友人を招いてバーベキューをしたり、好きな植物を植えてガーデニングを楽しんだり、庭づくりを始める際には様々な理想を描くことと思います。庭は日々の暮らしに潤いを与えてくれるものですが、きれいに保っていくためのお手入れが欠かせません。
働き盛りや子育て世代は忙しくて時間をとるのが難しく、リタイアして時間ができる頃には庭仕事をするにも体力がついていかなかったりと、誰もが庭のお手入れに多くの手間やコストをかけることができるわけではありません。
できるだけストレスなく庭を維持していくために、メンテナンスが楽になる庭づくりについて考えてみましょう。
1.庭のメンテナンスとは
庭を美しく快適に保つためにはどんなお手入れが必要になるのでしょうか。
1 構造物を維持するためのメンテナンス
・ウッドデッキなどの木製品の防腐処理
・塀や土間などの汚れの洗浄、仕上げによっては塗装 など
2 植物のメンテナンス
・日々の水やり
・剪定や花ガラ摘み
・植替えや補植
・施肥
・落ち葉の清掃
・芝刈り
・害虫対策 など
3 雑草対策
・草刈りや草むしり
・除草剤の散布 など
日常的にこまめに行うお手入れからコストをかけて専門業者に依頼しなければならないことまで、庭を維持していくためには様々なメンテナンスが必要なことが分かります。
2.メンテナンスを楽にする庭づくり
庭のメンテナンスを楽にするには、①お手入れの手間を少なくする方法と➁お手入れをしやすくする方法が考えられます。
それぞれ具体的にどんな点に注意すればよいのかをみていきましょう。
4 お手入れの手間を少なくする
・土の面積を少なくする
庭のお手入れの中でも最も悩まされるのは雑草対策ではないかと思います。コンクリートやレンガ、石などで舗装したり、防草シートと砂利で覆うなど、雑草の生えやすい土の部分の面積を減らせばその分除草の手間は楽になります。単に雑草対策として考えるなら、全面をコンクリートで舗装してしまえばあとは掃き掃除くらいですんで確かにお手入れは楽になりますが、照り返しが強くなり、見た目にも味気なく、庭として安らげる場所とはいいがたくなってしまいます。庭を居心地のよい場所にしたいなら、舗装を単なる雑草対策としてだけではなく、素材やデザインにもこだわった計画にしたいものです。
また、植栽スペースや芝生は雑草対策に加えて植物のお手入れも伴います。花や緑でいっぱいの庭は魅力的ですが、たくさん植わっているからいいというものではありません。
植えすぎて手が回りきらずに荒れてしまうくらいなら、植栽の量を適度に抑えてしっかりエリア分けし、要所に絞って取り入れるほうが効果的に緑を楽しめます。舗装、砂利、芝生、植栽など取り入れたい要素をバランスよく織り交ぜて、お手入れにどれくらい労力を割けるのか、力量に見合った計画にしましょう。

・育てやすい植物を選ぶ
成長が速い植物は度々剪定が必要になり、高木の場合は放置すれば手に負えないほどの高さになることもあります。
また、性質がデリケートすぎる植物や植える場所の環境に合っていないものを育てる場合には余計に手間がかかり、うまく育たずに枯れるようなことが続けばお庭づくりへの意欲も低下してしまいかねません。
成長スピードが速すぎず、植える場所の環境に合った強健な性質の植物を選びましょう。下草は基本的に植えっぱなしでよい丈夫な宿根草や低木を中心としたコーディネートがおすすめです。
自宅の庭にはどんな植物が合うのか、日当たりや土の状態など植える場所の環境をよく観察し、原産地や成長度合いなど植えてみたい植物の情報も収集しておきましょう。街路樹やマンションのエントランスなどパブリックな場所に植えられている植物は比較的丈夫で育てやすいものが使われていることが多く、参考にしてみるのもよいかもしれません。

