隣地境界ラインは、お隣と我が家の境目が何処なのかを解りやすく明示しておくと、お互いの共通認識があればトラブルも防ぐことができます。外に置いている物や動線が、はみ出してくるのは気持ちの良いことではありません。状況によってどんな境界にしておくのが良いのか、フェンスは必要なのか、どんな種類のフェンスがいいのかなどを考えていきます。
1.隣地境界の作り方と種類
隣地境界にはさまざまな種類があります。一般的にはコンクリートブロックやレンガなど、年数が経っても変化が無い素材を動かないように固定して境界を明示します。土地の持ち主が変わる事があっても、誰もが明確に理解できる状態が良いです。
我が家と隣地の状況によって、ブロック積みの高さを変えたり、上部にフェンスを設置したりと最適解を探します。都会の狭小地で建物と境界線の間が互いに50センチ程度の場合は、通行のし易さを考慮して、あえてフェンスを設けないことも多いです。
道路側からよく見える部分の境界なら、門周りやエクステリア全体とコーディネートすると、エントランスの雰囲気がワンランクUPします。
玄関同士が隣り合っていて、玄関扉を開けるとお互い目が合うような状況なら目隠しフェンスを設けることも。
ナチュラル好きなら、生垣などの植物で境界を作ることも可能。その場合でも、コンクリートブロックやレンガで境界を明示した上で植物を植えることをお勧めします。また植物が成長すると隣地側に落ち葉が散らかったり、はみ出していく枝を剪定する必要も出てきます。隣家と良い関係を保つようにしておくことが必要になりそうです。
2.隣接状況によって変わる必要なフェンス
隣地との境界沿いの状況は様々です。境界に面したエリアそれぞれの違いによって境界フェンスの選択が変わります。
2-1. 窓がある・庭がある
お隣からの視線が気になってカーテンを開けられない窓や、プライバシーを確保してくつろぎたい庭があるなら目隠しが必須です。
境界沿いのコンクリートブロックの上にフェンスの柱を建てて目隠しを設ける事ができますが、この場合の目隠しフェンス高さは1.2mまで。もっと背の高いフェンスが必要ならコンクリートブロックの手前に独立基礎でフェンス柱を施工することになります。
2-2. 隣地に室外機がある
建物沿いにはエアコンや給湯器などの室外機が並びます。そこからはコチラの庭へと空気が排出される。夏にはとても熱を持った風が出てくるので、風が当たる場所にある植物の多くは元気が無くなってしまいます。
植物を維持するため、熱風を塞ぐためにフェンスを設けると解決できます。上の写真のように風を通してしまうフェンスに効果は無いので、目隠しタイプ・ルーバータイプを選びます。室外機の前だけ目隠しタイプを選んでも良いでしょう。
2-3. 植物を育て、庭を楽しんでいる
植物を健康な状態で育てるには、日照条件と共に風通しも重要です。これらが整っていないと植物は元気がなくなり虫がつきやすくなって、気持ちの良い庭を維持することが出来なくなってきます。
完全な目隠しタイプではなく、出来るだけ風が通り抜けるデザインを選ぶことで美しい緑を維持する事ができます。
3.コスト優先で選ぶフェンス
フェンスを設置したいけれど出来るだけコストを抑えたい。道路からも部屋からも見えない部分なら、そう考えるのが一般的です。そんな時に選ばれるのはメッシュフェンス。建物の外壁色と色を合わせると、ほとんど存在が気になりません。
ブロック積の上に高さ1.2mまでのメッシュフェンスが設置可能です。
4.メンテナンスの有無で選ぶフェンス
庭の印象を左右するフェンス選び。使われている素材によっては、定期的なメンテナンスを必要とします。
木製のフェンスは味わいがあって、庭を素敵な雰囲気にしてくれますが2年に1度くらいの周期で塗装メンテナンスが必要。その作業が問題ない人にはお勧めしたいですが、メンテナンスができない人にはお勧めできません。
一方、アルミ製や樹脂製のフェンスは、雰囲気が少し硬い印象になってしまいますがメンテナンスフリーが最大の魅力です。
天然木に近い表情でカラーバリエーションも豊富なので庭のイメージ合わせて選ぶ事ができます。
5.まとめ フェンスの種類を選ぶための4つのチェックポイント
隣地境界のフェンスについて考えてきました。どんな境界にすればいいのか選ぶ時のチェックポイントは4つ。
- フェンスは必要なのか。必要な範囲はどこか。
- どこにどんなフェンスを選ぶのか
- コスト
- メンテナンス
それぞれの家によって答えは様々です。自宅と隣地の状況を観察して、気持ちよく暮らせる隣地境界を作ってください。
著者プロフィール
冨田ちなみ Gokansha(ゴカンシャ)
個人住宅の庭・外構や店舗のエントランスガーデンなど、あなたのライフスタイルに調和する外空間のデザインするGokansha(ゴカンシャ)代表。二級建築士、インテリアコーディネーター、二級造園施工管理技士、福祉住環境コーディネーター、園芸療法リーダー二級、ハーブコーディネーターなど様々な資格を持ち、建築士でもあるため住宅目線・エクステリア目線・ガーデン目線、それぞれの記事を発信いたします。E&Gアカデミー講師。