地震や大雨などの災害が起きたとき、愛犬をどう守るか考えていますか?ペット専門の保険会社による2026年3月の調査では、ペットの防災対策をしている飼育者は20.2%、最寄りの避難所のペット受け入れ体制を「知らない」人は88.4%にのぼりました。(※)
防災は、備蓄や避難先の確認だけではありません。普段から愛犬が安全に過ごせる住環境を整えることも大切です。そこで今回は、ペット防災をきっかけに、愛犬と家族が毎日を心地よく過ごせる庭づくりについて考えてみます。
※アイペット損害保険株式会社
ペットのための防災対策に関する調査(2026年版)【調査結果】 | ワンペディア
目次
ペット防災は、愛犬との「いつもの暮らし」を見直すことから
ペットの防災というと、フードや水、トイレ用品、リードなど、避難時に必要なものを備えておくことを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。けれども、災害から愛犬を守るために考えておきたいのは、持ち出すものだけではありません。
もちろん、こうした備えは大切です。環境省も、ペット用の避難用品や備蓄品を確保するだけでなく、住まいや飼養場所の防災対策、ペットのしつけや健康管理、行方不明にならないための対策などを、平常時から行うことが重要としています。
つまり、ペット防災は、災害が起きたときのためだけに準備するものではありません。「家の中に危険な場所はないかな?」「庭に倒れやすいものは置いていないか?」「愛犬が安心して過ごせる場所はあるか?」
そんなふうに、普段の暮らしを見直すことが、ペット防災の第一歩です。
さらに、災害が起きたときにどこへ避難するのか、地域の避難所がペットの受け入れに対応しているのかなども、あらかじめ確認しておきましょう。環境省では、災害時に飼い主とペットが一緒に避難する「同行避難」を案内しています。ただし、同行避難とは、避難所でペットと飼い主が同じ場所で過ごすことを意味するものではありません。受け入れ方法やルールは自治体や避難所によって異なるため、事前の確認が大切です。
「もしものとき、愛犬とどう行動するか」を考えてみると、普段の暮らしの中にも見直したいことが見えてきます。家の中だけでなく、愛犬が過ごす庭もその一つ。毎日を安心して過ごせる庭を整えることが、もしものときの備えにもつながります。
参考:環境省「災害、あなたとペットは大丈夫?人とペットの災害対策ガイドライン」
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h3009a.html
愛犬が安心して過ごせる庭をつくる
まずは、庭が愛犬にとって安全に過ごせる環境かどうかを考えてみましょう。
たとえば、庭をフェンスや門扉で囲えば、愛犬が自由に動ける範囲をつくりやすくなります。また、地震や雷などに驚いてパニックになり、逃げ出してしまうことも考えられるため、愛犬の体格や性格に合わせて、フェンスの高さや隙間などを検討しておきましょう。
設置後も、フェンスや門扉に壊れているところがないか、定期的にチェックすることが大切です。大型犬や力の強い犬が勢いよくフェンスに体当たりすることを繰り返すと、強度不足のものはぐらついてしまうこともあります。犬の大きさや行動特性に合わせて、十分な強度を確保しましょう。
フェンスのそばに、足場になるようなものを置かないこともポイントです。小型犬でもジャンプ力のある犬種は多く、普段はおとなしい犬でも、突然の大きな音などに驚いて、思いがけない行動をとることがあります。
愛犬の性格や行動まで想像しながら、安全に過ごせる庭を考えてみましょう。
倒れてくるもの、飛んでくるものがないかを確認
庭に置くものにも目を向けてみましょう。
鉢植えやガーデンファニチャー、物置などは、普段の庭を彩ったり便利にしてくれますが、地震や強風の際には倒れたり、飛ばされたりする可能性があります。
愛犬が走り回る場所にはできるだけ危険なものを置かず、必要なものは転倒・飛散対策をしておくと安心です。
ガーデンファニチャーなど、屋外で日光や風雨にさらされるものは、経年によって劣化することもあります。庭に設置する設備は、見た目だけでなく、耐久性や安全性にも目を向けて選びましょう。