・手間のかかる部分は最小限に
一年草は庭を華やかに彩ってくれますが、増やしすぎると季節ごとの植え替えの手間がかかります。
作業しやすい場所にある花壇1ヶ所を季節ごとに植え替えるコーナーにする、一年草は鉢植えだけにする、というように植える場所を一部分に限定するとお手入れがしやすく、見た目にもまとまりが感じられ、華やかさが際立ちます。また、鉢植えはフォーカルポイントとして使えたり、季節によって移動することができるなど様々な利点がありますが、水やりや施肥が地植えよりも頻繁に必要で、根づまりする可能性もあります。
お手入れに自信がなければ鉢植えは個数を絞って効果的に取り入れましょう。
・ローメンテナンスの素材選び
庭を構成する素材によってお手入れの手間はずいぶん変わります。
例えば人工素材を取り入れることで、お手入れの手間を軽減できる場合があります。ウッドデッキやウッドフェンスをはじめとする木製品は、腐食や変色しづらい人工木材やアルミラッピング材、擬木などにすることで防腐処理が必要なくなります。芝生は人工芝を使用すれば芝刈りが不要に。夏の暑さなどで枯れる心配もなく、いつでも青々とした状態を保つことができて、さらに防草シートと重ねて使うことで雑草対策にもなります。
近年は色や質感などリアルな製品が増えてきており、天然木や天然芝の質感にこだわりがある方でも気に入るものがみつかるかもしれません。

YKK AP 「リウッドデッキ」

YKK AP 「ルシアススクリーンフェンス」
自然由来の素材でも、天然石材やレンガなどのように汚れや経年変化が目立たず、風合いになり得るものもあります。
そういった素材をうまく使えばいつでもピカピカにしようと頑張る必要がなくなり、むしろ年月をかけて味わい深くなっていく様子を楽しむことができます。アンティーク風のファニチャーやオーナメントなどを飾るのも素敵ですね。

それぞれの素材の特性を知って、思い描く庭のイメージに合ったものを選びましょう。
5 お手入れをしやすくする
・動線を確保する
せっかく庭があってもアクセスが悪ければ使う機会が減り、お手入れも億劫になってしまいがちです。
庭づくりとともに庭に至る動線を整えておきましょう。その点、掃き出し窓や勝手口から段差なくスムーズに行き来できるウッドデッキはおすすめです。
ウッドデッキ下をコンクリート土間にしたり、防草シートを敷くなどの雑草対策も忘れずに考えておきましょう。
・過ごしやすい環境を整える
庭が道路や隣家から丸見えの状態では庭に出づらく、庭に面した窓もカーテンやシャッターを閉めたままになって、使ったり眺めたりする機会がなければ自ずと庭は荒れてしまいやすくなります。
プライバシー対策の他、日除けやファニチャーを備えるなど、快適な環境を整えて庭で過ごす機会を増やすことも、こまめなお手入れにつながるポイントです。
また、お手入れに必要な道具を揃えてしまっておく物置や水やりのための水栓なども使いやすい場所に備えておくと便利です。

YKK AP 「リレーリア」、「リウッドデッキ」
3.無理なくお手入れを続けていくために
よく過ごす場所は小さな変化にも気づきやすく、こまめに手を入れる習慣もつきやすくなるものです。
お手入れの効率だけにとらわれず、庭を居心地の良い場所にすることにも注力して、お手入れも楽しみながらできるようになれば理想的ですね。
頑張りすぎると続かなくなってしまうこともありますので、あまり完璧を目指しすぎない気の持ちようも必要ではないでしょうか。
上手にお手入れの手間を省いて無理なく庭のある暮らしを楽しみましょう。
上手にお手入れの手間を省いてメンテナンスを楽に。
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著者プロフィール

野中めぐみ 株式会社グリーンテリア
1級造園施工管理技士 福祉住環境コーディネーター2級
1級造園施工管理技士 福祉住環境コーディネーター2級 ハーブ園でガーデナーとして勤務したのち、E&Gアカデミーにて学びエクステリア業界へ。 エクステリア、ガーデンの専門店グリーンテリアに所属し主に設計を担当する他、植物に関するワークショップの開催など庭のある暮らしの楽しさを伝える活動も行う。 エクステリアプランナーとして様々な角度からみなさまの快適で豊かな暮らしにつながる情報をお届けいたします。