 エクステリアプランナーとして様々な角度からみなさまの快適で豊かな暮らしにつながる情報をお届けいたします。