また、地震などで避難が必要になった場合を考え、玄関や門扉までの動線を物でふさいでいないか確認しておくことも大切です。
「防災のために庭をつくる」と考えると、少し堅苦しく感じるかもしれません。
けれど、愛犬が安全に過ごせる庭は、家族にとっても安心して過ごせる庭。そんな視点から、まずは今の庭を見渡してみるのもよいでしょう。
水や日陰を確保できる庭に
愛犬にとって、水を飲める場所や日陰で休める場所は欠かせません。
特に夏の庭は、気温だけでなく地面からの照り返しにも注意が必要です。愛犬が走り回るスペースだけでなく、暑くなったときにすぐ休める場所を用意しておきましょう。
庭に立水栓を設置しておけば、日頃から愛犬の足を洗ったり、庭の掃除をしたりする際にも便利です。散歩や庭遊びの後にすぐ足を洗えるので、室内に入るときの負担も減らせます。
また、庭に屋根やシェードなどの日よけを設けるのも一つの方法です。
日差しを遮る場所があれば、愛犬が暑くなったときに休憩しやすくなります。飼い主にとっても、日差しを避けながら愛犬を見守ることができ、庭で過ごす時間を増やしやすくなるでしょう。
さらに、屋根のあるスペースは、雨の日にも役立ちます。急な雨が降ってきたときに愛犬が雨を避けられるだけでなく、飼い主が庭で作業をするときの雨よけにもなります。
床材についても、愛犬が過ごす場所なら、夏の暑さや足への負担を考えて選ぶことが大切です。芝や人工芝、タイルなど、それぞれに特徴があるため、日当たりや手入れのしやすさ、愛犬の過ごし方などを考慮して選びましょう。
災害時の備蓄用の水は別途確保する必要がありますが、普段から「水をどう確保するか」「暑いときにどこで休むか」を考えておくことは、ペットと暮らす住まいを見直すきっかけにもなります。
さらに、災害時に自宅で避難生活を送る「在宅避難」が可能な状況では、愛犬と過ごす場所の安全性や快適性も重要になります。自宅の安全が確保されている場合には、避難所ではなく自宅で避難生活を送るという選択肢もあります。
普段の快適さを高めながら、もしものときにも落ち着いて行動できるよう、庭の環境を整えておくことが大切です。
家から庭までの動線を考える
庭そのものだけでなく、家とのつながりにも注目してみましょう。
家から庭にスムーズに出られるようになっていれば、日頃から庭を使いやすくなるだけでなく、災害時に屋外へ移動する必要が生じた際にも、動線を確認しやすくなります。
たとえば、ウッドデッキを室内と庭の間に設ければ、段差を抑えながら室内と庭を行き来しやすくできます。
毎日の生活でも、散歩から帰ってきた愛犬の足を庭の立水栓で洗い、そのまま室内へ入れるような動線にしておけば、日々の暮らしがぐっと楽になります。
また、飼い主が室内やウッドデッキから愛犬の様子を確認できるようにしておくと、庭を使う時間も増えるでしょう。
「犬が走れる場所」だけを考えるのではなく、家族と愛犬がどう庭を使うのかまでイメージすることがポイントです。
愛犬との暮らしをもっと心地よくする庭へ
災害はいつ起こるか分かりません。
だからこそ、避難先や地域の避難ルールを確認し、ペット用の備蓄を用意する。そして、普段から愛犬が安全に過ごせる住環境を整えておくことが大切です。
庭づくりも、その一つのきっかけになります。
ウッドデッキを通じてペットと遊ぶ時間が増えたり、「広い庭で思いきり走らせたい」という願いに加えて、ペットの大きさや強さによってフェンスの位置や高さを調整するなど、ペットといっしょに「在宅避難」することなども日頃から想定することも大切になります。
地震や大雨による、思ってもみない災害に見舞われることが多くなりつつあります。
「安心して過ごせる庭にしたい」「家族も一緒に楽しみたい」という気持ちを取り入れてみましょう。
そうすれば、庭は単なる愛犬の遊び場ではなく、家族と愛犬が毎日を心地よく過ごすための場所になります。
せっかくつくる庭だからこそ、愛犬の「楽しい」と家族の「安心」を、どちらもかなえる空間を目指してみてはいかがでしょうか。
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